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番外編

第149話 私も子ども

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 イツキとアーネストの子どもがとうとう産まれた。

 元気な男の子ですって、名前はアーネストがつけたらしく……アルベルトだそうよ。異世界らしい名前だわ。イツキの名前はかすりもしない。そこはまあいいけど。


(……子どもかあ)


 私は今、学園の寄宿舎にいた。休暇だからって、長期でない限り王宮には帰らない。転移方陣はあるけど、いちいち帰ってたら寮の意味がないもの。こっちはこっちで、ちゃんと友達もいるし。

 ただ今日は、エイミー達はそれぞれの実家に呼ばれているので寄宿舎にはいないのよね? だから、話し相手にはサフィアを控えさせていたわ。


「やっと、イツキの赤ちゃんが産まれたそうね?」

「そのようにございますね」


 サフィアは全く表情を変えないわけじゃないけど、レクサスって旦那さんが出来てからはちょっとずつ変わってきたの。恋人時代もだけど、『氷の美女』を一瞬で溶かすくらいラブラブなのよね? 私の方も、ネルとはラブラブだけど! 私が子どもの身体だからいちゃいちゃ出来ないのが歯痒いわ!! 中身は『ピー』歳なのに!!

 さておき、イツキ達の子どもが産まれたから次の休暇日あたりには屋敷に遊びに行こうと思うの。


「エイミーやマーキュリーも一緒に行こうかしら?」

「お二方が、ようございましたら……ですが」

「あの子達も贈り物考えてたらしいから、大丈夫と思うわ」


 イージアス王国だけでなく、世界の病に気づいた救世主の子ども。男とくれば、同時期の女の赤ん坊での許嫁への予約殺到だろうけど……アーネストがさせないでしょうね? 自分が恋愛結婚だったから、息子にも同じようにさせたいでしょうし。

 と言うか、政略結婚が意外と少ないこの国じゃ、恋愛結婚の方が割と多いのよね。私の場合は、ジェラルドが生まれるまではイレギュラーだったけど。


「でしたら、お早めにお伝えしませんと」

「そうね。通達お願いしていいかしら?」

「かしこまりました」

「サフィアは何か考えているの?」

「……私ですか?」

「だって、旦那さんはイツキの友達じゃない?」


 男と女の友達が成立しているのよね? あの二人の場合。

 そこについては、サフィアはあんまり嫉妬しないのかしら? って最初は聞いたんだけど。


『恩人でもありますし、レクサス殿はとてもイツキ殿を尊敬していらっしゃいます。本当に、友として』


 って、断言するくらいだから……ちょっと達観した考えを持っているのかしら? イツキ自身もちょっと特殊だけど、異世界転移で来た人間だものね? 私はサフィアには言えないけど、転生者だし。

 かと言って、現代社会みたいに男女の友情が簡単に成立する世界とは思っていなかったけど……記憶が戻って、色々見聞きしたら感じ方も違った。じゃなきゃ、私だってネルと婚約出来なかったんだもん。


「そう、ですね。夫は近衛騎士団一同でクッキーを作られたそうですが」

「クッキーと言えば、サフィアが昔作ったバラのもよかったわね?」

「……はい」


 綺麗に作ったけど、レクサスが喜び過ぎて抱えて走って砕けたクッキー。けど、サフィアがショックを受けた心を治したクッキーでもあるわ。あれ、難しそうだけど……私も作ってみたいなあ?
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