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第2章

第百六十四話 出会い

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 表通りに出てルーミエとユウキを探しつつ、ノイリとレイラに任務完了の連絡をいれ、祝勝会は明日の夜に開催されることとなった。

 宿に戻ると女主人が出迎えてくれる。

「皆様よくぞ御無事でお戻りくださいました。街のために本当にありがとうございます!」

 昨日の受付嬢は家族とともにいて、警備兵の旦那と子供も無事だったことを報告しに来たそうだ。

「いいえ、たいした活躍はできなかったので……」

 と、ユウキが答える。

「それと、先ほどからあなた方をお待ちの方が——」

 女主人の言葉を遮るように店の奥から男の声がする。

「首謀者の狙撃、そしてあの戦乱の中での魔法陣への侵入……」

 待ち合いのうす暗い場所から俺たちの行動をすべて見ていないと言えないことを淡々と並べる男とその連れが四人。男以外はフードをかぶり顔は見えない、

 カラルが男に向けて空気が凍りつくような殺気を放ち威圧する。俺も便乗して極私的絶対王国(マイキングダム)を展開した。

「ま、待ってくれ、こちらに攻撃の意思はない。俺は冒険者のトーアという」

 名乗り出たリーダーらしき男は二十代前半で、中肉中背で中性的などちらかというと可愛らしい顔立ちの男だが、安穏とした表情とは裏腹に得体のしれない雰囲気を持っている。何となくうさんくさい。


 分析能力発動し、その情報に目を疑う。

 
◇ ◇ ◇
Lv420 人族 ラッテ 剣士 180センチ 68キロ
◇ ◇ ◇
Lv753 エルフ キアート 753歳 魔法使い
◇ ◇ ◇
Lv450 獣魔族 フェモ 1276歳 
◇ ◇ ◇
Lv430 竜人族 チノ 剣士
◇ ◇ ◇
Lv415 竜人族 コア 剣士
◇ ◇ ◇


 マジか!あの冒険者ラッテと同名だ。

 男は「トーア」と違う名を名乗っていることにはなにか理由があるのだろう……。時代背景を考えても千年ほど前の話だと思っていたが、今もなお生きていたのか?

 相手にさとられないように冷静さを装い答える。

「俺はアキトだ」

 男は立ち上がり、こちらへとゆっくりと歩み寄る。

「アキトさん、突然で驚かせ悪かった。あなたたちと話をしたくて、ここで待たせてもらった。宿のご主人に頼んで個室を用意してもらっているのだが、そちらで話を聞いてもらえないだろうか?」と、にこやかに話しかけてくる。

 話だけならまぁ良いか……。

「三人とも疲れていないか?」と、ルーミエたちに問いかけると、無言でうなずく。

「分かった。話を聞かせてもらおう」

「……戦いのあとで、すまないな……それではご主人頼むよ」

 女主人は部屋に案内しそれぞれが対面する形で席に着くと、給仕の人が温かい飲み物を運んでくる。その間にそれぞれが上着を脱ぎ、フードをかぶっていた奴らの素顔が見えた。

「簡単にだが紹介させてもらおうか、ではこちらから……」

 エルフの”キラ”と名乗る魔法使い。こちらも偽名だな……見た目は40代半ばだが、美魔女のエルフ。金髪のロング髪は艷やかでとても綺麗だ。確か物語では神殿魔法師なる職業についていたことが書いてあったな。おしとやかにお辞儀をする。

 悪くないな……。おっと相手は人妻だ、嫁たちの手前、鼻の下を伸ばさないように注意しよう。

 容姿が見えたことで身体的特徴が表示される。

◇ ◇ ◇
Lv792 エルフ キアート 753歳 魔法使い 161センチ 45キロ B 82 W 52 H 80
◇ ◇ ◇

 獣人族の”フェルモ”と名乗る女性は頭にウサギ耳がある小さい老婆だ。少し辛そうにしているが、大丈夫だろうか。耳は力なく垂れ髪には白髪が交じっている。名前と種族を偽っているのか……。

◇ ◇ ◇
Lv450 獣魔族 フェモ 1276歳 149センチ 41キロ B 77 W 51 H 80
◇ ◇ ◇

 竜人族姉妹のチルト、コルトと名乗るの二人の剣士は見た目は若く、竜人族特有の肌の露出が多い服装で目のやり場に困る。「トーア」と同じく二十代といったところだろう。

◇ ◇ ◇
Lv430 竜人族 チノ 剣士 175センチ 58キロ B 88 W 56 H 89
◇ ◇ ◇
Lv415 竜人族 コア 剣士 178センチ 60キロ B 92 W 61 H 87
◇ ◇ ◇

 伝説の冒険者という割にはレベルが高くない。紹介が一通り終えると、カラルが「なるほどね」とつぶやき、何やら状況を理解したようだ。そしてこちらは偽り無く自己紹介をする。

「それで、話とは一体……」

「そうだな、まずは経緯を話させてほしい……隣町にいて今回の襲撃を知ってここに来た。獣人のフェルモが——」

「悪いがニセの情報を混ぜて話すことは止めてほしい……あなたはあの冒険者ラッテなのだろう?」
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