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番外編②
第39話『黄金の果物で祝いのジュース』①
しおりを挟む「ジュースか。主要の果物以外に、梨も使えるのか? 面白い」
厨房の管理室にて、義父上であるワルシュ殿と話し合うことになった。厨房内でもいいかもしれないが、イツキの知識は異世界のもの。事情を知らぬ料理人たちに知られたら、問い合わせで済まないからだ。イツキを慕う人間が多いのでそれはほぼ確実と言っていい。
なので、知識を共有するのには以前イツキが使っていたこの部屋がいいのだ。ここで口付けを交わした思い出もあるが、今は思い返すのはよしておこう。
「バクス医師の診察でアレルギーは特に見受けられなかったので、果物の種類に制限はないかと」
「一番好きなのはなんだ?」
「まだ食べさせたばかりですが、いちごやりんごが好みですね」
「……とくれば、特別美味いそいつらを採取にいかねぇか?」
「特別美味い?」
「時期がちょうどいい。黄金色のいちごとりんごが実る場所があるんだ。レクサスも連れて行かねぇか?」
「そんな果物、聞いたことがないです」
「冒険者の間でも、最低Aじゃねぇと知らねぇ情報だ。うんまいぞ」
「それなら是非!」
隊長に許可をいただき、レクサスも同行の許可を取り。
イツキにもきちんと話してから、義父上も共に目的地である果物の群生地に向かったのだが。高ランクの冒険者でなければ、知り得ない情報の場所だとよくわかる出来事が起きた。
「やーっぱり、サラマンダーサーペントが出るんやなあ?!」
「こいつらが番人か!」
目的地に到着した時、うっかり俺が魔物の尾を踏んでしまったのだが……相手が悪かった。高ランクの魔物の中でも有名な炎蜥蜴の上位種。
鱗が防具の材料にもなる、サラマンダーサーペントが黄金色の果物の群生地の番人だったのだ。俺が尾を踏んだら当然怒って、俺とレクサスを追い回してきたのである。
「坊ども、気を引きつけとけ。その間に採取しとくから」
「先輩も応戦してくれや」
「孫優先だ」
「俺の息子なんですが!?」
食材の選別が出来るのは義父上だけなので、仕方がなくレクサスと共にサーペントと対峙することとなった。水や氷魔法はあまり得意ではないが、弱音を吐いている場合ではないので剣に魔法を纏わせて斬りかかった!
軽く冷やした程度しかならなかったが、効果はあったようなのでレクサスは今回弓矢で似たような応戦をした。
俺は弓矢に当たらぬように斬り込んでいったところ、だんだんとサーペントの動きが鈍っていくのが見えた。これなら!
「うらっ!」
レクサスが氷魔法の弓矢を放った時、眼球に直撃したためサーペントが異常に暴れまくった。弱点だったのか、そこから赤黒い鱗が白くなっていき……全身が真っ白に変わると石像のように動かなくなった。
最後に亀裂が走り、崩れ落ちていくのだった。
「やったか!」
「や~。さっき思い出したわ。この手の魔物の急所が目やって」
「俺の瞬足でも届かないからな。助かった」
「おん。自分らも採りに行こうや。これやと素材採取無理やし」
「そうだな」
目的は討伐ではなく、アルベルトのために果物を採取する方だからな。義父上に続くように採取したが、気持ちを落ち着かせてくれるような甘酸っぱい匂いに囲まれ……たくさん持ち帰ってやろうと亜空間収納に入れていく。
イツキにも多めに持ち帰れば、また異世界の菓子を作ってくれそうな予感もしながらだが。
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