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番外編
第106話『色々果物ゼリー』①
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「まあまあ、奥様。キルトから、ちょうど用意しているものがあると申しておりましたわ」
「……用意しているもの?」
なんだろう。
キルトさんには、異世界のレシピとは言わずに、料理のレシピをたくさん教えてはいる。直接だったり、本に書いてあるものだったりと。その中から、なにか試作をしてくれたのだろうか?
「涼しげで、食べやすいお菓子だそうですわ。たしか……ゼリーと言うものだとか」
「ゼリーですか!」
果物を入れるかどうかにもよるが、小腹が空いている今なら最適だ。つるんとふるんとしているし、喉ごしもいいはず。せっかくだから、食べたいと私がイリアさんに告げれば『少しお待ちください』と部屋を出て行った。
(なんのゼリーだろう)
今は秋だから……梨?
キウイとかは時期じゃないし……秋苺もある。りんごもそろそろ旬だ。お城では寒天寄せを作った時に、カミオさんが独り占めして私が怒ったっけ。それも少し懐かしい……。
(まかないの方は、エリオさんが引き継いでくれたけど)
今はどんな料理が振る舞われているだろうか。その場にいないのを少し寂しくは思うけれど、あそこは今私のいるべき場所じゃなくなった。
お腹にいる大事な我が子のために、母親としてがんばらなくちゃいけない。今の私の大事な仕事だ。
そして、数分経つと……イリアさんはワゴンを押しながら入ってきた。
「奥様。お待たせ致しました」
「ありがとうございます。……そんなにも?」
「小分けにしておりますが、いろんな種類を召し上がっていただきたいとのことで」
私が食べやすいように、身の回りをテキパキと整えられてから……ワゴンを開けてもらうと。
「わ! 綺麗!」
赤。
黄色。
薄黄色。
緑。
紫。
着色料はないだろうに、見事に鮮やかな仕上がりとなっていたのだった。内側には果物が入っているのも見える。
「赤がいちご。黄色がりんご。薄い黄色は梨ですわ。緑はキウイで紫はブドウにございます」
「ありがとうございます! いただいていいですか?」
「もちろんですわ。奥様に是非召し上がっていただきたいとキルトも申しておりました」
「はい」
せっかくだから……最初は梨にしようかな? ちょっとさっぱりしたものから食べたかったので。
「……用意しているもの?」
なんだろう。
キルトさんには、異世界のレシピとは言わずに、料理のレシピをたくさん教えてはいる。直接だったり、本に書いてあるものだったりと。その中から、なにか試作をしてくれたのだろうか?
「涼しげで、食べやすいお菓子だそうですわ。たしか……ゼリーと言うものだとか」
「ゼリーですか!」
果物を入れるかどうかにもよるが、小腹が空いている今なら最適だ。つるんとふるんとしているし、喉ごしもいいはず。せっかくだから、食べたいと私がイリアさんに告げれば『少しお待ちください』と部屋を出て行った。
(なんのゼリーだろう)
今は秋だから……梨?
キウイとかは時期じゃないし……秋苺もある。りんごもそろそろ旬だ。お城では寒天寄せを作った時に、カミオさんが独り占めして私が怒ったっけ。それも少し懐かしい……。
(まかないの方は、エリオさんが引き継いでくれたけど)
今はどんな料理が振る舞われているだろうか。その場にいないのを少し寂しくは思うけれど、あそこは今私のいるべき場所じゃなくなった。
お腹にいる大事な我が子のために、母親としてがんばらなくちゃいけない。今の私の大事な仕事だ。
そして、数分経つと……イリアさんはワゴンを押しながら入ってきた。
「奥様。お待たせ致しました」
「ありがとうございます。……そんなにも?」
「小分けにしておりますが、いろんな種類を召し上がっていただきたいとのことで」
私が食べやすいように、身の回りをテキパキと整えられてから……ワゴンを開けてもらうと。
「わ! 綺麗!」
赤。
黄色。
薄黄色。
緑。
紫。
着色料はないだろうに、見事に鮮やかな仕上がりとなっていたのだった。内側には果物が入っているのも見える。
「赤がいちご。黄色がりんご。薄い黄色は梨ですわ。緑はキウイで紫はブドウにございます」
「ありがとうございます! いただいていいですか?」
「もちろんですわ。奥様に是非召し上がっていただきたいとキルトも申しておりました」
「はい」
せっかくだから……最初は梨にしようかな? ちょっとさっぱりしたものから食べたかったので。
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