王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

番外編

第96話 シンプルだから相性が

　食堂で食べることになった……美味しそうな肉まんとピザまん。

　まだ湯気がほのかに立ちのぼっていて、とても美味しそうだったわ。イツキが、キッチンペーパーのような蝋紙に包んでくれたから……手に持つと少し熱い程度。

　ほぼほぼ、出来立ての肉まんを食べれるのはイツキのおかげ。使用人達がいるからいただきますは出来ないし、大口も開けれないから小さくかじった。

　ほわんと柔らかくて、パンとは違う柔らかさと甘み。

　ふた口以上進めると……中身が顔を出してきたわ。白い方を先に食べたから、こっちは肉まん。

　さらに食べ進めると……肉のしょっぱさに加えて玉ねぎの甘みと出会って、周りの皮との相性が抜群だわ！！


(これよこれ！！)


　具材たっぷりの肉まんもいいんだけど、シンプルに肉と玉ねぎだけでも十分に美味しいと思うの。餃子とかも、ものによっては似たのがあったけど……こう言うのは甲乙つけがたい。

　どっちも悪くないし、どっちも良い。

　今回は気分で選んだんだけど……これで良かったわ。具沢山はあえてピザまんにしたんだもの。


「さすがイツキね。美味しいわ」

「リュシアーノ様も頑張ったからですよ」

「ほんのちょっと手伝っただけよ？」

「それが大事なんです」


　本当に、この人は私が『子ども』でも『王女』でも関係なく……ひとりの人間として接してくれるんだから。

『若菜わかな』の記憶を持ってても、ほとんど関係ないみたい。イツキはただ、相手を尊重してくれるだけ。

　でも、それって簡単に出来ることじゃないわ。


「……うん。このお茶との相性いいわね」


　ジャスミン茶ぽいのとも、肉まんは良く合う。油っこい口の中をリフレッシュしてくれるようだわ。これはこれでいい組み合わせ……東方大陸から取り寄せていいかもしれない。

　半分を食べ終えたところで、せっかくなら……とピザまんにも手を伸ばしたが。

　食べた時の、思っていた以上のチーズの伸び具合に、イツキも驚いたけれどサフィア達メイドらが……慌てて布巾を持ってくるくらいびっくりさせてしまった。


「ふふ。ピザまんは大成功ですね」


　イツキも驚いてはいたけど、異世界知識じゃ別に不思議でもなんでもないものね？


「びっくりしたけど、チーズのまろやかさがトマトとかの野菜を包んでくれるようで美味しいわ」

「あえてお肉を入れませんでしたからね」

「また作りましょう？」

「もちろん」


　その頃には、イツキのお腹から男の子の赤ちゃんが生まれているかしら？

　どんな赤ちゃんが出てくるのか、楽しみね。中身は『ピー』だから、今は子供でも近所のおばちゃん気分ね、これは。