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番外編

第133話 祝いの品に

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 イツキの臨月が間近に迫ってきています。

 アーネストから、先日バクス医師よりその情報をいただきました。うっかり、僕やレクサス以外の騎士らもいたので、城中に広まってしまいましたが。

 そのおかげで、城中お祭り騒ぎになってしまいました。何せ、国どころか世界の救世主とも言える女性の出産ですからね。イツキを慕う人間は数多いですから、祝いたく気になるのも非常にわかります。僕もその一人ですから。


(……さて。出産への祝いですか)


 イツキは基本的に宝飾をあまり好みません。異世界からの渡航者だからと言うより、イツキ自身があまり好まないようです。逆に食材に関しては非常に喜んでしまいますが。

 しかし、食材は普段から不自由していないようですし、新発見の食材は逆にイツキ自身の知識を結びつけてギルドで手に入るようです。

 赤子の服は、ハインツベルト家の方が積極的に用意しているでしょうから却下です。

 とくると、どうしましょう。僕でもちっとも思いつきません。リュシアーノ様に相談しようにも、彼女はもう学園に戻られてしまいましたし。


「んで? 自分なん?」


 ここはひとつ、事情を知る者同士で知恵を貸し合う方が良いと思い、レクサスと二人で話せるタイミングを作りました。


「……レクサス自身も悩んでいるでしょう?」

「せやなあ? イツキはんの喜ぶもんだけでなく、その子供や副隊長にやろ?」

「思いつくこと自体が難しいです」

「自分もや」


 既存の物を用意することは、至極簡単です。レクサスはレクサスの伝手、僕は貴族側の伝手があるように。しかしながら、僕らの恩人でもあるイツキへの祝福の品を選ぶのは、そうではないような気がします。

 このような考え方が出来るようになったのも、彼女のおかげですから。

 随分と、僕もですが周りも変わったことです。

 特に、ワルシュ殿や王族方も。

 リュシアーノ様も、転生者だとわかってからはかなり変わられましたし。


「料理はこれまでやってきましたし……何か別のがいいとは思うのですが」

「いっそ、両方でもええんとちゃう?」

「! なるほど。別に限定する必要はありませんね」


 やはり、レクサスに相談を持ちかけて正解でした。

 なら、何を贈ろうか。

 何を作ろうか。

 議題が決まれば、意見がすぐに泉のように浮かんできました。その途中で、ミュラーも入ってきたので……せっかくだからと、近衛騎士団一同で用意しようかと言う大掛かりなことになりましたよ。
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