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番外編②
第62話『わさび菜の使い方』①
しおりを挟む「変わったサラダですか?」
「サラダもいいけれど、あの刺激がある料理が好ましく思ったの」
今日もジェラルドを連れ、イツキの屋敷に訪れた。
ジェラルドはアルベルトと遊べるからと大喜びで、アルベルトと会わせたら即座に抱きつきにいくくらい。微笑ましいし、うちのメイドとここのメイドに子守りを頼んで私はイツキと話し合うことにした。
「甘酸っぱいもいいけれど、ちょっとピリッとした辛さも欲しい感じですか?」
「ええ。陛下もとても気に入られていたから」
「陛下へお作りになりたいのですか?」
「ふふ。やっぱりイツキにはわかってしまうのね」
本当に、この女性は相手の心情を察することが上手だわ。この処世術が、これまで多くの存在を救ってくれたもの。見習いたいけど、完璧に真似ることは不可能ね。
代わりに、私は私らしく磨くことがいいことだとイツキに教えてもらったの。だから、無理に鍛える必要はない。
「陛下が好みそうな……変わったものでも美味しいサラダとか。でしたら、先日調達をお願いしたわさび菜で何か作ってみましょうか?」
「ワサビの葉なの?」
「正確には少し違いますが、栄養価も高いので体にもいいんですよ」
「是非、お願いするわ」
「わかりました」
厨房にそのワサビナというものはあったのだけれど……あまり見たことがない野草だったわ。以前、イツキにワサビのことを話した経緯から、調達の際に面白い野草があると報告があった。
それがどうやら、この野草だそうだけど。
「これはこのまま食べられるのかしら?」
「出来ますが、サラダ以外にも茹でて調味料と合わせたりもしますね」
「今日はどう使うの?」
「両方試しましょう。茹でる方はおひたし。サラダはチーズをベースにしたソースと合わせるサラダがいいですね」
「……おひたし?」
「私の故郷の、サラダのように添えておく料理です」
東方大陸の食事がまた食べられるのね?
それは嬉しいので、ワサビナをちぎる方法を教わりながら、私はとてもワクワクしてきたのだ。
独特の形だけど、色鮮やかでとても綺麗。
これが、何故ブルードベリーと合わなかったのかしら?
「イツキ。この野草はあのいちごには合わなかったの?」
「辛味が独特なので、ブルードベリーには不向きでした。ワルシュさんも確認してます」
「先輩もそう思うのなら、そうなのね」
見た目にはいい組み合わせだと思うけれど、味が合わないのなら仕方がないわ。
茎はおひたしの方に使うらしく、捨てずに取っておくそうで。
次は、サラダ用のをほんの少しだけ茹でる作業を手伝うこととなった。
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