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番外編②

第29話 来訪して土産に

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 久しぶりに訪れたのはいいのですが。

 まさか、子どもが出来ていたとは予想外。

 しかも、ご結婚されて城ではなく屋敷で生活されていると言う。

 これはお土産を持って行かないわけにはいきせんよ。


「お久しぶりですね、イツキちゃん。遅くなりましたが、ご結婚ならびにお子様の生誕おめでとうございます」

「ありがとうございます。コルトさん、本当にご無沙汰してますね」

「東方大陸の旅が楽しくて、つい」


 あの『オハギ』をきっかけに、改めて東方大陸への文化を学び直そうと決意したのですが。

 やはり、イツキちゃんの持つ小豆ロッシもち米ライシの使い方は見つかりませんでした。似たようなものはなくもなかったですが、イツキちゃんの調理法の方が圧倒的に素晴らしいものです。

 ですが、せっかく来たからにはと貪欲に学ぶに学んできましたとも。


「あ、うー?」


 イツキちゃんの御子息はエルフを見るのが初めてだからでしょうか? 僕の耳を興味津々に見て、手を伸ばしていました。


「耳が気になりますか?」

「ぶ、ぶー!」

「ダメだよ、アル? コルトさんが痛い痛いになるから」

「ふふ。すっかりお母さんですね」

「まだまだ未熟者ですが、何とか」

「いえいえ。お土産にですが……少し変わった豆を持ってきました」


 宝飾よりも、食材の方が嬉しいと前にシューくんから聞いていましたしね。荷の中からその袋を取り出し、卓の上でお披露目しました。


「これは……」

花豆フラウと呼ばれています。煮豆としての調理法が多いそうですが」


 ひと粒が指の先ほど大きな固い皮を持つ豆。表面には花びらのような模様が特徴。

 装飾品にも見えなくないですが、向こうの大陸では立派な食材。僕も初めて食べた時は美味しくてついつい酒も進んだほどです。


「久しぶりに見ますね。呼び方は、私の地域だと違いますが」

「やはり、ご存知でしたか」


 反応を見る限り、それはわかっていましたが。

 これをどう調理するのかも非常に気になりますね。


「醤油煮や甘煮もいいですが、サラダ以外にもお菓子に使えますよ」

「え、サラダ? お菓子もですか??」


 僕の予想を斜め上どころか遥か上の方にまで行き、とんでもない調理法を口にしてくださいました!?


「基本はお豆ですからね。小豆ロッシ同様に美味しく出来ますよ?」

「それはオハギでも?」

「オハギもいいですが、おまんじゅうや羊羹もいいですね」

「ん? ん?」


 まんじゅうはわからなくもないですが、ヨウカンとは一体何ですか!?

 本当にこの子は東方大陸の出身者なのか、改めて疑問に思いますよ!?
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