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番外編

第157話 親友の恋?

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 親友……と俺が思っている相手から、ちょっと、いやだいぶ信じがたい相談を持ちかけられたのだ。


「……信じられない?」

「……まあ、ちょっとは」


 その内容は、『恋』。

 別に人間だし、そんな感情を持っておかしくはない。俺だって、いつかは誰かをカミさんにしたい感情は持ってはいる。とは言え、今は俺のことは関係がない。

 近衛騎士団、第一部隊小隊長に就任したミュラーの方が大事だ。


「……だって、一生懸命なところが可愛く見えて」

「……副隊長の妹さんが?」

「……うん」


 ミュラーの好きな相手が、ハインツベルト副隊長の……今年入隊したばかりのアイシス、さん? 貴族のご令嬢でも近衛騎士に入隊した人間だから、気安く呼んでいいのか悩む。俺が悩んでも意味ないけど、ミュラー自身は本気で悩んでいるようだ。


「……告白に悩んでいるのか?」

「僕が平民だから……釣り合わないだろうし」

「……おいおい」


 どうやら、先の事まで考えているくらい……惚れ込んでいるんだろう。ミュラーを気にかけているメイドとかが知ったら、ガッカリするだろうなあ?

 ミュラーは男の俺から見ても、なかなかにかっこいいからな!


「……けど、好きなんだ」


 どこが、とか。聞き出したら、果てしなく言葉があふれてきそうだし、ここは聞く内容を少し変えようと決めた。


「ミュラー。身分差はたしかに気になるが、ひとつ思い出せ」

「え?」

「ハインツベルト副隊長だって、イツキさんがお相手だったけど……イツキさんも市井の出じゃなかったか?」


 具体的には、イツキさんの素性は知らないけど……たしか貴族ではないと言ってた覚えはある。まあ、それ以上にイツキさんはイージアス国の救世主だけど。


「……イツキさんは、すごい人だから」

「君だって、任務とかめちゃくちゃ頑張ってんだろ?」

「騎士としてはだよ。男としては……市民に変わりないし」


 ダメだ。こりゃ相当頑固だ。

 イツキさんも変に頑固なとこはあったけど、恋に臆病になってるミュラーはもっと酷い。

 イツキさんに相談に乗って欲しいけど……料理番は今俺が引き継いでいるし、先日ご子息を産んだばっかり。

 だけど……お祝いに行くくらいならいいかな?

 ちょっと、ミュラーにもイツキさんへ会いに行こうと提案をすることにした!!
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