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番外編②

第37話 赤児の食事注意

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 アルベルトが一歳を迎えた。

 祝いの宴をすることは決まったが、イツキはバクス医師を屋敷に呼んで息子を念入りに診察させるなど、慎重であった。

 理由はすぐに俺にもわかったが、アレルギーの検査らしい。

 赤児はとにかく、病にかかりやすい。風邪などは頻繁、熱も出しやすいのはもちろん。

 加えて、アレルギーは早いうちに確認せねば……下手をすると食事で死に至るのだとか。それは何がなんでも避けねばならないので、俺も協力した。バクス医師の診察によれば、現状はアルベルトにアレルギーは見受けられないとのことだったので……宴は予定通りに開くことにした。

 屋敷を上げての宴だが、来賓は呼ばない。アルベルトがいきなり色々な人間と出会って、驚き以上に病のきっかけを起こしてはいけないそうだ。それを、イツキに教わるまで知らなかった。実家にいた時はどうだったか思い出せんが、少なくともアイシスの時は二歳以上だった気がした。


「アーネストさん。一緒に宴会のメニューを考えませんか?」


 バクス医師が帰ってから、イツキは嬉しい誘いをしてくれたのだ。アルベルトは疲れて眠ってしまっているので、計画するなら今のうちと言うことなのだろう。


「ああ、いいな」

「はちみつ解禁も兼ねて、少し甘いものも入れたいですね」

「そうか。一歳を越えたら大丈夫だったな」

「免疫も整っていますし、はちみつアレルギーもないようですから」

「はちみつでもアレルギーがあるのか」

「個人によって、食物以外のアレルギーもたくさんありますからね」


 厄介な病だが、場合によっては大人になれば変わると言うものもあるそうで。すべての人間がそのようになってほしいところだが、それこそ個人差があるので難しいらしい。

 一番危険が強いのは『ソバ』だとか。粉がわずかに含まれていても死に至ると。それを聞くと、やはりアレルギーは重要視せねばならん病だ。改めて気をつけようと思った。


「油断は出来んということか」

「はい。ですが、今回はゆるく考えていきましょう。アルベルトのメインにははちみつを少しかけたパンケーキにしましょうか?」

「ふわふわのか?」

「食べやすいように、今回は野菜も入れた薄いものがいいですね。リュシアーノ様にお伝えして、ジェラルド様にも召し上がっていただいたのですが」

「殿下がわざわざ……いや、今の殿下だからか」

「ええ、リュシアーノ様は素晴らしい方ですから」


 二年前はともかく、前世の記憶を取り戻されて大人の女性の魂を共有された。その事実を知るのは、イツキや俺を含めてほんのわずかな人間だけだ。

 隠さねば、殿下の立場がどのようなものになるか……愚かな貴族連中が手出ししようとするのは想像に難くない。

 そんなことはあってはいけない。殿下と婚約されている隊長が憤怒の情に駆られるだけで済まないはずだ。麗しの異名はさておき、隊長は激怒したら部下の俺でも止められん。

 今のところ問題はなくとも先はわからないからな。そこは常日頃気をつけておこう。

 今は、イツキとアルベルトの宴に必要なメニューを考えていかねば。


「食事の方は、まだ離乳食がメインなのか?」

「歯が生え出したばかりですし、固いものはまだまだメニューを検討中です」

「それでパンケーキか」

「あとはジュースで工夫しましょう」

「ジュースで?」

「果物をそのまま食べるのは難しいですからね。りんごやピアが最適ですよ」

「……なるほど」


 ただし、単純に搾るだけでなく『こす』という作業も必要だとか。赤児は本当に色々気遣いをせねばいけないのだな……。
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