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第二章 王子は魔女に恋い焦がれる

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 指を引き抜いたクロードは、ぐずぐずに濡れたエレナの蜜口に熱い楔の先端を押し当てた。ぎちぎちと音をたてそうなほどの異物感がエレナを一気に貫き通す。

「あぁっ……!!」

 身を割かれるような痛みが走り、エレナは体を震わせた。

 顔が熱くなり、瞼の縁に涙が滲む。貫いたまま荒い息を吐き出したクロードは、じっと動かずに震えるエレナを見下ろしていた。些細な違和感を感じ取ったように、クロードは覆いかぶさるようにして、エレナの髪を撫でる。

「エレナ……初めて、なのか……?」
「んんっ……」

 強がって首を横に振ったエレナは、目を開けて、間近に迫るクロードの瞳を見返した。

「ちがっ、うっ……!」
「本当に?」
「んっ……!」

 エレナは必死に頷く。まとめていたエレナの赤い髪は乱れ、白いシーツの上でひろがっていた。きつく巻いた髪を指で梳きながら、クロードは、何故かとても悲しげに「そうか」と答える。

「だが、私が、君を想う心は、変わらない……」

 ゆっくりとクロードが腰を引く。

「あぁっ……!」

 隙間なく隘路を割り裂いていた楔が抜ける寸前まで引かれると、押し戻った内に蜜が満ちた。痛みがやわらぎ、ほっとしたエレナの媚肉を擦りながら、またクロードの硬いそれが押し入ってくる。
 はじめに貫かれたときよりずっと快感は増し、奥深くに押し当てられたそれをはっきりと感じた。

「ああっ……!!」
「エレナ……ッ、絡みついてくる……」

 蜜で濡れた肉壁は張り詰めたクロードの剛直を包み、ぴくりぴくりと蠢いていた。襞がクロードをねっとりと飲み込もうとすると、彼は両腕で体を支えながら辛そうな息を吐き出す。

「これは……情けないが、もたないな……」

 ゆっくりとクロードが腰を動かしはじめる。ぬちゃ、と接合部から音がたち、クロードの熱い吐息が耳をくすぐる。

「あぁっ、あっんっ……!」
「エレナ……」

 抽送と同時に耳朶を吸われ、エレナはたまらずクロードの体にしがみつく。火照ったエレナの体よりずっと彼の肌は熱く、大きかった。押し潰された胸からクロードの速い鼓動が伝わり、それは、何故かエレナの子宮をきゅうと甘く疼かせる。

「エレナ……やっと、君を、こうして……っ!」

 耳元で囁かれた声には、長く燻ぶらせていた思いを結ばせたような熱っぽさがあった。
 子宮からはじまった甘い疼きは徐々にその根を広げていき、エレナの胸をくすぐった。

「あっ、あぁっ……!」

 エレナのうちで何かががくんと崩れた。それは媚薬に乱されてなお燻ぶっていた、クロードへの嫌悪だったのかもしれない。
 徐々に激しさを増していく律動は、エレナの剥き出しの心をも乱していく。情欲や愉悦以上の何かが内に広がっていく恐怖に、エレナは更にクロードの体に縋りつく。
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