上 下
702 / 782
番外編②

第16話『色々オークのピクニック料理』②

しおりを挟む
 他の調理法もばっちり教わって、先輩に管理室の厨房も借りてひとりで作ることが出来たら!!

 待ちに待った、サフィアとのデートやわ!!

 場所も前に行った湖でのんびりしよかと決めてん。まだ馬に乗り慣れとらん、サフィアのしがみつくのは可愛ええけんど。もっと大胆にしがみついてもええのに、控えめなのがええ!!

『氷の美女』が全然いうくらい可愛ええ仕草なんや! 到着したら……料理もやけど、思いっきり甘やかしたろ!!

 キスしてキスしてキスしてハグしてその先云々……あかん、自分頭の中暴走し過ぎや。サフィア不足がこうもあかんくなっとるとか。


(隊長はもっとやけど……副隊長のように一緒に居れへんからなあ)


 不足もしゃーない。夜のも、まだ……実はまだ一回しかしとらん!! 結婚式したあの晩くらいしかしてないねん!! 欲求不満だらけやけど……しゃーないやん。服の下に隠れとるカミさんの柔い肌に、一年近く触れとらん自分を誰か褒めて!?


「旦那様? そろそろでは?」

「おん。せやな」


 手綱はしっかりしとったけど、頭の中じゃなかなかにピンクなことを考えとったのはサフィアに言えん。男の沽券に関わるからな!! そんなカッコ悪いとこ見せとーないし!

 馬を岸辺近くまで走らせ、降りてからはまた草を食べてもええように手綱だけ外して指示を出した。

 相変わらずの水の蒼さもやけど、誰も居らへんからのんびり出来る場所や。時間も時間やし、昼食おかと自分は亜空間収納から作ってきた弁当の箱と敷物をひょいひょいと取り出した。


「……多いのですね」

「せっかくやしな。今日は自分が作ってん」

「! 旦那様がですか?」

「いっつも仕事頑張っとるカミさんへの労いも兼ねてや」


 蓋はサフィアに開けて目で楽しんでもらうことにし、どんどん敷物の上に弁当箱と茶の水筒とかを置いていく。

 結構な量やけど、自分が大半食えばええし……実は朝楽しみ過ぎて寝過ごしかけてん。せやから、朝飯抜きなので腹ペコなんや。

 だから、都合がええっちゃええねん。


「……開けても?」

「もちろん。どうぞ」


 青の瞳を輝かせながら、サフィアは自分の言葉のあとにゆっくり蓋を持ちあげた。

 中は、ちょうどカツサンドやったな。脂身と肉の対比に加えて、ソースの色合いが白いパンの中で特に目立ってた。


「……これを旦那様が?」

「イツキはんに教わったんや。この前、スタンビートの遠征に行ってうんまい肉調達出来てな? んで、サフィアも帰ってくるし、今日に合わせた弁当にしたんよ」

「そうなのですね? 他を開けても?」

「ええよ」


 オニギリの方も、サフィアはほとんど見たことないから不思議そうな顔になったが、食べてみたいのかカツドン風のを持ってひと口食べてくれたんや。


「! 少し甘いですが、柔らかいですね。お肉? 卵も……リーゾとよく合います!! 外側の黒いのも香ばしくて」

「ノリ言う海藻の加工品や。東方大陸の特産品やねん」

「これが、海のもの?」

「合うやろ?」

「はい」


 自分も我慢出来んくて、しぐれ煮の方のを口に入れれば。味見はこの間したけど、やっぱリーゾとの相性抜群のええ料理やわ!? 甘辛くて、ゴボウもええ食感やし。こんなにもリーゾの合う料理があってええんかと思うわ。外側のノリもええ仕事しとる。

 あっという間にペロリやわ。


「あー、自分で言うのもなんやけど。うんま」

「ふふ。旦那様? リーゾの粒が顔に」

「へ? どこ?」


 そんながっついていたかと恥ずかしなって取ろうとしたら、サフィアが近づいてきて……そこの箇所をキスするようにして取ってん!? 


「……取れました」


 その後にハニカミなんてオプションもあったら!?

 もう襲いたくなるもんやろぉお!?

 けんど、料理も無駄にしたくなかったんで、キスでも深いもんで我慢した。それでもサフィアは腰が抜けたらしいが……可愛いことするカミさんが悪いんやぁ!!

 料理は時間かけて、何とか二人で食べたけど……次あったら我慢出来る自信ないわ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】ショタが無表情オートマタに結婚強要逆レイプされてお婿さんになっちゃう話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

【完結】身売りした妖精姫は氷血公爵に溺愛される

鈴木かなえ
恋愛
第17回恋愛小説大賞にエントリーしています。 レティシア・マークスは、『妖精姫』と呼ばれる社交界随一の美少女だが、実際は亡くなった前妻の子として家族からは虐げられていて、過去に起きたある出来事により男嫌いになってしまっていた。 社交界デビューしたレティシアは、家族から逃げるために条件にあう男を必死で探していた。 そんな時に目についたのが、女嫌いで有名な『氷血公爵』ことテオドール・エデルマン公爵だった。 レティシアは、自分自身と生まれた時から一緒にいるメイドと護衛を救うため、テオドールに決死の覚悟で取引をもちかける。 R18シーンがある場合、サブタイトルに※がつけてあります。 ムーンライトで公開してあるものを、少しずつ改稿しながら投稿していきます。

残念な悪役の元王子に転生したので、何とかざまぁを回避したい!

  *  
BL
R18BLゲームで、頭弱く魔力最低、きゃんきゃん吠えるだけの残念なちっちゃい悪役、元王子のリユィに転生してしまいました……! 主人公にいじわるされたり、最愛の推しにきらわれたり、溺愛されたりしながら、ざまぁ回避のために頑張ります! R18なお話には*がついています。 お話の本編は完結していますが、おまけのお話を更新したりします。

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

無関係だった私があなたの子どもを生んだ訳

キムラましゅろう
恋愛
わたし、ハノン=ルーセル(22)は術式を基に魔法で薬を 精製する魔法薬剤師。 地方都市ハイレンで西方騎士団の専属薬剤師として勤めている。 そんなわたしには命よりも大切な一人息子のルシアン(3)がいた。 そしてわたしはシングルマザーだ。 ルシアンの父親はたった一夜の思い出にと抱かれた相手、 フェリックス=ワイズ(23)。 彼は何を隠そうわたしの命の恩人だった。侯爵家の次男であり、 栄誉ある近衛騎士でもある彼には2人の婚約者候補がいた。 わたし?わたしはもちろん全くの無関係な部外者。 そんなわたしがなぜ彼の子を密かに生んだのか……それは絶対に 知られてはいけないわたしだけの秘密なのだ。 向こうはわたしの事なんて知らないし、あの夜の事だって覚えているのかもわからない。だからこのまま息子と二人、 穏やかに暮らしていけると思ったのに……!? いつもながらの完全ご都合主義、 完全ノーリアリティーのお話です。 性描写はありませんがそれを匂わすワードは出てきます。 苦手な方はご注意ください。 小説家になろうさんの方でも同時に投稿します。

わたしは妹にとっても嫌われています

絹乃
恋愛
「お姉さまって本当に地味でつまらないわよね」父である子爵に溺愛され、甘やかされて育ったビルギットは、姉のマルガレータを「地味」だと馬鹿にしている。マルガレータは長女として子爵家を支えているが、ビルギットは姉の婚約者も奪い、屋敷から追い出してしまう。マルガレータこそが彼女たちの贅沢な暮らしを支えているとも知らずに。放逐されたマルガレータを救ったのはクリスティアンという青年だった。

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。