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番外編

第124話『パイナップル串焼き』

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 葉を落として、皮と芯を取り除いて。

 適当に皮剥いだ細長い木の枝に、長く切ったパイナップルを固定するように刺す。

 あとは、魚の串焼きと同じようにして焼くんやと。下ごしらえ除けば簡単やなあ?


「……大丈夫なん?」

「まあ、待て」


 ほんまに焼くんかって、隊長もやけど他の部下らもハラハラ見守っていたしなあ? 甘酸っぱい匂いに、少し焦げたような匂い。嗅ぎ慣れとらんそれに、ちょい違和感は感じたが……副隊長はさらに、とんでもないことをしようとしていた!?


「ふ、副隊長!? 何しとるん!?」


 ただ焼いていくだけじゃなく、なんや濃いソースをパイナップルの串にかけていったんや!?


「何って。ただ焼く以上に美味いからかけているんだが?」

「信じられへん!? それ、肉用のソースやろ!?」

「それが美味いんだ」

「兄上!? 気が狂ったんですか!?」


 アイシスも叫ぶくらいに、素で呼ぶくらいやからなあ?

 驚く以上の感情を受けて当然やわ!? 隊長かて、口あんぐりやし!


「まあ、信じてくれ。意外とこれが合うんだ」


 ほら、と、焼き上がった串のひとつを自分に差し出してきた。色合いは悪くない……悪くないんやけどなあ!?

 甘いもんにソースって合うんかい!!?


(……せやけど、イツキはんが提案してくれた料理がまずいわけない)


 受け取った串からは、相変わらず甘辛い匂いがするんやけど……ソースのおかげで、食欲をかき立てるええ匂いがするんや。

 だから……つい、つい持ってる手を移動させ、口にパイナップルを近づけていく。まずはちみっとかじったんやけど。


「!?」

「どうだ?」


 副隊長が含み笑いするのも、気にならんくらい……衝撃的やったわ!? 

 甘い。

 酸っぱい。

 辛いにしょっぱい。

 それらが、ちょうどええんや! パイナップルの独特の食感とも相まってちょうどええ!! これ、果物言うより立派な食いもんやわ!?


「うんま!?」

「単純に焼くだけでも美味いが、病みつきだろう?」

「せやなあ!!」

「……そんなにも美味しいんですか?」

「せやで、隊長」


 そっからは、はたごしらえも兼ねて……さっきのボアベアの肉と焼いたらさらに美味かったけど。危うく、目的忘れそうになってん。食べるだけ食べたらさっさと帰還することになったわ。

 けど……熱加えた果物の味は忘れられへん!! またイツキはんに聞けそうやったら聞きに行こうっと。今日のパイナップルやったら、イツキはんへの手土産に喜んでくれそうやわー。
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