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第四章~代償と恋路~
波乱
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長いようで短いゴールデンウィークも終わり、一人で学校に向かっている。
連休前までは楓と登校していたが、連休明けから部活が本格的に始動して朝練がある為久しぶりに一人での登校だ。
楓と一緒に登校していたのはそんなに長い期間ではなかったが、一人だと寂しく感じてしまう。
去年まで……いや、楓と付き合うまで一人で通っていたのが当たり前だったのに、いつの間にか楓と登校するのが当たり前になっていた事に驚きを感じた。
一人でいるのが当たり前だったのにな。
そんな事を考えながら学校に向かう。
教室に入り、自分の席に着くと、及川が揶揄うように言ってくる。
「楓と一緒じゃなくて寂しかったでしょ~」
「まぁな。でも部活じゃしょうがないよ」
俺が素直に肯定すると
「もっと慌てると思ったのに~、つまんな~い」
と言っている。やっぱり揶揄う気だったんだな。
と、そこに水瀬がやって来て
「おっはよー! 元気にしてるー?」
と言いながら俺の肩をバシンッと叩く。
「いってぇ、ってかなんだよ元気にしてる? って」
「いやー、楓が居なくて寂しいんじゃないかと思って」
水瀬も及川と同じような事言いやがって。
今の俺ってそんなに寂しそうに見えるのか?
「だから大丈夫だって! そんなに寂しそうに見えるのか?」
「「うん、見える」」
「ハモった!」
マジか。いつもと同じつもりだったけど表情とかに出てたのだろうか?
気を付けないとこれからもこの二人に揶揄われてしまう!
そう考えていた時、朝練終わりの楓が教室に入って来た。
それを見た及川と水瀬は、楓の所に集まる。
きっとさっきの事をネタにされているのだろう。
しばらくして三人で俺の席まで来て
「ほら! 寂しそうでしょ?」
「まるで捨てられた子犬だね!」
と好き好きに楓に報告し、楓が
「ごめんね? 友也君がそんなに寂しがるなんて思わなかったから」
「いやいや、確かに寂しいけど、この二人がオーバーに言ってるだけだから!」
「本当?」
「本当本当! 楓は気にしないで部活頑張ってくれ」
「寂しかったら言ってね?」
「その時はちゃんと言うよ」
というやり取りを見た及川と水瀬は
「なんか佐藤、楓のペットみたい」
「忠犬って感じだね!」
と揶揄ってきた。
やっぱり揶揄われる運命なのか。
そうこうしている内にチャイムが鳴り、水瀬と楓も自分の席に戻る。
チャイムが鳴り終わると同時に担任が入って来る。
いつもこのタイミングで教室に入ってくるけど、もしかして外でスタンバってるのか?
「連休明けで五月病になってる奴は居ないかー? 居たとしても自分でなんとかしてくれー」
と言って笑いを取る先生。
「とりあえず連絡事項なー。金曜日に郊外遠足があるが、グループ訳は出来てるかー?」
と先生が言うと
「大丈夫っす! 早く肉食いたいです!」
と田口がいつものキャラで返事をする。
「そうかー良かったな田口。まぁその肉についてだが、食材は全て学校側で用意するからお前達は火起こし等の当番を決めといてくれー。詳しい事は今から配るプリントに書いてあるからちゃんと読んどけよー」
と言い、プリントを配る。
「分からない事や質問等あったら職員室まで来てくれー」
と言って教室から出て行く。相変わらず要点しか言わない人だ。
配られたプリントに目を通すと、各自の役割といった項目があった。
さっき先生が言った火起こしの他にも、調理や消防といった項目があった。
火起こしは中居達が率先してやりそうだな。と考えていると
「ちょ、ちょっと佐藤!」
と及川に呼ばれて
「ん? どうした?」
と及川の方を見ると、及川は違う方向を見ていた。
その視線を辿ると中居がいる。
しかし、中居だけでなく早川麻耶の姿もあった。
早川はギャルグループのリーダー的存在で、いつもは教室の前の方で集まっている。
そんな早川が何故? という疑問が浮かんだが、水樹の言葉を思い出した。
『早川も中居狙ってるらしい』
それに確か誕プレも準備してるって言ってたな。
及川の方を見ると、心配そうな表情でその光景を見ていた。
中居と早川が一緒にいる事で嫌が応にも注目が集まる。
そんな視線等関係無いと言わんばかりに早川が
「和樹ー、昨日誕生日だったっしょ? これあたしからプレゼント」
と言って中居の机に置く。
そしてそのまま
「んじゃねー」
と言ってグループに戻っていった。
思わず及川を見てしまう。
すると及川は怒った表情で俺に突っかかって来た。
「なんで中居は素直にプレゼント受け取るのよ!」
「俺に言われても困るんだけど」
「う~、やっぱり麻耶中居の事好きなんだ~」
と頭を抱える及川。
しかし次の瞬間、バッと顔を上げて
「中居も中居じゃない? 私のプレゼントも受け取ってるんだよ!」
「まぁ、そうだな」
「もしかして中居の好きな人って麻耶なのかな?」
「さ、さぁ?」
本当は中居も及川の事が好きだと知っているが、俺が言う訳にはいかないもんな。
だけど中居は何で早川のプレゼントを受け取ったんだ?
何か理由があるのだろうか?
と考えていると
「あぁ~イライラする! ちょっと佐藤殴らせて!」
「嫌だよ!」
及川も目に見えて不機嫌になっている。
早く中居に何とかして貰わないと俺がとばっちりで殴られそうだ。
中居が何考えてるのか分からない。
連休前までは楓と登校していたが、連休明けから部活が本格的に始動して朝練がある為久しぶりに一人での登校だ。
楓と一緒に登校していたのはそんなに長い期間ではなかったが、一人だと寂しく感じてしまう。
去年まで……いや、楓と付き合うまで一人で通っていたのが当たり前だったのに、いつの間にか楓と登校するのが当たり前になっていた事に驚きを感じた。
一人でいるのが当たり前だったのにな。
そんな事を考えながら学校に向かう。
教室に入り、自分の席に着くと、及川が揶揄うように言ってくる。
「楓と一緒じゃなくて寂しかったでしょ~」
「まぁな。でも部活じゃしょうがないよ」
俺が素直に肯定すると
「もっと慌てると思ったのに~、つまんな~い」
と言っている。やっぱり揶揄う気だったんだな。
と、そこに水瀬がやって来て
「おっはよー! 元気にしてるー?」
と言いながら俺の肩をバシンッと叩く。
「いってぇ、ってかなんだよ元気にしてる? って」
「いやー、楓が居なくて寂しいんじゃないかと思って」
水瀬も及川と同じような事言いやがって。
今の俺ってそんなに寂しそうに見えるのか?
「だから大丈夫だって! そんなに寂しそうに見えるのか?」
「「うん、見える」」
「ハモった!」
マジか。いつもと同じつもりだったけど表情とかに出てたのだろうか?
気を付けないとこれからもこの二人に揶揄われてしまう!
そう考えていた時、朝練終わりの楓が教室に入って来た。
それを見た及川と水瀬は、楓の所に集まる。
きっとさっきの事をネタにされているのだろう。
しばらくして三人で俺の席まで来て
「ほら! 寂しそうでしょ?」
「まるで捨てられた子犬だね!」
と好き好きに楓に報告し、楓が
「ごめんね? 友也君がそんなに寂しがるなんて思わなかったから」
「いやいや、確かに寂しいけど、この二人がオーバーに言ってるだけだから!」
「本当?」
「本当本当! 楓は気にしないで部活頑張ってくれ」
「寂しかったら言ってね?」
「その時はちゃんと言うよ」
というやり取りを見た及川と水瀬は
「なんか佐藤、楓のペットみたい」
「忠犬って感じだね!」
と揶揄ってきた。
やっぱり揶揄われる運命なのか。
そうこうしている内にチャイムが鳴り、水瀬と楓も自分の席に戻る。
チャイムが鳴り終わると同時に担任が入って来る。
いつもこのタイミングで教室に入ってくるけど、もしかして外でスタンバってるのか?
「連休明けで五月病になってる奴は居ないかー? 居たとしても自分でなんとかしてくれー」
と言って笑いを取る先生。
「とりあえず連絡事項なー。金曜日に郊外遠足があるが、グループ訳は出来てるかー?」
と先生が言うと
「大丈夫っす! 早く肉食いたいです!」
と田口がいつものキャラで返事をする。
「そうかー良かったな田口。まぁその肉についてだが、食材は全て学校側で用意するからお前達は火起こし等の当番を決めといてくれー。詳しい事は今から配るプリントに書いてあるからちゃんと読んどけよー」
と言い、プリントを配る。
「分からない事や質問等あったら職員室まで来てくれー」
と言って教室から出て行く。相変わらず要点しか言わない人だ。
配られたプリントに目を通すと、各自の役割といった項目があった。
さっき先生が言った火起こしの他にも、調理や消防といった項目があった。
火起こしは中居達が率先してやりそうだな。と考えていると
「ちょ、ちょっと佐藤!」
と及川に呼ばれて
「ん? どうした?」
と及川の方を見ると、及川は違う方向を見ていた。
その視線を辿ると中居がいる。
しかし、中居だけでなく早川麻耶の姿もあった。
早川はギャルグループのリーダー的存在で、いつもは教室の前の方で集まっている。
そんな早川が何故? という疑問が浮かんだが、水樹の言葉を思い出した。
『早川も中居狙ってるらしい』
それに確か誕プレも準備してるって言ってたな。
及川の方を見ると、心配そうな表情でその光景を見ていた。
中居と早川が一緒にいる事で嫌が応にも注目が集まる。
そんな視線等関係無いと言わんばかりに早川が
「和樹ー、昨日誕生日だったっしょ? これあたしからプレゼント」
と言って中居の机に置く。
そしてそのまま
「んじゃねー」
と言ってグループに戻っていった。
思わず及川を見てしまう。
すると及川は怒った表情で俺に突っかかって来た。
「なんで中居は素直にプレゼント受け取るのよ!」
「俺に言われても困るんだけど」
「う~、やっぱり麻耶中居の事好きなんだ~」
と頭を抱える及川。
しかし次の瞬間、バッと顔を上げて
「中居も中居じゃない? 私のプレゼントも受け取ってるんだよ!」
「まぁ、そうだな」
「もしかして中居の好きな人って麻耶なのかな?」
「さ、さぁ?」
本当は中居も及川の事が好きだと知っているが、俺が言う訳にはいかないもんな。
だけど中居は何で早川のプレゼントを受け取ったんだ?
何か理由があるのだろうか?
と考えていると
「あぁ~イライラする! ちょっと佐藤殴らせて!」
「嫌だよ!」
及川も目に見えて不機嫌になっている。
早く中居に何とかして貰わないと俺がとばっちりで殴られそうだ。
中居が何考えてるのか分からない。
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