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番外編
第240話『全く同じ待ち遠しさへのケーキを』②
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目的地である湖に到着して、馬を降りたら馬は草を食べさせるのに手綱などは外した。騎士団の馬だから調教はきちんと出来ているし、放ってもいきなり駆け出すことなくゆっくりと草の方に向かった。
僕はアイシスの手を握ってたけど……女の子って本当に柔らかいなと実感した。騎士団の見習いだから、手に固いタコはあるけど……基本的に柔らかい。男とは全然違う。
顔立ちは貴族のご令嬢に相応しいくらいに綺麗で可愛い。僕なんかの庶民には勿体無いくらいの相手なのに……僕を選んでくれた。だから……男を見せるんだ、ミュラー!!
「アイシス。少しお腹空かない? お菓子とか持ってきたから、岸の近くで食べよう?」
「はい! 実はわ、私も作って来たんです!」
「! 本当?」
アイシスもお菓子を手作りしてきてくれた……それはすっごく嬉しい! どんなお菓子なんだろう? 貴族様に伝わるお菓子なのかな?
ちょっとうきうきしながら、岸辺で敷布を広げてからそれぞれ亜空間収納の中から出したんだけど……。
「え?」
「あ?」
二人でそれぞれ箱を開けたんだけど……見た目は少し差があってもほとんど同じお菓子だった。間違っていなければ、これは『ウィークエンドシトロン』ってケーキのはず。
「……ミュラー殿、これは」
「……アイシス。イツキさんに教えてもらったの?」
「あ、いえ。イツキ義姉上にレシピはお聞きしましたが……城でワルシュ様と。ミュラー殿は?」
「……僕はイツキさんに教わって」
イツキさんの事だから……この反応を予想していたかも。お互い同じものを作って、同じように今日を待ち遠しく思いながら過ごして……同じものを食べて、幸せだと認識するって。
やられたなと思ったが、嫌な気持ちにはならなかった。
ひとりで悩んでいたつもりだったけど、アイシスは気づかないわけがないんだ。僕のヘタレ具合について。
なら、と僕はケーキを退かして……アイシスの手を取って引き寄せた。
「? ミュラー殿?」
「アイシス、ちょっと目つむって」
「こう、ですか?」
すっと目を閉じただけの表情も可愛い。
だけど、今から僕はこの子の大事な箇所を奪うんだ。顔を近づけて、呼吸が感じ取れるくらいで一旦止まったが……すぐに自分の唇を彼女と重ねた。
柔らか過ぎて、手の比じゃないそれをちょっと押すとアイシスがぴくって震えたから……少し名残り惜しいけど、離してあげた。
顔を少し離せば、真っ赤な表情のアイシスが見えた。
「……奪っちゃった」
「い、い、今の!?」
「うん。キス……待たせてたから」
「! 義姉上がおっしゃってた……ファーストキスですね」
「アイシス、初めて?」
「もちろん、ですとも」
お互いの初めてが……と思うと、嬉しさが込み上がってきてもう一度キスしちゃったよ。
そのあとは、お互いのウィークエンドシトロンの甘酸っぱい味わいとしっとりとした食感に舌鼓を打ち……キスも数え切れないくらいしたんだ。
僕はアイシスの手を握ってたけど……女の子って本当に柔らかいなと実感した。騎士団の見習いだから、手に固いタコはあるけど……基本的に柔らかい。男とは全然違う。
顔立ちは貴族のご令嬢に相応しいくらいに綺麗で可愛い。僕なんかの庶民には勿体無いくらいの相手なのに……僕を選んでくれた。だから……男を見せるんだ、ミュラー!!
「アイシス。少しお腹空かない? お菓子とか持ってきたから、岸の近くで食べよう?」
「はい! 実はわ、私も作って来たんです!」
「! 本当?」
アイシスもお菓子を手作りしてきてくれた……それはすっごく嬉しい! どんなお菓子なんだろう? 貴族様に伝わるお菓子なのかな?
ちょっとうきうきしながら、岸辺で敷布を広げてからそれぞれ亜空間収納の中から出したんだけど……。
「え?」
「あ?」
二人でそれぞれ箱を開けたんだけど……見た目は少し差があってもほとんど同じお菓子だった。間違っていなければ、これは『ウィークエンドシトロン』ってケーキのはず。
「……ミュラー殿、これは」
「……アイシス。イツキさんに教えてもらったの?」
「あ、いえ。イツキ義姉上にレシピはお聞きしましたが……城でワルシュ様と。ミュラー殿は?」
「……僕はイツキさんに教わって」
イツキさんの事だから……この反応を予想していたかも。お互い同じものを作って、同じように今日を待ち遠しく思いながら過ごして……同じものを食べて、幸せだと認識するって。
やられたなと思ったが、嫌な気持ちにはならなかった。
ひとりで悩んでいたつもりだったけど、アイシスは気づかないわけがないんだ。僕のヘタレ具合について。
なら、と僕はケーキを退かして……アイシスの手を取って引き寄せた。
「? ミュラー殿?」
「アイシス、ちょっと目つむって」
「こう、ですか?」
すっと目を閉じただけの表情も可愛い。
だけど、今から僕はこの子の大事な箇所を奪うんだ。顔を近づけて、呼吸が感じ取れるくらいで一旦止まったが……すぐに自分の唇を彼女と重ねた。
柔らか過ぎて、手の比じゃないそれをちょっと押すとアイシスがぴくって震えたから……少し名残り惜しいけど、離してあげた。
顔を少し離せば、真っ赤な表情のアイシスが見えた。
「……奪っちゃった」
「い、い、今の!?」
「うん。キス……待たせてたから」
「! 義姉上がおっしゃってた……ファーストキスですね」
「アイシス、初めて?」
「もちろん、ですとも」
お互いの初めてが……と思うと、嬉しさが込み上がってきてもう一度キスしちゃったよ。
そのあとは、お互いのウィークエンドシトロンの甘酸っぱい味わいとしっとりとした食感に舌鼓を打ち……キスも数え切れないくらいしたんだ。
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