王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

番外編

第217話 鬱憤だらけ

(うふふ……ネルとちょっとだけいちゃいちゃしちゃったわ！)


　それでも世間一般からしたら、ほとんどしてないに等しいけれど。私自身の身体が小学生くらいだから……やり過ぎると愛しのネルヴィスが性犯罪者扱いされてしまう。

　それは絶対避けたいから、私も我慢するしかない。ないんだけど……あと十年近くもほぼスキンシップ無しって、やばい！！

　手の甲やほっぺにキスくらいは親愛の挨拶程度ではあるけど……それはノーカンだ。加算しても意味がない！

　だから……この間のピクニックでは、ちょっとわがままが出ちゃったんだけど！　あんなにも素敵でカッコいい恋人からのキスが口で出来ないのが……もったいないし、正直辛い。ネルも同じ気持ちだったら、ちょっと嬉しいわ。


「うーん……実年齢と精神年齢が釣り合わないのは、神様のいたずらかもしれないですね」


　秋の長期休暇だけど、今日はネルじゃなくてイツキの屋敷にお邪魔しているの。アルベルトはあやせば、可愛らしく笑ってくれるわ。

　それと、ネルとのデート話をしたら、イツキは苦笑いしちゃったのよね？


「んもぉ。ほんと～に、そこは転生させた神とかに文句言いたいわ！？　なんで幼児の時に婚約なの！！？」

「逆に言えば、ネルヴィスさんを確保出来たからでは？」

「……そう言われるとぐうの音も出ないわ」


　けどけどぉ！？　ネルともっといちゃいちゃしたい！！

　ハグも姫抱っことか子どもの抱き方だもん！？　私が今の身体だと子どもだから仕様がないけど！！　前世の年齢だったら問題ないのに！？　神様ってほんと意地悪なんだからぁ！！


「では、リュシアーノ様。その鬱憤を料理にぶつけましょう」

「……何かあるの？」

「揚げ餃子の生地作りです」

「やるわ！」


　餃子だなんて、魅惑のワードにプラスされて……さらに揚げてしまうだなんて拒否するわけがない！！　おまけに、この鬱憤を解消できるのならやってみせるわ！！

　料理は厨房に行くんじゃなくて、最近ちょっとリフォームしたイツキ専用のミニキッチンで揚げ餃子を作ることになったの。

　造りは、マンションのオープンキッチンくらいだから一人で料理するにはちょうどいいスペースね？