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38、専属メイドの下克上
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あの事件のあと、リアムさんとシャーロット様は何度か揃ってお屋敷に挨拶に訪れた。
今はご主人様が用意したお屋敷にお二人で住んでいるという。それは王都からそう離れていない海辺の静かな街で、シャーロット様はとても気に入っておられるよう。
「あの、私たち……恥ずかしいですけど来年には結婚するのです。ね、リアム」
シャーロット様が恥ずかし気に小さな声でつぶやかれて驚く。その隣でリアムさんが頬を赤らめた。いつの間にそんなことになったのか驚くが、ご主人様はいつものように落ち着いたまま。
おめでとうと祝福の言葉をかけた。その様子に、もしかしてご主人様はお二人のお気持ちをあらかじめ知っていたのかもしれないとふと思う。
(だから幽霊じゃないと証明するのを引き延ばしていたのでしょうか。だってハーブリット伯爵様は女好きの悪い人でした。そんな男性と結婚するのを見過ごせなかったのかもしません……だからあの抜け道のことも黙っていたのではないでしょうか)
ハーブリット伯爵に恩を売るチャンスだったのに、エゴイストで自分勝手なご主人様がみすみすそんなチャンスを逃すとは思えない。
でもそうなるとご主人様はとても親切ないい人ということになる。私は頭を大きく横に振った。
(そんなことあるはずがありません! だって私は今朝もリチャード様にいじめられたのですから! というかあれから毎日のように嫌がらせを受けています!)
ウォーキングの練習だといわれ頭に水の入ったコップを置かれて歩かされたり、自然な笑顔の練習だといわれて顔にテープを張られたり。しかもそれを絶対に他の使用人には気づかせない徹底ぶり。
みなご主人様が私につきっきりで貴族のマナーを教えていると噂しているが、実際ご主人様はその間カウチで優雅に本を読んでくつろいでいるのだ。
「これだったら専属メイドの時の方がまだましでした……うぅ」
ぽそっとこぼした弱音をシャーロット様に聞かれていたらしい。彼女は小さく微笑むと、
「エマさん。大変そうですけど頑張ってください。なにか相談事があるのなら私にいってくださいませ。あまり力にはなれないかもしれませんが、お聞きすることくらいはできますから」
「シャーロット様ぁ!」
私は差し出された彼女の手をしっかと握った。リアムさんがそんな私たちを見て嬉しそうに笑みを漏らす。
「お嬢様、ご友人ができたようで良かったですね」
お二人の目があった瞬間に、シャーロット様が頬を赤くして睫毛を伏せられる。本当にお可愛らしい方だ。私まで心がほわわぁとなって癒される。
リアムさんから新しいお屋敷でキティさんもまた侍女として働いてもらっていると聞いた。シャーロット様は顔も知らないお母様のことを聞けて嬉しいのだと話していらした。
しばらくお話をしてからお二人はお屋敷に戻っていった。
「本当にお幸せそうで良かったですね。でも本当にあの遺産は必要なかったのでしょうか。なんだかもったいない気がしますね」
馬車を見送ったあと私がそういうと、ご主人様がぼそりとつぶやく。
「キティはあのネックレスの持ち主ですから。恐らく遺産はもう手に入れてあるんでしょうね」
「へ? どういうことですか?」
私が聞き返すと、ご主人様は私の方を向いてにっこりと極上の笑顔をおみせになった。
「エマ、人の心配よりも自分の婚約式です。この屋敷には大勢の貴族が詰めかけますからね。あぁ、そういえばアデール王妃も参加されるようですよ。緊張しすぎて失敗しないでくださいね」
その言葉に頭の中が一瞬で真っ白になる。王妃様など貴族であった時でもお顔すら拝見したことのない方。そういえばエマーソン家は王国が建国されるときに素晴らしい働きをした貴族五人の中に名を連ねている。
(ひゃぁぁぁ! どうしましょうか! やっぱり私には無理ですぅ!)
「あの、リチャード様。やっぱり辞職届を受理していただくわけにはいきませんか? ひぎゃっ!」
小さな声でそういうと、ご主人様にこっそりと背中をつねられる。相変わらずの酷い仕打ちだ。そうして私は泣く泣くご主人様が考え付く様々な練習に付き合わされた。
そうこうするうちに瞬く間に日は過ぎ、明日婚約式の日を迎えるという前夜になる。
ご主人様は考え得るあらゆるものをすでに手配していたらしく、一か月の猶予しかなかったはずなのにすらすらと物事が運んでいく。
脅されてお願いしますと頭を下げさせられたのはご主人様の嘘だったのだ。ドレスすら自分で選ぶ必要がなかった。自分で何かを選ぶのが苦手な私にはとても助かること。
しかもその値段は私の想像より二桁も違っていた。もし私の自由に選べたとすれば、迷わず一番安いものに決めていただろう。
リチャード様が選んだのは、一度は着てみたかったノースリーブのピンクのドレス。ご主人様はなぜだか私の好みを熟知していて、うまく説明できない私の代わりにそれを完璧に実現してくださる。
子供のころからの憧れの可愛らしいデザインにあわせて、アクセサリーも最高級のものが選ばれた。
しかもそれは思いのほか私に似合っていて、仕立て屋の人たちも素晴らしいと褒めてくれた。自分でもすごく満足している。
けれどもそれとは反対に、私の心は日に日に沈んでいくのだ。夕食を終えた後、式の順番を何度も頭の中で反復しているとご主人様の声が聞こえてきた。
「さぁ、エマ。何か言いたいことがあるなら言え。頭を下げなくてもいまなら特別に聞いてやる」
そうしていつもの傲慢スタイルでベッドわきの椅子に腰を掛ける。足を組んで腕はひざ掛けに、そうして機嫌の悪そうな低い声。相変わらずの不遜な態度だ。私は苦笑いをして顔を横に振る。
「い、いえ結構です」
「だから、言え。お前が何か隠しているのはわかっているんだからな」
「ほ、本当になんでもありません。きっと婚約式ブルーなんです」
慌てて否定するがご主人様はそんなことでは許してくださらない。彼は大きくため息をつくと、冷たい目をしてこうおっしゃった。
「分かった、だったらブルーなお前のためにドレスのデザインを斬新なものに変えてやろう。五十センチはある幅のプリーツを襟元に五枚ほど重ねようか。どうだ? エマ。お優しい婚約者様で良かったな。いまから仕立て屋に頼めば式までにはギリギリ間に合うはずだ。刺し子は徹夜になるだろうがな」
斬新なデザインどころではない。まるでエリマキトカゲのような見栄えになるのに決まっている。
そうでなくても完璧な容姿を持つリチャード様の横に並ぶのに劣等感を抱いているのだ。そんなことになったら出席者がどんな感想を抱くかすぐにわかる。私はご主人様が腰かける椅子の前に慌てて駆けつけて、情けない声を出した。
「そ、それだけはおやめくださいぃぃぃ!」
「だったら早く口を割れ。遅かれ早かれ言わされる羽目になることは分かっているんだろう」
確かにそうだ。私は観念する。大体ご主人様に隠し事をすること自体が不可能なのだ。両手をドレスの前でもじもじさせながら小さくつぶやくように話す。
「あのぅ、ずっと考えていたんですけど、怒らないで聞いてくださいね」
「あぁ、怒らない。だから早くいえ」
私はごくりと生唾を飲み込んだ。
「あの、もうここまで来た以上婚約はいたしますが、結婚するのはもっと先にしたいなと思っているんですけれど……」
するとご主人様は一瞬目を大きく見開いたかと思ったら、やおら椅子から立ち上がった。ガタッと椅子が大きな音を立てる。一瞬で目線が上がって、私は思わず一歩後ずさった。
「や、やっぱり怒るじゃないですかぁ!」
「俺は怒ってない。ただどうしてなんだ? 理由は?」
「だ、だって私、リチャード様とお手紙の交換とかデートとかしたこと一度もないんですよ。それに婚約の申し込みの大事なお言葉もいただいていません。嫉妬イベントや当て馬イベント。普通はそういうのが順番に終わってから婚約するんじゃないですか? それに私……」
「まだあるのか、何だ」
機嫌の悪そうな声に怖気そうになるが、私は先を続けた。
「私、まだリチャード様のお気持ちが信じられないというか。もしかしてこれは壮大な人生をかけたリチャード様の嫌がらせじゃないかって気がしてくるんです。そんな風に考え始めたらもう結婚なんか到底無理だって気がしてきて……だって私は何の取り柄もない普通の女なんですよ?」
「いいか、何も取り柄がないのが取り柄だということもある。手紙が欲しけりゃいくらでも書いてやるし、デートがしたいのなら今からどこにでも連れて行ってやる。もしこれが嫌がらせだと思うんだったら一生そう思っていればいい。でも俺と結婚しないつもりなら、今すぐお前をどこかに閉じ込めて俺以外に誰もあわせないようにするぞ」
ご主人様は両腕を組んで自信満々におっしゃった。あまりのセリフに空いた口が塞がらない。
「リ、リチャード様! 酷いです! 私を何だと思っていらっしゃるのですか!」
ご主人様はやるといえば絶対に実行する方。もう夜で寝る時間が近づいているというのに、いまからデートに外を連れまわされるのは拷問だ。しかも明日は婚約式なのだ。
「お前は俺のものだ。誰にもやらないし逃がすつもりもない」
ご主人様は私の反論にも一切ぶれない。このまま結婚まで一直線に進むつもりなのは明らかだ。こうなったら最後の手段だと私はお腹に力を入れる。
これは非力な専属メイドがご主人様を言い負かす最初で最後のチャンス。
(非力な専属メイドだって下克上くらいできるんですっ!)
「私、知っているんですよ。リチャード様は伯爵様と私の父と内密の約束を交わしたことを。私が二十歳の大人になってから求婚して、受け入れられれば結婚を許すというものだったんですよね。でも私がリチャード様に抱かれたのはまだ二十歳になる五時間も前でした! ということで伯爵様とのお約束は無効です!」
私の言葉は予想外だったようで、いつも余裕のあるご主人様の表情が変わった。そうして組んでいた腕を離して頭を抱える。
「エマ! お前がどうしてそれをっ! くそっ!」
そう、その話はご主人様が伯爵様のお部屋でお話をしている時にこっそりと盗み聞きしたもの。もともとそのつもりではなかったのだが、お父様の居場所を探していて偶然聞こえてしまった。
(でも、ご主人様がまさか十年も前から私と結婚するおつもりだったとは知りませんでした)
そのことを聞いたとき一番強く心に思ったのは、嬉しいとか感動したとかでなく “ようやくご主人様をぎゃふんといわせるいい理由ができました” だった。
(これはまたとないチャンスです。結婚するまでこの話でご主人様を言い負かすことができるんですから!)
案の定、ご主人様は椅子の背もたれに手をかけて顔を押さえている。急に下克上されて困っているのだろう。私は嬉しくなって胸を張った。
(あぁ、この瞬間をどれほど待ち焦がれたことでしょう。うふふ)
「……分かった。結婚はお前がいいというまで待とう。だが婚約を破棄することは絶対に認めないからな」
「ほ、本当ですか!」
初めてご主人様を言い負かした瞬間に心が躍る。いつもは私が負けてしまうのにあり得ない。ご主人様は前髪を手でかきあげながら、上目遣いに私を見る。そのしぐさが格好良かったので、私の心臓はドキンと無駄に音を立てた。
「あぁ、本当だ。お前の気持ちを思ってあれから手を出すのは控えてたんだが仕方ない」
ご主人様はそういうと、私の両手首を持った。
そうしてご自分のタイをほどいて縛り付ける。あまりにもスムーズにされるので逆に疑問が挟めなくなる。ぼうっと見ているうちに私の手は頭上で拘束されていた。
「あ、あのぅ?」
「あぁ、お前は気にするな。じっとしているだけでいい。できれば口も閉じていろ」
「いえ、ですから……きゃぁぁぁっ!」
あっという間にドレスの裾をたくし上げられ下着を外される。シャーロット様のお屋敷で初めて抱かれたのと、ヒッグス様のお屋敷から戻ったときだけで、あれからそういうことは一切なかった。
急な展開に驚く。ご主人様はドレスの前のボタンをはだけさせながら強い口調でこう言った。
「婚約期間に子ができることはままあることだ。そうなると強制的に結婚だが、俺はお前の意思を尊重するからな。どうしても結婚したければ俺に頼むといい」
「ひ、卑怯ですぅぅぅ! リチャード様! ひゃぁぁっ!」
ご主人様が私の乳房の頂を一気に口に含んだので、変な声が口を突いて出る。いつの間にか彼は椅子の上に腰かけていたようだ。もう片方の手でもう一つの乳房をもてあそび始めた。
「ふわぁぁぁ……あ、んっ!」
「ほら、乳首がピンっと立ってきたぞ……何も言わなくてもお前のことは分かっている」
そういって舌先でころころと転がす。時には軽く吸って周りを舐めたり、様々なやり方で攻めてくる。いつの間にかご主人様の手は股の間でうごめいていて、次第に足が震えて立てなくなってきた。
「ふわぁっ……リ、リチャード様ぁ」
「分かっているか? エマ、いまお前の太腿を何が流れていったと思う……」
「し、知りませ……あ、ぁんっ!」
「お前の愛液だ。俺が欲しくて涎を垂らしているんだ」
「そんな……いわないでくだ……あぁ」
あまりに恥ずかしいことを言われて半泣きになる。そういわれれば、そんな感触が足の上を這って行った。
「お前が頼むなら涎を拭いてやるぞ。エマはいま手が使えないだろう」
それはご主人様のせいだと言いたいが、頭がぼんやりとして何も言い返せない。こくこくと頷くと私の体を椅子の方に引き寄せた。
そうして椅子に座っている自分に跨がせる形で膝を突かせる。ご主人様は何も言わずにドレスの裾を大きくめくりあげた。
ご主人様はいきなり私の太腿を舐め上げるように舌で舐った。ぞくぞくぞくっと背中が震えて腰を逸らす。逃げたいのに椅子が狭いので逃げられない。
「や、いやぁ! やめてくださいぃ! ご主人様ぁ!」
ゆっくりと膝の方から太腿に上がってくるご主人様の舌は、足の付け根まで動いて止まった。次の瞬間、いきなり熱い熱をあそこに感じて腰をよじらせる。
またご主人様があそこを舐めたのだ。敏感な小さな豆粒を指と舌で何度も転がされ吸われる。不安定な椅子の上で、私は何度も全身を震わせて快感に浸った。
(あぁ、どうしてご主人様は私の弱いところをこんなにも知っているのでしょうか……)
気が付くと、ご主人様は器用にご自分のズボンの前を開いていたようだ。そそり立つ男性のものをみて、妙な感情を覚える。
私に欲情してくださっているご主人様を見るのはなんだか嬉しい。でもこの大きさのものが自分の中に入るということがまだ信じられない。
「む、無理ですぅ。こんなの入ったら死んじゃいます」
「大丈夫だ。お前はもう二度も俺を受け入れているんだからな」
そういわれても怖いものは怖い。なのにご主人様は私の腰を掴むと、徐々に体を自分の膝の上に降ろしていく。
「これはいい。お前の顔をずっと見ていられるからな」
「ひゃうんっ!」
硬くて熱いものが蜜口に触れた感触で声を出してしまう。そうしてゆっくりと狭い入り口を割って、ご主人様の剛直が挿入されていった。私は口を開けたまま、何度も小さな息を繰り返して耐える。
荒い息が私の頬をかすめていくのに気が付いた。視線を上げるとご主人様の欲望を孕んだお顔が見えた。安心して全身の力が抜ける。
(本当です、こうしたらご主人様のお顔がよく見えますね。あぁ、なんて耽美なお顔なのでしょうか)
一つになる寸前のご主人様の顔は喜びと愛情に満ちていた。それはいつもの外面でもなく、かといって私の前だけで見せる横暴なものでもない。
素のご主人様がそこにいらっしゃった。胸の奥がじーんと熱くなっていく。
(あぁ、どんな言葉よりもご主人様に愛されているのだと感じます)
そうして一つになった瞬間、私はイってしまった。頭の奥が痺れて何度も腰が跳ねる。
ご主人様が湿気のこもった熱い息をこぼしながら嬉しそうに微笑まれた。整ったお顔の額には汗が光っている。
「ははっ、エマ。こんなに敏感すぎると一晩持たない。もう少し我慢を覚えろ」
「そ、そんなこと言われましても……うぅ」
私の頬を流れる涙をご主人様は大事そうに舌で舐めとる。そうして瞼にキスを落とした。私たちは一つになったままの姿で見つめ合う。
ご主人様は官能に侵されて更に耽美さが増して格好いい。どきどきと心臓が鳴っているのに気づかれないかとハラハラする。彼は私を愛情のこもった瞳で見ると、優しい声でこう言った。
「エマ、口の端から涎が垂れているぞ」
「……!」
どんな甘い言葉を囁いてくれるかと期待したのに……言い返そうとした瞬間に腰を突き上げられて目の前を星が飛ぶ。
「あぁっ! はっ! はぁっ!」
先ほどまでとは違って荒々しいご主人様に、私は椅子から落ちないよう縛られた手を背中に回した。ちょうど頬と頬が重なって彼の声が耳元で聞こえる。
「あぁエマ、エマ……エマ」
なんども自分の名前を呼ばれて揺さぶられ、まるで天国にいるような気持ちになってきた。これ以上にないほどご主人様と繋がっているのだ。
(お腹の中がすごく熱い……これがご主人様なんですよね。すごく変な感触です)
くちゅりくちゅりと愛液が淫猥な音を立てる。抽挿を繰り返す度にその音は激しさを増していった。そうしてご主人様が荒い息を一気に吸い込んで止まった。
「あぁっ! んっ!」
下腹部で何かがどくどくとうごめいている。そこから私の全身に広がるように、私自身もイってしまった。そんな私をいたわるようにご主人様は腕の中に深く抱きしめた。息もできないくらいに幸せを感じる。
ご主人様は長ーいため息をつかれてから甘い声で囁いた。
「エマ、少しやせた方がいい。膝が痺れてきたぞ」
せっかく浸っていたのに台無しだ。私が頬を膨らませて体を離すと、ご主人様は本当に楽しそうに微笑まれた。
「明日からお前は俺の婚約者だ」
あまりに嬉しそうに笑うので、怒ろうと思っていた毒気を抜かれる。
(まぁ、いいです。ご主人様のお気持ちはわかりましたから。結婚式を挙げるまではあのネタでぎゃふんといわせられますしね)
私はそのまま熱い体をご主人様にすべて預けた。呼吸の度に揺れる温かい体温にくるまれて、私はゆっくりと目を閉じた。
Fin
ようやく終わりました。ここまで読んでいただいた方、皆様に深くお礼申し上げます。
おバカなエマと、エマだけには小心者のリチャード。
二人はこのままツッコミ不在で突き進んでいくのでしょう。
ありがとうございます。そうしてまた次回作でお会いできることを願っています。
南 玲子
今はご主人様が用意したお屋敷にお二人で住んでいるという。それは王都からそう離れていない海辺の静かな街で、シャーロット様はとても気に入っておられるよう。
「あの、私たち……恥ずかしいですけど来年には結婚するのです。ね、リアム」
シャーロット様が恥ずかし気に小さな声でつぶやかれて驚く。その隣でリアムさんが頬を赤らめた。いつの間にそんなことになったのか驚くが、ご主人様はいつものように落ち着いたまま。
おめでとうと祝福の言葉をかけた。その様子に、もしかしてご主人様はお二人のお気持ちをあらかじめ知っていたのかもしれないとふと思う。
(だから幽霊じゃないと証明するのを引き延ばしていたのでしょうか。だってハーブリット伯爵様は女好きの悪い人でした。そんな男性と結婚するのを見過ごせなかったのかもしません……だからあの抜け道のことも黙っていたのではないでしょうか)
ハーブリット伯爵に恩を売るチャンスだったのに、エゴイストで自分勝手なご主人様がみすみすそんなチャンスを逃すとは思えない。
でもそうなるとご主人様はとても親切ないい人ということになる。私は頭を大きく横に振った。
(そんなことあるはずがありません! だって私は今朝もリチャード様にいじめられたのですから! というかあれから毎日のように嫌がらせを受けています!)
ウォーキングの練習だといわれ頭に水の入ったコップを置かれて歩かされたり、自然な笑顔の練習だといわれて顔にテープを張られたり。しかもそれを絶対に他の使用人には気づかせない徹底ぶり。
みなご主人様が私につきっきりで貴族のマナーを教えていると噂しているが、実際ご主人様はその間カウチで優雅に本を読んでくつろいでいるのだ。
「これだったら専属メイドの時の方がまだましでした……うぅ」
ぽそっとこぼした弱音をシャーロット様に聞かれていたらしい。彼女は小さく微笑むと、
「エマさん。大変そうですけど頑張ってください。なにか相談事があるのなら私にいってくださいませ。あまり力にはなれないかもしれませんが、お聞きすることくらいはできますから」
「シャーロット様ぁ!」
私は差し出された彼女の手をしっかと握った。リアムさんがそんな私たちを見て嬉しそうに笑みを漏らす。
「お嬢様、ご友人ができたようで良かったですね」
お二人の目があった瞬間に、シャーロット様が頬を赤くして睫毛を伏せられる。本当にお可愛らしい方だ。私まで心がほわわぁとなって癒される。
リアムさんから新しいお屋敷でキティさんもまた侍女として働いてもらっていると聞いた。シャーロット様は顔も知らないお母様のことを聞けて嬉しいのだと話していらした。
しばらくお話をしてからお二人はお屋敷に戻っていった。
「本当にお幸せそうで良かったですね。でも本当にあの遺産は必要なかったのでしょうか。なんだかもったいない気がしますね」
馬車を見送ったあと私がそういうと、ご主人様がぼそりとつぶやく。
「キティはあのネックレスの持ち主ですから。恐らく遺産はもう手に入れてあるんでしょうね」
「へ? どういうことですか?」
私が聞き返すと、ご主人様は私の方を向いてにっこりと極上の笑顔をおみせになった。
「エマ、人の心配よりも自分の婚約式です。この屋敷には大勢の貴族が詰めかけますからね。あぁ、そういえばアデール王妃も参加されるようですよ。緊張しすぎて失敗しないでくださいね」
その言葉に頭の中が一瞬で真っ白になる。王妃様など貴族であった時でもお顔すら拝見したことのない方。そういえばエマーソン家は王国が建国されるときに素晴らしい働きをした貴族五人の中に名を連ねている。
(ひゃぁぁぁ! どうしましょうか! やっぱり私には無理ですぅ!)
「あの、リチャード様。やっぱり辞職届を受理していただくわけにはいきませんか? ひぎゃっ!」
小さな声でそういうと、ご主人様にこっそりと背中をつねられる。相変わらずの酷い仕打ちだ。そうして私は泣く泣くご主人様が考え付く様々な練習に付き合わされた。
そうこうするうちに瞬く間に日は過ぎ、明日婚約式の日を迎えるという前夜になる。
ご主人様は考え得るあらゆるものをすでに手配していたらしく、一か月の猶予しかなかったはずなのにすらすらと物事が運んでいく。
脅されてお願いしますと頭を下げさせられたのはご主人様の嘘だったのだ。ドレスすら自分で選ぶ必要がなかった。自分で何かを選ぶのが苦手な私にはとても助かること。
しかもその値段は私の想像より二桁も違っていた。もし私の自由に選べたとすれば、迷わず一番安いものに決めていただろう。
リチャード様が選んだのは、一度は着てみたかったノースリーブのピンクのドレス。ご主人様はなぜだか私の好みを熟知していて、うまく説明できない私の代わりにそれを完璧に実現してくださる。
子供のころからの憧れの可愛らしいデザインにあわせて、アクセサリーも最高級のものが選ばれた。
しかもそれは思いのほか私に似合っていて、仕立て屋の人たちも素晴らしいと褒めてくれた。自分でもすごく満足している。
けれどもそれとは反対に、私の心は日に日に沈んでいくのだ。夕食を終えた後、式の順番を何度も頭の中で反復しているとご主人様の声が聞こえてきた。
「さぁ、エマ。何か言いたいことがあるなら言え。頭を下げなくてもいまなら特別に聞いてやる」
そうしていつもの傲慢スタイルでベッドわきの椅子に腰を掛ける。足を組んで腕はひざ掛けに、そうして機嫌の悪そうな低い声。相変わらずの不遜な態度だ。私は苦笑いをして顔を横に振る。
「い、いえ結構です」
「だから、言え。お前が何か隠しているのはわかっているんだからな」
「ほ、本当になんでもありません。きっと婚約式ブルーなんです」
慌てて否定するがご主人様はそんなことでは許してくださらない。彼は大きくため息をつくと、冷たい目をしてこうおっしゃった。
「分かった、だったらブルーなお前のためにドレスのデザインを斬新なものに変えてやろう。五十センチはある幅のプリーツを襟元に五枚ほど重ねようか。どうだ? エマ。お優しい婚約者様で良かったな。いまから仕立て屋に頼めば式までにはギリギリ間に合うはずだ。刺し子は徹夜になるだろうがな」
斬新なデザインどころではない。まるでエリマキトカゲのような見栄えになるのに決まっている。
そうでなくても完璧な容姿を持つリチャード様の横に並ぶのに劣等感を抱いているのだ。そんなことになったら出席者がどんな感想を抱くかすぐにわかる。私はご主人様が腰かける椅子の前に慌てて駆けつけて、情けない声を出した。
「そ、それだけはおやめくださいぃぃぃ!」
「だったら早く口を割れ。遅かれ早かれ言わされる羽目になることは分かっているんだろう」
確かにそうだ。私は観念する。大体ご主人様に隠し事をすること自体が不可能なのだ。両手をドレスの前でもじもじさせながら小さくつぶやくように話す。
「あのぅ、ずっと考えていたんですけど、怒らないで聞いてくださいね」
「あぁ、怒らない。だから早くいえ」
私はごくりと生唾を飲み込んだ。
「あの、もうここまで来た以上婚約はいたしますが、結婚するのはもっと先にしたいなと思っているんですけれど……」
するとご主人様は一瞬目を大きく見開いたかと思ったら、やおら椅子から立ち上がった。ガタッと椅子が大きな音を立てる。一瞬で目線が上がって、私は思わず一歩後ずさった。
「や、やっぱり怒るじゃないですかぁ!」
「俺は怒ってない。ただどうしてなんだ? 理由は?」
「だ、だって私、リチャード様とお手紙の交換とかデートとかしたこと一度もないんですよ。それに婚約の申し込みの大事なお言葉もいただいていません。嫉妬イベントや当て馬イベント。普通はそういうのが順番に終わってから婚約するんじゃないですか? それに私……」
「まだあるのか、何だ」
機嫌の悪そうな声に怖気そうになるが、私は先を続けた。
「私、まだリチャード様のお気持ちが信じられないというか。もしかしてこれは壮大な人生をかけたリチャード様の嫌がらせじゃないかって気がしてくるんです。そんな風に考え始めたらもう結婚なんか到底無理だって気がしてきて……だって私は何の取り柄もない普通の女なんですよ?」
「いいか、何も取り柄がないのが取り柄だということもある。手紙が欲しけりゃいくらでも書いてやるし、デートがしたいのなら今からどこにでも連れて行ってやる。もしこれが嫌がらせだと思うんだったら一生そう思っていればいい。でも俺と結婚しないつもりなら、今すぐお前をどこかに閉じ込めて俺以外に誰もあわせないようにするぞ」
ご主人様は両腕を組んで自信満々におっしゃった。あまりのセリフに空いた口が塞がらない。
「リ、リチャード様! 酷いです! 私を何だと思っていらっしゃるのですか!」
ご主人様はやるといえば絶対に実行する方。もう夜で寝る時間が近づいているというのに、いまからデートに外を連れまわされるのは拷問だ。しかも明日は婚約式なのだ。
「お前は俺のものだ。誰にもやらないし逃がすつもりもない」
ご主人様は私の反論にも一切ぶれない。このまま結婚まで一直線に進むつもりなのは明らかだ。こうなったら最後の手段だと私はお腹に力を入れる。
これは非力な専属メイドがご主人様を言い負かす最初で最後のチャンス。
(非力な専属メイドだって下克上くらいできるんですっ!)
「私、知っているんですよ。リチャード様は伯爵様と私の父と内密の約束を交わしたことを。私が二十歳の大人になってから求婚して、受け入れられれば結婚を許すというものだったんですよね。でも私がリチャード様に抱かれたのはまだ二十歳になる五時間も前でした! ということで伯爵様とのお約束は無効です!」
私の言葉は予想外だったようで、いつも余裕のあるご主人様の表情が変わった。そうして組んでいた腕を離して頭を抱える。
「エマ! お前がどうしてそれをっ! くそっ!」
そう、その話はご主人様が伯爵様のお部屋でお話をしている時にこっそりと盗み聞きしたもの。もともとそのつもりではなかったのだが、お父様の居場所を探していて偶然聞こえてしまった。
(でも、ご主人様がまさか十年も前から私と結婚するおつもりだったとは知りませんでした)
そのことを聞いたとき一番強く心に思ったのは、嬉しいとか感動したとかでなく “ようやくご主人様をぎゃふんといわせるいい理由ができました” だった。
(これはまたとないチャンスです。結婚するまでこの話でご主人様を言い負かすことができるんですから!)
案の定、ご主人様は椅子の背もたれに手をかけて顔を押さえている。急に下克上されて困っているのだろう。私は嬉しくなって胸を張った。
(あぁ、この瞬間をどれほど待ち焦がれたことでしょう。うふふ)
「……分かった。結婚はお前がいいというまで待とう。だが婚約を破棄することは絶対に認めないからな」
「ほ、本当ですか!」
初めてご主人様を言い負かした瞬間に心が躍る。いつもは私が負けてしまうのにあり得ない。ご主人様は前髪を手でかきあげながら、上目遣いに私を見る。そのしぐさが格好良かったので、私の心臓はドキンと無駄に音を立てた。
「あぁ、本当だ。お前の気持ちを思ってあれから手を出すのは控えてたんだが仕方ない」
ご主人様はそういうと、私の両手首を持った。
そうしてご自分のタイをほどいて縛り付ける。あまりにもスムーズにされるので逆に疑問が挟めなくなる。ぼうっと見ているうちに私の手は頭上で拘束されていた。
「あ、あのぅ?」
「あぁ、お前は気にするな。じっとしているだけでいい。できれば口も閉じていろ」
「いえ、ですから……きゃぁぁぁっ!」
あっという間にドレスの裾をたくし上げられ下着を外される。シャーロット様のお屋敷で初めて抱かれたのと、ヒッグス様のお屋敷から戻ったときだけで、あれからそういうことは一切なかった。
急な展開に驚く。ご主人様はドレスの前のボタンをはだけさせながら強い口調でこう言った。
「婚約期間に子ができることはままあることだ。そうなると強制的に結婚だが、俺はお前の意思を尊重するからな。どうしても結婚したければ俺に頼むといい」
「ひ、卑怯ですぅぅぅ! リチャード様! ひゃぁぁっ!」
ご主人様が私の乳房の頂を一気に口に含んだので、変な声が口を突いて出る。いつの間にか彼は椅子の上に腰かけていたようだ。もう片方の手でもう一つの乳房をもてあそび始めた。
「ふわぁぁぁ……あ、んっ!」
「ほら、乳首がピンっと立ってきたぞ……何も言わなくてもお前のことは分かっている」
そういって舌先でころころと転がす。時には軽く吸って周りを舐めたり、様々なやり方で攻めてくる。いつの間にかご主人様の手は股の間でうごめいていて、次第に足が震えて立てなくなってきた。
「ふわぁっ……リ、リチャード様ぁ」
「分かっているか? エマ、いまお前の太腿を何が流れていったと思う……」
「し、知りませ……あ、ぁんっ!」
「お前の愛液だ。俺が欲しくて涎を垂らしているんだ」
「そんな……いわないでくだ……あぁ」
あまりに恥ずかしいことを言われて半泣きになる。そういわれれば、そんな感触が足の上を這って行った。
「お前が頼むなら涎を拭いてやるぞ。エマはいま手が使えないだろう」
それはご主人様のせいだと言いたいが、頭がぼんやりとして何も言い返せない。こくこくと頷くと私の体を椅子の方に引き寄せた。
そうして椅子に座っている自分に跨がせる形で膝を突かせる。ご主人様は何も言わずにドレスの裾を大きくめくりあげた。
ご主人様はいきなり私の太腿を舐め上げるように舌で舐った。ぞくぞくぞくっと背中が震えて腰を逸らす。逃げたいのに椅子が狭いので逃げられない。
「や、いやぁ! やめてくださいぃ! ご主人様ぁ!」
ゆっくりと膝の方から太腿に上がってくるご主人様の舌は、足の付け根まで動いて止まった。次の瞬間、いきなり熱い熱をあそこに感じて腰をよじらせる。
またご主人様があそこを舐めたのだ。敏感な小さな豆粒を指と舌で何度も転がされ吸われる。不安定な椅子の上で、私は何度も全身を震わせて快感に浸った。
(あぁ、どうしてご主人様は私の弱いところをこんなにも知っているのでしょうか……)
気が付くと、ご主人様は器用にご自分のズボンの前を開いていたようだ。そそり立つ男性のものをみて、妙な感情を覚える。
私に欲情してくださっているご主人様を見るのはなんだか嬉しい。でもこの大きさのものが自分の中に入るということがまだ信じられない。
「む、無理ですぅ。こんなの入ったら死んじゃいます」
「大丈夫だ。お前はもう二度も俺を受け入れているんだからな」
そういわれても怖いものは怖い。なのにご主人様は私の腰を掴むと、徐々に体を自分の膝の上に降ろしていく。
「これはいい。お前の顔をずっと見ていられるからな」
「ひゃうんっ!」
硬くて熱いものが蜜口に触れた感触で声を出してしまう。そうしてゆっくりと狭い入り口を割って、ご主人様の剛直が挿入されていった。私は口を開けたまま、何度も小さな息を繰り返して耐える。
荒い息が私の頬をかすめていくのに気が付いた。視線を上げるとご主人様の欲望を孕んだお顔が見えた。安心して全身の力が抜ける。
(本当です、こうしたらご主人様のお顔がよく見えますね。あぁ、なんて耽美なお顔なのでしょうか)
一つになる寸前のご主人様の顔は喜びと愛情に満ちていた。それはいつもの外面でもなく、かといって私の前だけで見せる横暴なものでもない。
素のご主人様がそこにいらっしゃった。胸の奥がじーんと熱くなっていく。
(あぁ、どんな言葉よりもご主人様に愛されているのだと感じます)
そうして一つになった瞬間、私はイってしまった。頭の奥が痺れて何度も腰が跳ねる。
ご主人様が湿気のこもった熱い息をこぼしながら嬉しそうに微笑まれた。整ったお顔の額には汗が光っている。
「ははっ、エマ。こんなに敏感すぎると一晩持たない。もう少し我慢を覚えろ」
「そ、そんなこと言われましても……うぅ」
私の頬を流れる涙をご主人様は大事そうに舌で舐めとる。そうして瞼にキスを落とした。私たちは一つになったままの姿で見つめ合う。
ご主人様は官能に侵されて更に耽美さが増して格好いい。どきどきと心臓が鳴っているのに気づかれないかとハラハラする。彼は私を愛情のこもった瞳で見ると、優しい声でこう言った。
「エマ、口の端から涎が垂れているぞ」
「……!」
どんな甘い言葉を囁いてくれるかと期待したのに……言い返そうとした瞬間に腰を突き上げられて目の前を星が飛ぶ。
「あぁっ! はっ! はぁっ!」
先ほどまでとは違って荒々しいご主人様に、私は椅子から落ちないよう縛られた手を背中に回した。ちょうど頬と頬が重なって彼の声が耳元で聞こえる。
「あぁエマ、エマ……エマ」
なんども自分の名前を呼ばれて揺さぶられ、まるで天国にいるような気持ちになってきた。これ以上にないほどご主人様と繋がっているのだ。
(お腹の中がすごく熱い……これがご主人様なんですよね。すごく変な感触です)
くちゅりくちゅりと愛液が淫猥な音を立てる。抽挿を繰り返す度にその音は激しさを増していった。そうしてご主人様が荒い息を一気に吸い込んで止まった。
「あぁっ! んっ!」
下腹部で何かがどくどくとうごめいている。そこから私の全身に広がるように、私自身もイってしまった。そんな私をいたわるようにご主人様は腕の中に深く抱きしめた。息もできないくらいに幸せを感じる。
ご主人様は長ーいため息をつかれてから甘い声で囁いた。
「エマ、少しやせた方がいい。膝が痺れてきたぞ」
せっかく浸っていたのに台無しだ。私が頬を膨らませて体を離すと、ご主人様は本当に楽しそうに微笑まれた。
「明日からお前は俺の婚約者だ」
あまりに嬉しそうに笑うので、怒ろうと思っていた毒気を抜かれる。
(まぁ、いいです。ご主人様のお気持ちはわかりましたから。結婚式を挙げるまではあのネタでぎゃふんといわせられますしね)
私はそのまま熱い体をご主人様にすべて預けた。呼吸の度に揺れる温かい体温にくるまれて、私はゆっくりと目を閉じた。
Fin
ようやく終わりました。ここまで読んでいただいた方、皆様に深くお礼申し上げます。
おバカなエマと、エマだけには小心者のリチャード。
二人はこのままツッコミ不在で突き進んでいくのでしょう。
ありがとうございます。そうしてまた次回作でお会いできることを願っています。
南 玲子
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