124 / 182
第2章
第123話 ダンジョン都市ドルトミア2
しおりを挟む
第19ダンジョンの6層手前から入り口まで一気に戻る。屋台で地図はもらったが、5層までの宝箱があるところはほとんど取り尽くされており、領域(テリトリー)を使って周囲を確認しても地図に掲載されていない隠し部屋などもすべて踏破されている状況だった。
ダンジョンから出ると夕方だった。
「どうだった」
並んで防災壁の出口に向かって歩きながら俺はルーミエに尋ねた。
「本当に以前の私とは比べものにならないくらいに強くなっているわ。ここまで動ける冒険者を見たことがないわ」
急激に力やスピードが身につき少し戸惑っているようだ。
「ルーミエの剣術あの独特な動きは踊っているみたいできれいだね、それに無駄がない」
「ありがとう。いつだったかお父様に聞いたらね、3歳の時にはおもちゃの剣を握ってお兄様の訓練について行こうとして、止められてひとしきり泣いた後には1人で素振りを始めてたって、おっしゃっていたわ。そんな記憶全然ないんだけどね」
「それだけ好きだったら、上達するよね。実際どのくらい修めていたの?」
「そっか、こんな話いつもはしないもんね。エソルタ流剣技には幾つかの流派があるの。ソード&シールド、ダブルソード、ロングソード、スピア。国に仕える兵士は全部を習得していくのだけれど、私はロングソード、レイピアは重たかったから、基本的なソード&シールドから入門して、次に大好きなダブルソードを習得して、それはマスタークラスまでいったのよ。…うふふ、あははは。いろいろと忘れていたことを思い出しちゃった」
「どんなこと?」
「聞きたい?」
何故だかどや顔のルーミエさん。
「うん」
「初めのうちは大好きな剣術が学べるだけでよかったのだけれど、そのうち剣術が上手な人に魅力を感じるようになってね。ダブルソードを訓練している、とある男性が好きになっていたわ。視線の先にはいつも彼がいるようになってね。それを女性兵士に見透かされていたのね。私がまだ12歳で彼は20歳くらいだったかしら、世話を焼いてもらい、お話とかする時もあってその時は本当に舞い上がっちゃってたのだけれど、お兄様がね何かと間に入ってきて邪魔するようになったのよ。あれは焼き餅だったんだなって、今わかったの。おかしいでしょ?」
なるほど、嫁の初恋話は嫉妬してしまう。
「あら?アキトも焼き餅を焼いてくれるのかしら?ふふふ…」
ルーミエが笑顔で腕を絡めてくる。気がつけばもう宿の前だった。
□
受付で鍵を受け取り、最上階のレストランでディナーの予約をする。コースの内容は今決めるようで、ルーミエにお任せした。ドレスコードが必要で以前参加した仮面舞踏会でのスーツを使うことに決めた。
部屋に帰り、一緒にお風呂に入る。髪からつま先までお互いを洗いあってから湯船につかった。
「返り血を全く浴びないなんて、我ながら恐ろしいわね…。以前だったら返り血やほこりまみれでこんな高級宿は玄関で追い返されてたわ。
自分で言うのもおかしいけれど反則的に強すぎる…。でもアキトはそれ以上に強いし、私の理解できない力を持っているのよね…。アキトが善良な人で本当によかったわ」
「善良かどうかはわからないけれど、どうして?」
「だって、この世界を手に入れようとしたら、一国なんてすぐに手に入れられちゃうでしょ?」
「そうだな~。魔人はこの世界の地脈の力を欲しがっていたから侵攻してきた。俺はこの世界にきて、純粋に世界を楽しみたいって思った。そうなると当然、人々を制圧したり、脅したりしてたらできないよね。あと力を見せつけて、特別な存在になってしまうと自由がなくなるし…」
「あ、自由がなくなる感じはわかるかも…」
「俺の前に生きていた世界とは全く理(ことわり)が違っていてね。ほんの些細なことでもいいんだ。そこで生活する人たちと一緒に生きて、毎日をドキドキしたいんだ」
「ふふふ、このお風呂もドキドキしてくれてるのかな?」
「もちろんだよ」
しばらく見つめあったあと、長いキスを交わした。
□
正装に着替えて、腕を組んで最上階のレストランに向かう。さすがは元王女だ。気品あふれる容姿に宿の従業員や他の男性客は振り返る。
窓際に予約席があり、席に着くと他にも高い建物はあったが数は少なく、地平の彼方まで広がる夜景がとても綺麗だ。
料理が運ばれてくる中、昨日のレイラのプロポーズ話に引き続き、カラルのことを聞いてきた。
「カラルか~。出会いは結構強烈だったな~」
「みんなでね、アキトは優しいからダンジョンとかで女の子と助けて、いい感じになってるんじゃないかって話をしていたのよ。そしたら案の定カラルと宿の前まで帰ってきたのよね」
「ああ、あの時ね。魔人と対峙する時くらいに緊張したなぁ」
「実際あの前の晩は何があったの?」
「カラルにも聞いてもらっていいけど、カラルの潜んでいた部屋を見つけてダンジョンについて聞き出した。カラルの人形の話はしたっけ?」
「ええ、人形の足の指をはさみで切ったらカラルの足の小指が切れて落ちたのよね」
「あれを差し出してきたから、少し信用して、お茶しながら話をして、そのあと手料理もふるまってもらったかな。その時はやましいことは一切していないよ。レイラとノイリの王の謁見が終わって、カラルを迎えに行ったときに対戦したんだ」
「対戦したことは聞いたけれど、どうだったの?」
「エグかったよ、カラルは宝具ってのを持っていてね、姿を映したものを切り取ってしまう鏡を出してきて、体の3分の1くらい切り取られた」
「わあ、痛そう…」
「俺の場合は継続治癒魔法で助かったけれど、並の人間なら神殿送りだね…」
「そこから助かるアキトもアキトね…」
「その後、番(つが)い契りを交わしたんだ。魅力的な女性だったし、人外の力は俺も興味があったからね。昨日海の上で箱魔法を展開したでしょ、あんな感じだったよ。エソルタ島を解決した後で、分かったけれどカラルも強い奴と契約する必要があったんだよ」
「封印解除の話ね」
「カラルもかつての力を取り戻したいってずっと思ってたみたいだからね。それでも俺は利用されたなんて思っていないよ」
「あら随分と寛大じゃない」
「それだけの愛情と恩恵はもらっているんだ。カラル無しにはエソルタ島復興の計画はなかったかも…」
□
夜はまだまだ長いが、レストランでの食事を早めに切り上げて部屋に戻った。そして明日のことを伝える。
「日の出と同時に出発しようと思う。それと武器の話なんだけど、周りの様子に合わせて武器を変えよう」
「目立たないようにするためね、わかったわ」
明日に備えて早々に眠れるわけもなく、ちょっとだけいちゃいちゃしました。
□
翌朝、まだ暗いうちからトントントンと包丁で何かを切っている音で目を覚ます。ルーミエが調理をしていた。
「どうしたの、ルーミエ?」
エプロン姿のルーミエが振り返る。
「朝ご飯作っているのよ、どう?新婚生活ぽいでしょ?」
「……」
幸せすぎて言葉にならない。目玉焼きとサラダとパンで簡単なものだったが気持ちが嬉しかった。
□
朝ご飯の支度も手際よくしてくれたおかげで、日の出とともに出発することができた。ここから第4ダンジョンまで歩けば2時間くらいだろう。前日に宿で手配していた馬車で移動する。
早朝の町の中を馬車に揺られ、ルーミエと戦闘時の打ち合わせを行いながら目的地を目指す。
現地に到着し、防災壁を見上げると昨日のダンジョンの防災壁より高く、そして古い。ツタがびっしり生えていて貫禄あるな…。
入り口で記録石(キロクセキ)を係の人に見せる。事務の男性に
「今日は見学か?それとも参戦か?」
と聞かれたので
「近くで見学しながら、できそうなら参戦するよ」
「わかった。危険を感じたら我が社の者を探して案内に従ってくれ、このエンブレムが目印だ」
と、見せてくれたネネコーラン社のピンク色のエンブレムには、熊なのか猫なのか分からない動物とかっこいいロゴが入っている。
開口式は見学だけでなく一般からの参戦も受け入れているようで、ドロップに関しても今回は会社(カンパニー)に報告だけでいいようだ。さらには報奨金も用意されていて、カンパニーの主催のため比較的安全にモンスターと対峙できるのもこのイベントの魅力のようだ。
回廊を抜けると、ダンジョン入り口の建物だけで昨日見たところのような屋台は一切並んでおらず、冒険者が200~300人ほどいるようだ。なんだか7割方の女性冒険者なのは気のせいなのか?
防災壁の上にも見学者と会社関係のアーチャーや魔法使いが待機しているようだ。
開始までまだ時間はあるので観察とシミュレーションをしてみる。
ダンジョンの入り口を脇に控えている浮遊魔法使いが、順番に分厚い金属の扉を開けていく。
開けた時にどんなモンスターが飛び出すのかは誰も知らない。もしかしたら全くいないという可能性もある。
そして”鋼鉄”の第4ダンジョンと言われているらしく、鋼鉄のように堅いモンスターがゴロゴロいるそうだ。
堅い敵が多いということで、周りを見渡すとネネコーラン社の冒険者たちは主にオリハルコン製の武器や防具に身を包んでいる。アダマンタイト製もちらほらいて、ミスリル製を持つものは2、3人だった。
オリハルコンの武器と防具を出すようにルーミエに伝える。
準備をしていると遠くから
「キャー」という黄色い声とどよめきが聞こえた。
どうやらネネコーラン社の主力メンバーが出てきたようだ。
おやおや、なかなかいいじゃないかと思ったところにルーミエの肘が俺の脇腹をつついた。
見ると怒っているようだった。
「いやいやいや、誤解だよ、知らなかったんだ、たまたまだよ」
どれだけ言葉を並べてても、嘘っぽい。言い訳にしかならない…。そう思って俺はルーミエを抱き寄せた。
「本当だよ、信じて」
ルーミエも落ち着き
「…わかったわ、ごめんねアキト」
といって反省していた。
ダンジョンから出ると夕方だった。
「どうだった」
並んで防災壁の出口に向かって歩きながら俺はルーミエに尋ねた。
「本当に以前の私とは比べものにならないくらいに強くなっているわ。ここまで動ける冒険者を見たことがないわ」
急激に力やスピードが身につき少し戸惑っているようだ。
「ルーミエの剣術あの独特な動きは踊っているみたいできれいだね、それに無駄がない」
「ありがとう。いつだったかお父様に聞いたらね、3歳の時にはおもちゃの剣を握ってお兄様の訓練について行こうとして、止められてひとしきり泣いた後には1人で素振りを始めてたって、おっしゃっていたわ。そんな記憶全然ないんだけどね」
「それだけ好きだったら、上達するよね。実際どのくらい修めていたの?」
「そっか、こんな話いつもはしないもんね。エソルタ流剣技には幾つかの流派があるの。ソード&シールド、ダブルソード、ロングソード、スピア。国に仕える兵士は全部を習得していくのだけれど、私はロングソード、レイピアは重たかったから、基本的なソード&シールドから入門して、次に大好きなダブルソードを習得して、それはマスタークラスまでいったのよ。…うふふ、あははは。いろいろと忘れていたことを思い出しちゃった」
「どんなこと?」
「聞きたい?」
何故だかどや顔のルーミエさん。
「うん」
「初めのうちは大好きな剣術が学べるだけでよかったのだけれど、そのうち剣術が上手な人に魅力を感じるようになってね。ダブルソードを訓練している、とある男性が好きになっていたわ。視線の先にはいつも彼がいるようになってね。それを女性兵士に見透かされていたのね。私がまだ12歳で彼は20歳くらいだったかしら、世話を焼いてもらい、お話とかする時もあってその時は本当に舞い上がっちゃってたのだけれど、お兄様がね何かと間に入ってきて邪魔するようになったのよ。あれは焼き餅だったんだなって、今わかったの。おかしいでしょ?」
なるほど、嫁の初恋話は嫉妬してしまう。
「あら?アキトも焼き餅を焼いてくれるのかしら?ふふふ…」
ルーミエが笑顔で腕を絡めてくる。気がつけばもう宿の前だった。
□
受付で鍵を受け取り、最上階のレストランでディナーの予約をする。コースの内容は今決めるようで、ルーミエにお任せした。ドレスコードが必要で以前参加した仮面舞踏会でのスーツを使うことに決めた。
部屋に帰り、一緒にお風呂に入る。髪からつま先までお互いを洗いあってから湯船につかった。
「返り血を全く浴びないなんて、我ながら恐ろしいわね…。以前だったら返り血やほこりまみれでこんな高級宿は玄関で追い返されてたわ。
自分で言うのもおかしいけれど反則的に強すぎる…。でもアキトはそれ以上に強いし、私の理解できない力を持っているのよね…。アキトが善良な人で本当によかったわ」
「善良かどうかはわからないけれど、どうして?」
「だって、この世界を手に入れようとしたら、一国なんてすぐに手に入れられちゃうでしょ?」
「そうだな~。魔人はこの世界の地脈の力を欲しがっていたから侵攻してきた。俺はこの世界にきて、純粋に世界を楽しみたいって思った。そうなると当然、人々を制圧したり、脅したりしてたらできないよね。あと力を見せつけて、特別な存在になってしまうと自由がなくなるし…」
「あ、自由がなくなる感じはわかるかも…」
「俺の前に生きていた世界とは全く理(ことわり)が違っていてね。ほんの些細なことでもいいんだ。そこで生活する人たちと一緒に生きて、毎日をドキドキしたいんだ」
「ふふふ、このお風呂もドキドキしてくれてるのかな?」
「もちろんだよ」
しばらく見つめあったあと、長いキスを交わした。
□
正装に着替えて、腕を組んで最上階のレストランに向かう。さすがは元王女だ。気品あふれる容姿に宿の従業員や他の男性客は振り返る。
窓際に予約席があり、席に着くと他にも高い建物はあったが数は少なく、地平の彼方まで広がる夜景がとても綺麗だ。
料理が運ばれてくる中、昨日のレイラのプロポーズ話に引き続き、カラルのことを聞いてきた。
「カラルか~。出会いは結構強烈だったな~」
「みんなでね、アキトは優しいからダンジョンとかで女の子と助けて、いい感じになってるんじゃないかって話をしていたのよ。そしたら案の定カラルと宿の前まで帰ってきたのよね」
「ああ、あの時ね。魔人と対峙する時くらいに緊張したなぁ」
「実際あの前の晩は何があったの?」
「カラルにも聞いてもらっていいけど、カラルの潜んでいた部屋を見つけてダンジョンについて聞き出した。カラルの人形の話はしたっけ?」
「ええ、人形の足の指をはさみで切ったらカラルの足の小指が切れて落ちたのよね」
「あれを差し出してきたから、少し信用して、お茶しながら話をして、そのあと手料理もふるまってもらったかな。その時はやましいことは一切していないよ。レイラとノイリの王の謁見が終わって、カラルを迎えに行ったときに対戦したんだ」
「対戦したことは聞いたけれど、どうだったの?」
「エグかったよ、カラルは宝具ってのを持っていてね、姿を映したものを切り取ってしまう鏡を出してきて、体の3分の1くらい切り取られた」
「わあ、痛そう…」
「俺の場合は継続治癒魔法で助かったけれど、並の人間なら神殿送りだね…」
「そこから助かるアキトもアキトね…」
「その後、番(つが)い契りを交わしたんだ。魅力的な女性だったし、人外の力は俺も興味があったからね。昨日海の上で箱魔法を展開したでしょ、あんな感じだったよ。エソルタ島を解決した後で、分かったけれどカラルも強い奴と契約する必要があったんだよ」
「封印解除の話ね」
「カラルもかつての力を取り戻したいってずっと思ってたみたいだからね。それでも俺は利用されたなんて思っていないよ」
「あら随分と寛大じゃない」
「それだけの愛情と恩恵はもらっているんだ。カラル無しにはエソルタ島復興の計画はなかったかも…」
□
夜はまだまだ長いが、レストランでの食事を早めに切り上げて部屋に戻った。そして明日のことを伝える。
「日の出と同時に出発しようと思う。それと武器の話なんだけど、周りの様子に合わせて武器を変えよう」
「目立たないようにするためね、わかったわ」
明日に備えて早々に眠れるわけもなく、ちょっとだけいちゃいちゃしました。
□
翌朝、まだ暗いうちからトントントンと包丁で何かを切っている音で目を覚ます。ルーミエが調理をしていた。
「どうしたの、ルーミエ?」
エプロン姿のルーミエが振り返る。
「朝ご飯作っているのよ、どう?新婚生活ぽいでしょ?」
「……」
幸せすぎて言葉にならない。目玉焼きとサラダとパンで簡単なものだったが気持ちが嬉しかった。
□
朝ご飯の支度も手際よくしてくれたおかげで、日の出とともに出発することができた。ここから第4ダンジョンまで歩けば2時間くらいだろう。前日に宿で手配していた馬車で移動する。
早朝の町の中を馬車に揺られ、ルーミエと戦闘時の打ち合わせを行いながら目的地を目指す。
現地に到着し、防災壁を見上げると昨日のダンジョンの防災壁より高く、そして古い。ツタがびっしり生えていて貫禄あるな…。
入り口で記録石(キロクセキ)を係の人に見せる。事務の男性に
「今日は見学か?それとも参戦か?」
と聞かれたので
「近くで見学しながら、できそうなら参戦するよ」
「わかった。危険を感じたら我が社の者を探して案内に従ってくれ、このエンブレムが目印だ」
と、見せてくれたネネコーラン社のピンク色のエンブレムには、熊なのか猫なのか分からない動物とかっこいいロゴが入っている。
開口式は見学だけでなく一般からの参戦も受け入れているようで、ドロップに関しても今回は会社(カンパニー)に報告だけでいいようだ。さらには報奨金も用意されていて、カンパニーの主催のため比較的安全にモンスターと対峙できるのもこのイベントの魅力のようだ。
回廊を抜けると、ダンジョン入り口の建物だけで昨日見たところのような屋台は一切並んでおらず、冒険者が200~300人ほどいるようだ。なんだか7割方の女性冒険者なのは気のせいなのか?
防災壁の上にも見学者と会社関係のアーチャーや魔法使いが待機しているようだ。
開始までまだ時間はあるので観察とシミュレーションをしてみる。
ダンジョンの入り口を脇に控えている浮遊魔法使いが、順番に分厚い金属の扉を開けていく。
開けた時にどんなモンスターが飛び出すのかは誰も知らない。もしかしたら全くいないという可能性もある。
そして”鋼鉄”の第4ダンジョンと言われているらしく、鋼鉄のように堅いモンスターがゴロゴロいるそうだ。
堅い敵が多いということで、周りを見渡すとネネコーラン社の冒険者たちは主にオリハルコン製の武器や防具に身を包んでいる。アダマンタイト製もちらほらいて、ミスリル製を持つものは2、3人だった。
オリハルコンの武器と防具を出すようにルーミエに伝える。
準備をしていると遠くから
「キャー」という黄色い声とどよめきが聞こえた。
どうやらネネコーラン社の主力メンバーが出てきたようだ。
おやおや、なかなかいいじゃないかと思ったところにルーミエの肘が俺の脇腹をつついた。
見ると怒っているようだった。
「いやいやいや、誤解だよ、知らなかったんだ、たまたまだよ」
どれだけ言葉を並べてても、嘘っぽい。言い訳にしかならない…。そう思って俺はルーミエを抱き寄せた。
「本当だよ、信じて」
ルーミエも落ち着き
「…わかったわ、ごめんねアキト」
といって反省していた。
12
お気に入りに追加
2,705
あなたにおすすめの小説
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。
目覚めると彼は真っ白な空間にいた。
動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。
神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。
龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。
六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。
神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。
気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
チートを極めた空間魔術師 ~空間魔法でチートライフ~
てばくん
ファンタジー
ひょんなことから神様の部屋へと呼び出された新海 勇人(しんかい はやと)。
そこで空間魔法のロマンに惹かれて雑魚職の空間魔術師となる。
転生間際に盗んだ神の本と、神からの経験値チートで魔力オバケになる。
そんな冴えない主人公のお話。
-お気に入り登録、感想お願いします!!全てモチベーションになります-
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる