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戦いの前の静けさ
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12時の鐘の音がなる数十分前、ユリアナ皇女と話をしていたアルフリード王子の元にルーク補佐官がやってきた。
「どうしたルーク補佐官。何かあったのか?」
ルーク補佐官の落ち着かない様子に気づいたアルフリードが、ユリアナ皇女の傍を離れて彼を物陰に連れ込んで聞く。ルーク補佐官が周囲の誰も聞いていないのを確認した上で、この会話が誰にも聞かれないように小さな結界をはってから話だした。
「殿下、何かがおかしいんです。この王城に何かが起きていることは確かです」
「どういう意味だ?結界が破られていないのは確認済みだろう・・。兵士からも異変があったとの報告は受けていないが?」
「そうです。ですが、なんていうかその結界が完璧すぎるのです。3重の高位結界を張ってあるのはご存知でしょうが、これ程大勢の魔力を持つ者が王城内にいるというのに、結界が弱まったり影響を受けた様子が殆どないのです。ハボット魔法庁長官が自ら制御しているとはいっても、これ程乱れのない完璧な結界を、長時間張るなんてことは不可能です」
それもそうだ、今現在諸外国の王や王女がこの王城に一堂に会している。魔力が高いものが国を統治することが多いこの世界で、これ程の魔力を秘めた者たちを中に入れた結界がなんの影響も受けないというのはおかしなことだ。
ルーク補佐官の危惧は理解できる。だがそんなことをして誰の利益になるというのだ。アルフリードは全ての情報を頭の中に思い浮かべて、可能性を残さず考えてみる。
結界は通常、表から内側に敵が入らないようにするためのものだ。その反面、結界にはもう一つの効果もある。そうだ、結界の中の者も外には出られない。もし敵がもう既に結界の中にいるとしたら・・・それをハボット魔法庁長官が感づいたとしたら・・・。
「もしかして、襲撃者がもう王城内にいるということなのか?しかもハボット魔法庁長官よりも凄い術を操れる者が、仲間にいると?!」
アルフリードは推論の確証を得る為に、ルーク補佐官に指示を出した。
「すぐにハボット魔法庁長官に連絡を取って確認しろ、休憩中の兵士も総動員してすぐに厳戒警戒態勢に入れ!それと、サクラの護衛を強化しろ!ここには現在たくさんの国の王や女王がいる。誰が狙いなのかわからんが、もしあの襲撃者達だとすると、サクラを一番に狙ってくるはずだ。オレは今からサクラの様子を見に行ってくる。ユーリスが護衛しているはずだから大丈夫なはずだが念のためだ」
優秀なルーク補佐官はアルフリードの指示を受け、すぐに行動を起こした。アルフリードの探査魔法でセシリアを探すと、程なくして居場所は分かった。あまり人が立ち寄る場所ではないが、ここからさほど遠くない場所だ。
伝心魔法を試してみたが使えないようだ。恐らく王城の結界を張りなおす程の高度な技術を持つ魔術師が、妨害魔波を流しているのだろう。
あんな人気がないところにユーリスと二人きりなのは気に食わないが、今夜は自分がウェースプ王国の王子として隣国の王や王女を招待している身だ。ユーリスの婚約者であるセシリアの事を構う時間もないし、その立場ですらないことは十分にわかっている
本来は次代の王である自分が自らセシリアの無事を確かめに行くというのもおかしなことだが、実際に自分の目で見るまでは安心できなかった。
アルフリードは足早にその場所に向かう。手前の廊下でリューク騎士とギルア騎士が護衛に当たっているのを見とめて部屋に入り、大きく開け放たれた扉から外に出ると、すぐにテラスの手すりに並んで座る二人を見つけた。
セシリアがアルフリードが来たのに気が付いて、極上の笑みで迎えてくれる。そんな小さなことで気分が高揚する自分が情けないが、セシリアの無事を確認してとにかく安心する。
「なにかあったのでしょうか?アルフリード王子」
こんな場所にアルフリードが突然現れたのを見て、ユーリスが不審に思ってすぐに立ちあがって神妙な面持ちで聞く。セシリアがその様子を見て不安そうな表情を浮かべた。
「今はわからんが、何かがおかしい。特別厳戒警戒態勢を出した。ユーリスお前も油断するな。何かわかり次第連絡を入れるが、セシリアの護衛を強化してくれ」
「あの・・アル。もしかして襲撃者が来るかもしれないってことなの?いま、ここに・・・。だったら私は王城にいないほうがいいんじゃないかな?国賓級の人が大勢いるところを襲撃されたら、王国にとっても良くないよね」
セシリアが心配そうに二人に問いかける。するとアルフリードとユーリスが彼女を守るように、それぞれサクラの肩に手を置いて言った。
「「大丈夫だ。(です)オレが(私が)サクラを守ってやるから心配するな(しないでください)」」
見事にハモった。サクラは声を出して笑うと、アルとユーリの方を頼もしそうに見ていった。
「ありがとう二人とも!でも、いざとなったら、私の事も頼ってね!なんてったって世界最強の能力だからね!」
「今は世界最弱だろう?余計なことはするなよ」
(アルが突っ込みを入れてきて、あまつさえ釘まで刺された。確かにそうだけどさ・・・ぷんっ!)
肩に置かれた二人の手に力がこもって、セシリアを熱く見つめる。そして2つの満月がその3人を明るく照らしていた。
その時、王城の鐘が12時を告げる音を立てた。
ボォーーーーーーーーン!!!ボォーーーーーーーーン!!!
その音を合図に突然、あちこちで戦闘が開始されたかのような爆発音が響き始めた。音楽は中断され、人々の悲鳴と何かが崩れる音だけが夜空に響く。
「なんだ?これは!!!」
アルフリードとユーリスが身構えると、そこに近くで護衛していたギルア騎士と、リューク騎士、他の近衛兵らがテラスに駆けつけてきた。
「アルフリード王子!!伝心魔法が妨害されていまして現在の状況は分かりませんが、見たところによると東棟の入り口と、北棟の建物が破壊されたようです。敵は何人で何者かも今はわかりません!!」
ギルア騎士がアルフリードの前に膝をついてそう報告すると、次の指令を待つ。そこに自国の近衛兵を引き連れたソルデア王がやってきた。彼も突然の敵の来襲に戸惑っているようだった。
「アルフリード王子、ここにいらっしゃったんですね。一体これはどういった事なのでしょうか?」
「ソルデア王。私にも今はわかりません。とにかく今は事態の把握と収集が最優先です。申し訳ありませんが、今しばらくお待ちください」
アルフリードが王子の威厳をもって、ソルデア王を落ち着かせると、ルーク補佐官やリュースイ宰相らが駆けつけてきた。なにか新しい情報でも入ったのだろう。それをみてソルデア王がアルフリード王子に提案をした。
「もしよろしければセシリア嬢の事は私が責任を持って、私と我々の近衛兵たちが守ります。なので今はそちらを優先させてください。ここには彼女の護衛騎士達もいることですし、我が国の英雄であるロデリック子爵の将来の義妹になられる女性を、危険な目には絶対に合わせないと約束しますよ」
「・・・では、私もここに残ります」
そういったユーリスをリュースイ宰相が見て、言いにくそうにいった。
「ユーリス公爵、あなたにも聞いてもらいたい情報があります。ほんの10分程でいいので一緒にきてください」
ユーリスがアルフリードの方をむいて確認を取ると、アルフリードも了承したというかのように無言でうなずいた。
「セシリア、少しの間ですが君の傍から離れます。ですがくれぐれも危険なことはしないと約束してくださいね」
ユーリスがセシリアの手をとって、目を見つめて安心をさせるように言う。セシリアはこれは恐らく自分に時間を止めるなと暗に忠告をしているのだと思い、顔を縦に思い切り振ると笑っていった。
「ありがとうございます、ユーリス様。私の事は心配なさらないでください。ギルア騎士様とリューク騎士様も傍にいてくださいますから」
そうしてテラスにはソルデア王とセシリア、ギルア騎士とリューク騎士、ナイメール公国の近衛兵らが残された。
未だにあちこちで聞こえる爆音と悲鳴は、断続的に続いていた。セシリアは初めての襲撃に恐れを隠せないようで、不安そうな顔でテラスから見える王城の南棟と東棟を見る。所々から煙が出て、火がでて人々が逃げまどっているのが見える。
次の瞬間、ユリアナ皇女が言っていたあの台詞を思い出して、セシリアはその身を固まらせる。ソルデア王がセシリアの方を向いて顔を近づけ、まるで幽霊でも見るような目でセシリアを見て、こうつぶやいたのだ。
「あなたはここにいるべき人間ではない。世界に厄災をもたらす存在だ。私の大切な人を苦しめる存在。どうかこの世から消えてください」
そういうと二つの月を背後にしてセシリアに覆いかぶさるように、ソルデア王は壁際に彼女を追い詰めた。逆光であまりよくは見えないが、その淡い灰色の瞳はこの言葉が冗談ではないことを語っている。
ソルデア王の肩越しにセシリアが見たものは、味方だと思って油断していたギルア騎士とリューク騎士を背後から狙い撃ちして、何本もの剣でその体を突き刺しているナイメール公国の近衛兵たちだった。
「・・・・・なんて・・ことを・・・!!!??」
セシリアの口から漏れたのは、驚愕のことばだった。どうして友好国であるナイメール公国の兵士が、王国の騎士達を攻撃するのか、サクラには理解できなかったからだ。
ソルデア王が懐に隠してあった短剣を持ち出して、セシリアに向ける。その短剣が月の光に照らされて反射してセシリアの視界を奪う。咄嗟に短剣を避けようとしたが、レンブレント王に掴まれた右腕が痛んで思うように動けない。
短剣の切っ先が、のどに近づいてくるのがわかる。もう避けられない!!!!
「いやぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「どうしたルーク補佐官。何かあったのか?」
ルーク補佐官の落ち着かない様子に気づいたアルフリードが、ユリアナ皇女の傍を離れて彼を物陰に連れ込んで聞く。ルーク補佐官が周囲の誰も聞いていないのを確認した上で、この会話が誰にも聞かれないように小さな結界をはってから話だした。
「殿下、何かがおかしいんです。この王城に何かが起きていることは確かです」
「どういう意味だ?結界が破られていないのは確認済みだろう・・。兵士からも異変があったとの報告は受けていないが?」
「そうです。ですが、なんていうかその結界が完璧すぎるのです。3重の高位結界を張ってあるのはご存知でしょうが、これ程大勢の魔力を持つ者が王城内にいるというのに、結界が弱まったり影響を受けた様子が殆どないのです。ハボット魔法庁長官が自ら制御しているとはいっても、これ程乱れのない完璧な結界を、長時間張るなんてことは不可能です」
それもそうだ、今現在諸外国の王や王女がこの王城に一堂に会している。魔力が高いものが国を統治することが多いこの世界で、これ程の魔力を秘めた者たちを中に入れた結界がなんの影響も受けないというのはおかしなことだ。
ルーク補佐官の危惧は理解できる。だがそんなことをして誰の利益になるというのだ。アルフリードは全ての情報を頭の中に思い浮かべて、可能性を残さず考えてみる。
結界は通常、表から内側に敵が入らないようにするためのものだ。その反面、結界にはもう一つの効果もある。そうだ、結界の中の者も外には出られない。もし敵がもう既に結界の中にいるとしたら・・・それをハボット魔法庁長官が感づいたとしたら・・・。
「もしかして、襲撃者がもう王城内にいるということなのか?しかもハボット魔法庁長官よりも凄い術を操れる者が、仲間にいると?!」
アルフリードは推論の確証を得る為に、ルーク補佐官に指示を出した。
「すぐにハボット魔法庁長官に連絡を取って確認しろ、休憩中の兵士も総動員してすぐに厳戒警戒態勢に入れ!それと、サクラの護衛を強化しろ!ここには現在たくさんの国の王や女王がいる。誰が狙いなのかわからんが、もしあの襲撃者達だとすると、サクラを一番に狙ってくるはずだ。オレは今からサクラの様子を見に行ってくる。ユーリスが護衛しているはずだから大丈夫なはずだが念のためだ」
優秀なルーク補佐官はアルフリードの指示を受け、すぐに行動を起こした。アルフリードの探査魔法でセシリアを探すと、程なくして居場所は分かった。あまり人が立ち寄る場所ではないが、ここからさほど遠くない場所だ。
伝心魔法を試してみたが使えないようだ。恐らく王城の結界を張りなおす程の高度な技術を持つ魔術師が、妨害魔波を流しているのだろう。
あんな人気がないところにユーリスと二人きりなのは気に食わないが、今夜は自分がウェースプ王国の王子として隣国の王や王女を招待している身だ。ユーリスの婚約者であるセシリアの事を構う時間もないし、その立場ですらないことは十分にわかっている
本来は次代の王である自分が自らセシリアの無事を確かめに行くというのもおかしなことだが、実際に自分の目で見るまでは安心できなかった。
アルフリードは足早にその場所に向かう。手前の廊下でリューク騎士とギルア騎士が護衛に当たっているのを見とめて部屋に入り、大きく開け放たれた扉から外に出ると、すぐにテラスの手すりに並んで座る二人を見つけた。
セシリアがアルフリードが来たのに気が付いて、極上の笑みで迎えてくれる。そんな小さなことで気分が高揚する自分が情けないが、セシリアの無事を確認してとにかく安心する。
「なにかあったのでしょうか?アルフリード王子」
こんな場所にアルフリードが突然現れたのを見て、ユーリスが不審に思ってすぐに立ちあがって神妙な面持ちで聞く。セシリアがその様子を見て不安そうな表情を浮かべた。
「今はわからんが、何かがおかしい。特別厳戒警戒態勢を出した。ユーリスお前も油断するな。何かわかり次第連絡を入れるが、セシリアの護衛を強化してくれ」
「あの・・アル。もしかして襲撃者が来るかもしれないってことなの?いま、ここに・・・。だったら私は王城にいないほうがいいんじゃないかな?国賓級の人が大勢いるところを襲撃されたら、王国にとっても良くないよね」
セシリアが心配そうに二人に問いかける。するとアルフリードとユーリスが彼女を守るように、それぞれサクラの肩に手を置いて言った。
「「大丈夫だ。(です)オレが(私が)サクラを守ってやるから心配するな(しないでください)」」
見事にハモった。サクラは声を出して笑うと、アルとユーリの方を頼もしそうに見ていった。
「ありがとう二人とも!でも、いざとなったら、私の事も頼ってね!なんてったって世界最強の能力だからね!」
「今は世界最弱だろう?余計なことはするなよ」
(アルが突っ込みを入れてきて、あまつさえ釘まで刺された。確かにそうだけどさ・・・ぷんっ!)
肩に置かれた二人の手に力がこもって、セシリアを熱く見つめる。そして2つの満月がその3人を明るく照らしていた。
その時、王城の鐘が12時を告げる音を立てた。
ボォーーーーーーーーン!!!ボォーーーーーーーーン!!!
その音を合図に突然、あちこちで戦闘が開始されたかのような爆発音が響き始めた。音楽は中断され、人々の悲鳴と何かが崩れる音だけが夜空に響く。
「なんだ?これは!!!」
アルフリードとユーリスが身構えると、そこに近くで護衛していたギルア騎士と、リューク騎士、他の近衛兵らがテラスに駆けつけてきた。
「アルフリード王子!!伝心魔法が妨害されていまして現在の状況は分かりませんが、見たところによると東棟の入り口と、北棟の建物が破壊されたようです。敵は何人で何者かも今はわかりません!!」
ギルア騎士がアルフリードの前に膝をついてそう報告すると、次の指令を待つ。そこに自国の近衛兵を引き連れたソルデア王がやってきた。彼も突然の敵の来襲に戸惑っているようだった。
「アルフリード王子、ここにいらっしゃったんですね。一体これはどういった事なのでしょうか?」
「ソルデア王。私にも今はわかりません。とにかく今は事態の把握と収集が最優先です。申し訳ありませんが、今しばらくお待ちください」
アルフリードが王子の威厳をもって、ソルデア王を落ち着かせると、ルーク補佐官やリュースイ宰相らが駆けつけてきた。なにか新しい情報でも入ったのだろう。それをみてソルデア王がアルフリード王子に提案をした。
「もしよろしければセシリア嬢の事は私が責任を持って、私と我々の近衛兵たちが守ります。なので今はそちらを優先させてください。ここには彼女の護衛騎士達もいることですし、我が国の英雄であるロデリック子爵の将来の義妹になられる女性を、危険な目には絶対に合わせないと約束しますよ」
「・・・では、私もここに残ります」
そういったユーリスをリュースイ宰相が見て、言いにくそうにいった。
「ユーリス公爵、あなたにも聞いてもらいたい情報があります。ほんの10分程でいいので一緒にきてください」
ユーリスがアルフリードの方をむいて確認を取ると、アルフリードも了承したというかのように無言でうなずいた。
「セシリア、少しの間ですが君の傍から離れます。ですがくれぐれも危険なことはしないと約束してくださいね」
ユーリスがセシリアの手をとって、目を見つめて安心をさせるように言う。セシリアはこれは恐らく自分に時間を止めるなと暗に忠告をしているのだと思い、顔を縦に思い切り振ると笑っていった。
「ありがとうございます、ユーリス様。私の事は心配なさらないでください。ギルア騎士様とリューク騎士様も傍にいてくださいますから」
そうしてテラスにはソルデア王とセシリア、ギルア騎士とリューク騎士、ナイメール公国の近衛兵らが残された。
未だにあちこちで聞こえる爆音と悲鳴は、断続的に続いていた。セシリアは初めての襲撃に恐れを隠せないようで、不安そうな顔でテラスから見える王城の南棟と東棟を見る。所々から煙が出て、火がでて人々が逃げまどっているのが見える。
次の瞬間、ユリアナ皇女が言っていたあの台詞を思い出して、セシリアはその身を固まらせる。ソルデア王がセシリアの方を向いて顔を近づけ、まるで幽霊でも見るような目でセシリアを見て、こうつぶやいたのだ。
「あなたはここにいるべき人間ではない。世界に厄災をもたらす存在だ。私の大切な人を苦しめる存在。どうかこの世から消えてください」
そういうと二つの月を背後にしてセシリアに覆いかぶさるように、ソルデア王は壁際に彼女を追い詰めた。逆光であまりよくは見えないが、その淡い灰色の瞳はこの言葉が冗談ではないことを語っている。
ソルデア王の肩越しにセシリアが見たものは、味方だと思って油断していたギルア騎士とリューク騎士を背後から狙い撃ちして、何本もの剣でその体を突き刺しているナイメール公国の近衛兵たちだった。
「・・・・・なんて・・ことを・・・!!!??」
セシリアの口から漏れたのは、驚愕のことばだった。どうして友好国であるナイメール公国の兵士が、王国の騎士達を攻撃するのか、サクラには理解できなかったからだ。
ソルデア王が懐に隠してあった短剣を持ち出して、セシリアに向ける。その短剣が月の光に照らされて反射してセシリアの視界を奪う。咄嗟に短剣を避けようとしたが、レンブレント王に掴まれた右腕が痛んで思うように動けない。
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