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番外編
第180話『生チョコのようなチョコバター餅』②
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そして出来上がった『チョコバターモチ』と言うのは、どう見ても柔らかいチョコレートと同じような仕上がりになっていたわ。
「……まあ、美しい」
リンナが切り分けて、余らせておいたココアと砂糖の粉を改めてまぶしただけなのに……一種の細工物に見えたわ。とても美しい出来栄え。
これがどのような味や食感なのか非常に楽しみ。
リュシアの記したレシピには『温かい牛乳とコーヒーを混ぜ合わせた飲み物が良い』とあったので、リンナに近いものを用意してもらったわ。
(甘い食べ物なのにコーヒーだけじゃなくて良いのね?)
けれど、その書き込みもイツキに教わったとしたら、気になってしまうわ。あの人が合わせてくれる食事はとても美味揃いだもの。
それと、私だけ独り占めはいけないと思い、陛下もご一緒にとお誘いしたわ。
「ほう? 見た目だけだとチョコレートにしか見えんが」
「リュシアーノがイツキから教えてもらったレシピを借りましたの。リンナの手伝いもあって、うまく出来たと思いますわ」
「君の手製か? それは楽しみだ」
ああ、もう。
お互いにそこそこいい年齢の大人なのに。この歳でジェラルドを宿すことが出来るほど、女として愛してくださったもの。昔も素敵だったけど、今はもっと年相応の男性の魅力が高い。
さりげない言葉と微笑みで、私はさらに胸がときめいてしまうわ!! ……と言うので今は悶えている場合ではないから。
メイド達が盛り付けてくれた、チョコモチと飲み物が目の前に置かれてから……フォークでモチを刺してみると、不思議な感触が伝わってきたわ?
「……まあ。食べる前はあんなに固かったのに」
つきたてのモチほどではないけれど、柔らかい。
だけど、フォークでしっかり刺せるそれをほんの少しかじってみれば、甘くてとろんとしたような……さらに不思議な甘さと食感に出会えた!
これは、最初に食べたピーチモチに近いわ!! でも、甘さと濃厚さはこちらが上。
舌の上で蕩けるような食感が、とても病みつきになりそうな時に……甘さが少ししつこくなってきたら、すぐに飲み物を口に含めば。
「「ほぉ……」」
陛下も同じくらいに飲まれたのか、ほっとした息を吐かれた。
甘いものにはスッキリしたお茶か、苦いコーヒーが良いと思われがちだったが、この飲み物は最適過ぎた。
前に飲んだホットココアよりはまろやかで適度な苦味が残っていて……チョコモチとの相性がとても良い。もう一口飲んでからモチを食べれば、永遠に口の中で味わえそうだわ!!
「これはいいな。モチの食べ方にまた幅が広がるだろう」
「そうですわね。手間は少し必要ですが、のどに詰まることもあまりないようですし」
「かみごたえがあるからな」
選んだ理由は珍しいだからだけど、これはお茶菓子には良いかもしれない。食べ過ぎはよくないが、痩せ気味の私のおやつには……ね?
イツキのレシピはまだ借りたままだから、次は何のモチ菓子を作ろうかしら? イツキにもまたお礼を言いたいから、その時に聞くのも有りね!
「……まあ、美しい」
リンナが切り分けて、余らせておいたココアと砂糖の粉を改めてまぶしただけなのに……一種の細工物に見えたわ。とても美しい出来栄え。
これがどのような味や食感なのか非常に楽しみ。
リュシアの記したレシピには『温かい牛乳とコーヒーを混ぜ合わせた飲み物が良い』とあったので、リンナに近いものを用意してもらったわ。
(甘い食べ物なのにコーヒーだけじゃなくて良いのね?)
けれど、その書き込みもイツキに教わったとしたら、気になってしまうわ。あの人が合わせてくれる食事はとても美味揃いだもの。
それと、私だけ独り占めはいけないと思い、陛下もご一緒にとお誘いしたわ。
「ほう? 見た目だけだとチョコレートにしか見えんが」
「リュシアーノがイツキから教えてもらったレシピを借りましたの。リンナの手伝いもあって、うまく出来たと思いますわ」
「君の手製か? それは楽しみだ」
ああ、もう。
お互いにそこそこいい年齢の大人なのに。この歳でジェラルドを宿すことが出来るほど、女として愛してくださったもの。昔も素敵だったけど、今はもっと年相応の男性の魅力が高い。
さりげない言葉と微笑みで、私はさらに胸がときめいてしまうわ!! ……と言うので今は悶えている場合ではないから。
メイド達が盛り付けてくれた、チョコモチと飲み物が目の前に置かれてから……フォークでモチを刺してみると、不思議な感触が伝わってきたわ?
「……まあ。食べる前はあんなに固かったのに」
つきたてのモチほどではないけれど、柔らかい。
だけど、フォークでしっかり刺せるそれをほんの少しかじってみれば、甘くてとろんとしたような……さらに不思議な甘さと食感に出会えた!
これは、最初に食べたピーチモチに近いわ!! でも、甘さと濃厚さはこちらが上。
舌の上で蕩けるような食感が、とても病みつきになりそうな時に……甘さが少ししつこくなってきたら、すぐに飲み物を口に含めば。
「「ほぉ……」」
陛下も同じくらいに飲まれたのか、ほっとした息を吐かれた。
甘いものにはスッキリしたお茶か、苦いコーヒーが良いと思われがちだったが、この飲み物は最適過ぎた。
前に飲んだホットココアよりはまろやかで適度な苦味が残っていて……チョコモチとの相性がとても良い。もう一口飲んでからモチを食べれば、永遠に口の中で味わえそうだわ!!
「これはいいな。モチの食べ方にまた幅が広がるだろう」
「そうですわね。手間は少し必要ですが、のどに詰まることもあまりないようですし」
「かみごたえがあるからな」
選んだ理由は珍しいだからだけど、これはお茶菓子には良いかもしれない。食べ過ぎはよくないが、痩せ気味の私のおやつには……ね?
イツキのレシピはまだ借りたままだから、次は何のモチ菓子を作ろうかしら? イツキにもまたお礼を言いたいから、その時に聞くのも有りね!
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