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006 夜の街の情報収取

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 続いて異世界転移物の定番のお宿探しをする。

 宿の相場が一万四千Gで、手持ちが一万千二G。素泊まりの安宿ならいくらでもあるのだが、異世界初の記念すべき一夜を豪勢にとはいかないが普通に食事をして、あたたかいベッドで眠ってもいいじゃないか…。

 いくつか宿を訪ね歩いて値段を比較検討していく。

 十件ほど回って値引き交渉までして何とか風呂トイレ有りの朝食付きで九千Gのところを見つける。ほとんどの金は使い果たしてしまったが、明日からの自分の働きに期待しよう。

 この世界の魔物が今日の羊戦士みたいな弱そうな奴ばっかりなら楽でいいんだが……。狩りをして得たものを徹底的に売って、資金を増やそう。よっしゃ、明日はガンガン稼ぐぞ!



 宿の夕食にはまだ時間があるので町を散策することにした。

 今は金をもっていないが、お目当てはお姉さんのいる店だ。どういったサービスが受けられるか、気になって仕方がない!

 こういう時に分析能力は大変役に立つ。店の看板を凝視するだけでその店のサービスを読み取ることができてしまう。すげぇぜ分析能力、いちいち店に入らなくても中の情報がまるわかりだ。

 飲み屋街や風俗店街を呼び込みのおっさんを冷やかしながらぐるぐると歩き回る。低価格路線の店や高級店まで全て把握した。あとは金さえあれば天国になる。はすだ!

 歩き回っていると、”奴隷”という単語が耳に入ってきた。この世界には奴隷制度があるのだろう。あとテイミングモンスターを買い取るペットショップの存在もあるようだ。

 風俗案内場のようなところにいる、兄ちゃんに奴隷のことを聞いた。ぺらぺらとよくしゃべる男は、店の紹介のこと以外でもペラペラとしゃべってくれてとてもありがたい。

 聞くところによると、町の外れの方にある。フローラ商会ってのが奴隷の売買ができるとこだそうだ。ペットショップもその近くにあるとのことなので、早速向かってみる。

 奴隷を扱うとなるといかがわしいイメージもあったが、表向きは綺麗な店構えで入りやすかった。店内に入ると初老の老人が丁寧にあいさつをしてくれた。

「いらっしゃいませ、本日はどのような奴隷をお探しで?」

「まだ、決めていないのだが若くて、未経験なのがいいな」

「なるほど。未経験は何人かおりますが、合わせて全員みていってください」

 そういって、大きなカーテンをザアーッっと開けた。

 ひとりずつ丁寧な説明がされる。見た目はデブでどうしようのない不細工な奴から、まあまあの奴まで一通りそろっている。あれ?美人はいない。こういう場ではお決まりの超絶美人がいて、予算がなぁ……と悩むこところなのだが、そんなことはなくあっさり見終わった。

 買われていく用途を聞くとほとんどが性奴隷になってしまい、結婚して幸せになるようなことはない。売れ残りは最終的に娼婦館か戦争がある地域に買われていくとのこと。

 そんな話をされても俺は買いませんからね。肝心のお値段は……。

 はぁ!?あのデブで不細工な奴でさえ千万Gだと!?買える額じゃねえ。人の命だからか、そんなに安くないってことか。見た目がまあまあな奴でも千五百万Gか。まったく手が出ませんな。

 奴隷について逆にいろいろ聞きだした。

 奴隷紋章について、仮従属契約、専属契約と別れてあって、この世界の成人は十五歳から、未成年が奴隷商人に売られる場合は保護者の許可で仮従属契約が結ばれる。成人以上は本人の意思で契約が結ばれるそうだ。政府公認の奴隷術をもった者だけが使える魔法でのみ契約と紋章を刻むことが可能だとのこと。

 食い扶持がない貧しい家では、役立たずは売りに出されたり、両親が死んでしまい親族などの仮の保護者によって奴隷として売られてしまったりと、色々ルートはあるようだ。

 成人の場合は借金の問題が大半で、当然のように女性で未経験であれば値段が高くなる。買い取り金額は大体、売値の七割から六割ってことは、売値が千万Gなら六百万Gか…。

 売り出した側にも払わないといけないから、マージンとろうとして間に入っても少しの利益にしかならない。

「またお越しくださいね、お待ちしております」

 俺は奴隷商人の店を後にした。ペットショップはまた今度売りに来るときでいいだろう。
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