上 下
42 / 182
第1章

第四十二話 混浴のススメ

しおりを挟む
 これはアキトがダンジョンから朝帰りで戻ってくる少し前のお話。

ユウキ「ねぇ、レイラ。なんでアキトはダンジョンにいっちゃったの?こんなに女の子が一杯いるのにダンジョンの方が魅力的なの?」

レイラ「えっ?アキトはもっともっと強くなりたいから修業する意味でダンジョンに向かってると思ってたのだけど——」

ルーミエ「アキトの強さはかなりのもので、私とユウキはナリヤで見たけど、おそらく修業とかそんなの必要ない域に達していますわ」

ユウキ「初めて会ったときよりもさらに洗練されていて、カムラドネの時よりももっとたくましくて、すごく素敵だった……」

ノイリ「ずっと強くなるために研鑽を積んでおられるのだと思います」

レイラ「それじゃあ今回のダンジョン攻略も別にいいんじゃないの?」

ユウキ「まあ、そうなんだけど……。なんていうか、最近のあたしの楽しみって、ご飯を食べる。お酒を飲む。たっぷり寝る。ぐらいしかなくてさ。ちょっと女子としてどうなんだろうって思ってて……」

ルーミエ「私の場合はそこに、お風呂と訓練が追加されるだけで大差ないわね」

ユウキ「お風呂と訓練か……レイラはあたしやルーミエやノイリがアキトと仲良くしても大丈夫なんでしょ?」

レイラ「ええ、そうだけど。どうしたの?急に……」

ユウキ「アキトが近くにいるんだからもっとこう有意義に一緒に過ごしたいっていうか……。それにこれは万が一の話なんだけど——」

「「「うんうん…」」」

ユウキ「あの強さでダンジョンでピンチな女の子を助けちゃったりしたら——」

ノイリ「ありえそうですね」

ルーミエ「助けられた人は確実に惚れてしまうわ」

ユウキ「でっしょー!あ、あとアキトはエルフが好きみたいなんだけど!」

ルーミエ「それは思った!アキトが見蕩れていたこのホテルの受付嬢にも要注意よ」

レイラ「そんなにアキトってエルフ好きなの?」

ユウキ「そうよ、八分の一エルフのレイラさん」

レイラ「そんな人形の大きさみたいな言い方って……ユウキ面白いね」

ユウキ「しかしエルフのあの弱く儚げな感じは何なのかしらね。まったく人族では出せない色気よね~」

レイラ「ふふっ、確かに」

ユウキ「レイラ、もしかしてダンジョンで拾った女の子を連れて帰ってくるかもしれないという時に……さすがの第一夫人の貫禄ね」

レイラ「いや、別にそんな……私だって心配だもの。アキト優しいから女の子にモテそうだし——」

ユウキ「ほうほう……それではアキトを私たちのそばから離れさせないための作戦会議を開きますか?アキト管理統括本部長」

レイラ「アキト管理統括本部長?」

ユウキ「そう、ルーミエはアキト剣技強化本部長、ノイリはアキト魔法強化本部長に任命するよ」

ノイリ「そんな役職与えらえれても強化できませんよ~」

ユウキ「みんなの役割を決めたところで、それぞれがアキトが他の女の子の所に行かないようなカリキュラムを組んで親交を深めてね」

ルーミエ「そんな、無茶な……」

レイラ「で、ユウキは何担当?」

ユウキ「あたしは……アキトのお風呂担当大臣!」

ルーミエ「なにっ!それっ!一人だけ役職全然違うし!」

レイラ「アキトとお風呂入るの???」

ノイリ「…(/ω\)…」

ユウキ「前から何度か言ってるけど、やっぱり裸の付き合いは大切だよ!!いいでしょレイラ?」

レイラ「……うーん、今更私が言うのもなんだけど、恥ずかしい……かな?」

ユウキ「じゃあ担当者権限であたしだけが一緒に入りまーす」

ルーミエ「そんな嫁入り前の女の子が……」

ユウキ「その嫁入り前だからいーんじゃない、ルーミエ、ノイリも一緒にどう?」

ルーミエ「一番手に行く度胸はないわー。それに私、基本的に長風呂派だし……」

ノイリ「私もとてもじゃないけど無理ですぅ」

ユウキ「じゃあ、レイラは?」

レイラ「……保留」

ユウキ「帰ってきたら誘ってみよー。って言ったら帰ってくるかなー」

 ベランダに出て通りを見渡す。

ユウキ「げっ!!!恐れていたことが現実になるなんて……」

ルーミエ「ああっ!!まさかのダークエルフ!」

ノイリ「綺麗でかっこいい人ですね」

ルーミエ「そんな褒めてないで——あ、アキト笑った。楽しそう」

ユウキ「ほら、みんなヤバいよ!どうするの?」

ルーミエ「ここは私が切り出します。ダンジョンに行かず、一晩あの女性と一緒だったという可能性もあります」

ユウキ「まさかの娼婦説ですか?」

ルーミエ「可能性を否定できません」

レイラ「……うぅ」

ノイリ「ああっ!先代、泣かないで。まだ浮気だと決まったわけでわないですし……」

レイラ「うん、ぐすん……」

 そして勢いよくドアが開き、何も知らない能天気な声が部屋に響いた。

アキト「ただいま戻りましたー」
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。 目覚めると彼は真っ白な空間にいた。 動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。 神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。 龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。 六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。 神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。 気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

チートを極めた空間魔術師 ~空間魔法でチートライフ~

てばくん
ファンタジー
ひょんなことから神様の部屋へと呼び出された新海 勇人(しんかい はやと)。 そこで空間魔法のロマンに惹かれて雑魚職の空間魔術師となる。 転生間際に盗んだ神の本と、神からの経験値チートで魔力オバケになる。 そんな冴えない主人公のお話。 -お気に入り登録、感想お願いします!!全てモチベーションになります-

神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。

処理中です...