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番外編②

第36話『子どもにココアフレンチトースト』②

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(これは美味い!)


 普通のチョコレートよりは淡いが、しっかりとしたココアの味わいに少し控えめの甘さ。

 それを補うように、ふんわりとしたパンの食感は舌に乗せるとすぐにシュッと溶けていく。その感覚は、口に運ぶごとに楽しくてついついフォークが進んで行った。


「い! う、うー!」


 ジェラルドも美味いのか、ヘルミーナに食べさせてもらっていた。口周りがベタベタになっているが、とても笑顔でイツキを呼んでいるようだ。


「ふふ。美味しいですか?」

「う!」

「ええ、とても美味しいわ。子どもに合わせた味なのに、私たちでも食べやすいと思うの」

「そうね! この苦味がちょうどいいと思うわ」

「はちみつを足してもいいですが、そのままでも美味しいですしね」

「……はちみつか」


 ジェラルドはもう口にしてもいいらしいが、俺たちは食べて大丈夫の食材。せっかくなので執事バトラーに用意させて、かけてから改めて口にしてみる。それをリュシアーノたちも同じようにしたのか、嬉しそうな声を上げた。


「こっちも美味しいわ!」

「ええ、甘みは強くなったけれど……ココアの味わいを殺していない」

「アレンジは色々できるお菓子ですから」


 他にもチョコレートをソースにしてかけるとさらに味わい深くなるらしい。ワルシュにレシピを渡して、別日に用意させることにしたが。

 ジェラルドははちみつをかけていないものでも十分気に入ったのか、限界まで食べると満足げにゲップをしたのだった。


「ジェラルド? ご馳走様?」

「う!」


 リュシアーノが聞くとジェラルドは嬉しそうな声を上げ、手をばんばんと叩き出した。王族としてはマナーがよろしくないが、まだまだ赤児なので致し方ない。

 ヘルミーナにナフキンでベトベトの口を拭いてもらえってから、椅子から降りてイツキの方に手を伸ばした。


「抱っこですか?」

「う!」

「ふふ。ヘルミーナ様、よろしいでしょうか?」

「ええ。お願い出来るかしら?」


 アルベルトはいつのまにか、用意していた簡易ベッドの中で寝ているからな。ジェラルドが元気に騒いでいるのに、大物かもしれん。

 イツキに抱かれたジェラルドはとても嬉しそうに笑い、高い高いされたらさらに声を上げた。


「だ!」

「はい、これくらいですよ? あんまりやり過ぎると、お腹がびっくりしますから」

「うー」

「ふふ。我慢です」

「う」


 俺の言うことは聞かんのに、イツキの言うことはよく聞くのだな……女に弱いという意味では姉の言うこともよく聞くし。

 まだまだ先は長いが、俺も父親らしく接するのをもっと鍛えねばいかん!

 そのあとは、アルベルトが起きてからイツキらが帰るギリギリまでジェラルドのおもちゃでたくさん遊ぶ光景は和んでいて、非常に良きものとなった。
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