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番外編

第177話 友の料理を

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 陛下から変わったサンドイッチだと聞いてはいたのだけれど、本当に変わった形だわ。

 厚めに切った食パンに切り込みを入れて、具材を挟み込むという変わったサンドイッチ。手づかみなのは変わりないけど、豪快に具材を挟んであるため両手で持たなくてはいけない。

 事前に陛下から伺っていなければ食べるのをためらうパンだけど……これは、イツキがワルシュ先輩に伝えた料理らしい。イツキのだと思うと、私も食べずにはいられない。

 陛下はほとんどの具材を肉にしたが、私は魚や卵にしたというのに、それでも豪快な盛り付けの仕方だ。かぶりついていいのか、まだ少しためらうくらいに。


(いいえ。せっかくのイツキの料理をためらってはいけない!)


 イツキも食べているだろうと思い、カプッとかぶりつけば……香ばしいパンの食感と共に中の具材が押し寄せてきて、とても食べ応えがあった。

 それにこれは。


「具材が落ちてこないのですね……」


 袋にしてあることで、サンドイッチの欠点である具材が落ちることがないのだ。その袋がきちんと受け止めてくれている。これは画期的な上に非常に食べやすい。

 今食べているのは大ぶりなゆで卵が入ったサンドイッチだけれど、ひとかけらも具材が落ちてこない!! これはすごいわ!!


「見た目は派手だが、非常に計算されたような作りだな。さすがイツキだ。機転がよくきいている」

「そうですわね……」


 私と同じように子を持つ母となった友人。

 屋敷の女主人にもなったので、料理をする機会は今どうなっているのかしら? アルベルトと名付けたあの赤子は非常に愛らしい。出産後に会いに行ったけれど、イツキとよく似た髪色が艶々だったわ。

 東方大陸の血が貴族に加わるのは久しぶりだと聞くが、成長したら父親のアーネスト似かイツキに似るか非常に楽しみだわ。

 近しい貴族の女性ちの交流が途絶えがちな今は、イツキがその位置にいるもの。気心知れているしとても嬉しい。

 その上、また美味しい食事を伝えてくれたんだもの。次のお茶会の時には何か入り用なものを聞いてプレゼントしたいわ。

 卵のサンドイッチはあっという間に食べ終え、次は陛下と同じ魚のフライのに手を伸ばした。
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