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「……っ……、ん……ッ」
玄関ドアの鍵がかかる音を聞きながら、そのドアに押し付けられる形で、来実は昶の口づけを受けていた。
「……はぁ……ッ、んんっ」
どうしてこうなった?!
脳裏の片隅で思ったものの、思考は昶の舌の動きに霧散する。
「ふ……っ……ん」
少し浮かされた唇の隙間から熱い息を吐く来実の指は、昶のシャツを握りしめている。
「慣れてないのが可愛い。キスだけでとろっとろだな」
怖がらせるぐらいの深いキスなのに、来実は昶にしがみついて、拙いながらも応えてくれる。それが、庇護欲と独占欲をかきたてる。
唇を触れ合わせるだけのキスを何度もして、押し付けていた身体をはなす。
「おいで」
腰を引きよせながら彼女を寝室へ連れ込み、ベッドへ座らせる。
「あの…っ、シャワーだけでも…っ」
「あとで」
「だって…っ」
「あとで一緒に入ろ。今は来実を食べる方が先」
昶は言いつつ彼女の体をベッドへ寝かせて、覆いかぶさる。顔の両側へ両腕をつき、完全に捕獲したうえで唇を塞いだ。
薄くのせてあった口紅がとれるほどに舐めてから、舌先で口内を舐める。
彼女の舌に自らのそれを絡ませると、来実の体が小さく震えた。
「ん、んっ……ぁ、……ッ」
息もつけないほど深く口付けながら、来実の服をはだけさせていく。
「可愛い。あー、ほんとにヤバイかも」
「なに、が?」
「ん? 来実が可愛すぎて、壊さない自信がない」
「怖いからやめてください……」
「気持ちよくない?」
昶の指が来実の体を撫でると、ひくり、と彼女の喉が震える。
「来実が本当に怖いことは絶対しない。だから、おれに全部ちょうだい?」
服の裾から指を入れて素肌を撫でると、彼女の熱い息が零れ落ちる。
「……ん、大丈夫、ですから」
だから、ちゃんと全部、もらってください。
熱い息と一緒に吐き出された言葉に、昶が目を丸くする。
「佐藤さんだけじゃ、ないんですよ?」
「―――……ほんと、おれのこと煽るの、得意だね」
昶の辿る指に熱い息を吐けば、彼の指が胸のふくらみを撫でた。
「おれが触れるとびくびくするね。……気持ちいいんだ?」
「んっ……、こんな、……なったこと、な…から、わかんな、……っ」
処女か、と問われれば答えはNOだ。だが、気持ちいいと思ったことがあるか、の問いもNOなのだ。
今までこれほど――相手が触れるだけで体が震えることなど一度もない。体の奥がきゅんと絞られる感覚を逃がすように、熱い息を吐く。
「じゃあ、気持ちイイのも、はじめて?」
「んっ……!」
言葉を出すことができずに首を縦に振ると、彼は来実の服を脱がせながら目を細めた。
「上の口も下の口も、全部感じて……おれがいないとダメにしてあげる」
昶だけを見て、昶だけを感じる。今まで恋愛に感じていた劣等感も、全部、彼に預けてしまっていいのだろうか。
「いい、の?」
「おれがそうしたいんだ。――おれがいないと眠れないくらいになってほしい。足も手も全部絡めて、眠りたい」
まっすぐに言われて、来実の思考がほどけていく。
会話をしながら気付けば裸にされて、素肌をゆるゆると彼の指が辿る。
「あぁ、……ちょっと触れただけなのに、こんなにして」
言いつつ、昶の指が胸の先に指を乗せてくるりと撫でた。
「あぁ…っ!」
「こっちは触ってないのに勃ってる」
「も…っ、やだっ……んっ!」
「上の口は恥ずかしがってるけど、下の口は……ほら」
ほら、と言いながら昶の指が蜜に濡れた場所を撫でる。
「ひゃあ……っ」
「濡れてとろとろ」
「なっ、…撫でないで……っ」
「気持ちいい?」
「やぁ…っ!」
「嫌じゃないでしょ? 気持ちイイって言って?」
「んっ! はぁ…っはぁ…っ、ぁ、ん…ッ」
指は胸と蜜口を撫で、唇は反対の胸を舐めながら、昶は柔らかい声音で言葉を綴る。
「女性はね、気持ちが凄い大事なんだって聞いたことがある」
「気持ち…?」
「そう。セックスして気持ち良くなるのに、男以上に、女性は相手への信頼度が関係してくるって。相手を信頼して任せてもいいって、その気持ちがセックスにも影響をするんだ」
胸の先を舐めていたのをとめて、昶は真っ直ぐ彼女を見下ろす。
「おれはこんな性格だし、おれの側にいるのが嫌になるかもしれない。だけど、隣にずっといてほしいのは、来実だけだ」
真っ直ぐな視線と言葉に、来実は目を丸くして、それから小さく笑って両手を差し出した。
「こんな格好でするセリフじゃないですよ」
ふふっ、と笑う彼女を昶は抱き上げ、自分の腿の上に乗せる。向かい合わせの中、来実は彼の唇の端へ触れるだけのキスをした。
「キスしたいって思うのも、触りたいって思うのも、あ…昶さんだけです」
全身を真っ赤に染めて、来実は抱きついた。
玄関ドアの鍵がかかる音を聞きながら、そのドアに押し付けられる形で、来実は昶の口づけを受けていた。
「……はぁ……ッ、んんっ」
どうしてこうなった?!
脳裏の片隅で思ったものの、思考は昶の舌の動きに霧散する。
「ふ……っ……ん」
少し浮かされた唇の隙間から熱い息を吐く来実の指は、昶のシャツを握りしめている。
「慣れてないのが可愛い。キスだけでとろっとろだな」
怖がらせるぐらいの深いキスなのに、来実は昶にしがみついて、拙いながらも応えてくれる。それが、庇護欲と独占欲をかきたてる。
唇を触れ合わせるだけのキスを何度もして、押し付けていた身体をはなす。
「おいで」
腰を引きよせながら彼女を寝室へ連れ込み、ベッドへ座らせる。
「あの…っ、シャワーだけでも…っ」
「あとで」
「だって…っ」
「あとで一緒に入ろ。今は来実を食べる方が先」
昶は言いつつ彼女の体をベッドへ寝かせて、覆いかぶさる。顔の両側へ両腕をつき、完全に捕獲したうえで唇を塞いだ。
薄くのせてあった口紅がとれるほどに舐めてから、舌先で口内を舐める。
彼女の舌に自らのそれを絡ませると、来実の体が小さく震えた。
「ん、んっ……ぁ、……ッ」
息もつけないほど深く口付けながら、来実の服をはだけさせていく。
「可愛い。あー、ほんとにヤバイかも」
「なに、が?」
「ん? 来実が可愛すぎて、壊さない自信がない」
「怖いからやめてください……」
「気持ちよくない?」
昶の指が来実の体を撫でると、ひくり、と彼女の喉が震える。
「来実が本当に怖いことは絶対しない。だから、おれに全部ちょうだい?」
服の裾から指を入れて素肌を撫でると、彼女の熱い息が零れ落ちる。
「……ん、大丈夫、ですから」
だから、ちゃんと全部、もらってください。
熱い息と一緒に吐き出された言葉に、昶が目を丸くする。
「佐藤さんだけじゃ、ないんですよ?」
「―――……ほんと、おれのこと煽るの、得意だね」
昶の辿る指に熱い息を吐けば、彼の指が胸のふくらみを撫でた。
「おれが触れるとびくびくするね。……気持ちいいんだ?」
「んっ……、こんな、……なったこと、な…から、わかんな、……っ」
処女か、と問われれば答えはNOだ。だが、気持ちいいと思ったことがあるか、の問いもNOなのだ。
今までこれほど――相手が触れるだけで体が震えることなど一度もない。体の奥がきゅんと絞られる感覚を逃がすように、熱い息を吐く。
「じゃあ、気持ちイイのも、はじめて?」
「んっ……!」
言葉を出すことができずに首を縦に振ると、彼は来実の服を脱がせながら目を細めた。
「上の口も下の口も、全部感じて……おれがいないとダメにしてあげる」
昶だけを見て、昶だけを感じる。今まで恋愛に感じていた劣等感も、全部、彼に預けてしまっていいのだろうか。
「いい、の?」
「おれがそうしたいんだ。――おれがいないと眠れないくらいになってほしい。足も手も全部絡めて、眠りたい」
まっすぐに言われて、来実の思考がほどけていく。
会話をしながら気付けば裸にされて、素肌をゆるゆると彼の指が辿る。
「あぁ、……ちょっと触れただけなのに、こんなにして」
言いつつ、昶の指が胸の先に指を乗せてくるりと撫でた。
「あぁ…っ!」
「こっちは触ってないのに勃ってる」
「も…っ、やだっ……んっ!」
「上の口は恥ずかしがってるけど、下の口は……ほら」
ほら、と言いながら昶の指が蜜に濡れた場所を撫でる。
「ひゃあ……っ」
「濡れてとろとろ」
「なっ、…撫でないで……っ」
「気持ちいい?」
「やぁ…っ!」
「嫌じゃないでしょ? 気持ちイイって言って?」
「んっ! はぁ…っはぁ…っ、ぁ、ん…ッ」
指は胸と蜜口を撫で、唇は反対の胸を舐めながら、昶は柔らかい声音で言葉を綴る。
「女性はね、気持ちが凄い大事なんだって聞いたことがある」
「気持ち…?」
「そう。セックスして気持ち良くなるのに、男以上に、女性は相手への信頼度が関係してくるって。相手を信頼して任せてもいいって、その気持ちがセックスにも影響をするんだ」
胸の先を舐めていたのをとめて、昶は真っ直ぐ彼女を見下ろす。
「おれはこんな性格だし、おれの側にいるのが嫌になるかもしれない。だけど、隣にずっといてほしいのは、来実だけだ」
真っ直ぐな視線と言葉に、来実は目を丸くして、それから小さく笑って両手を差し出した。
「こんな格好でするセリフじゃないですよ」
ふふっ、と笑う彼女を昶は抱き上げ、自分の腿の上に乗せる。向かい合わせの中、来実は彼の唇の端へ触れるだけのキスをした。
「キスしたいって思うのも、触りたいって思うのも、あ…昶さんだけです」
全身を真っ赤に染めて、来実は抱きついた。
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