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番外編
第95話『共同作業で中華まん』②
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生地のベンチタイムっていうのを、しばらく待ったあとに。
この世界では蒸し器の需要がほとんどないから……大ぶりの鍋に少量の水に大きめのお皿を二つ。これらを用意したイツキは、皿のひとつをひっくり返して入れて……もうひとつをゆっくり底同士を合わせるように置いたわ。
「これで簡易蒸し器の完成です」
「……これでいいの?」
「コルトさんが置いていった蒸し器はお城のですからね。とりあえずはこれでいいんです」
その上を向いた皿の上に、食べる分の中華まんを置いて……火をつけて、湯が沸いてきたら布でくるんだフタをして待つらしいの。
「……家庭ではこれでいいのね」
「蒸し器があった方がたくさん作れますが……ハクトさんに注文したら、はしゃぎそうですね」
「でしょうね」
あのドワーフおじいちゃんに頼んだら、喜んで引き受けそうだわ。装飾品作りも得意だけど、イツキの提案する異世界の調理道具作りも楽しそうにしているってお父様から聞いてるの。
まあ、職人からしたら知らない道具を作る楽しさはあるでしょうね?
そして、湯気がどんどん大きくなって、匂いにもパンとは違う小麦粉独特の甘い香りがしてきたわ。
「タイマーがないので、こういうところが勘勝負ですけど」
「……そうね」
日本とかでは当たり前だった知識と道具がないから、イツキも試行錯誤しているんだもの。待つしか出来ないけど、ひとりじゃないからこうやって話しながら具合を見ることが出来る。
けど、時間の経過は最低振り子時計があるから、イツキは何度も鍋と交互に見ながら……ここだ、と思った時にフタを取ったわ。
もくもくがすごかったけど、小麦粉の甘い香りに私はうっとりしてしまった。
「……いい頃合いですね」
フタを置いて、竹串のようなもので軽く火の通り具合を確認したイツキが、そう言ってくれたわ。
つまり、これで肉まん達の完成ね!
わくわくしながら、私も鍋を覗いてみるのにイツキに抱っこをお願いしたら……鍋の中には、何倍にも膨れ上がっていた肉まんとピザまんがあったわ!!
「これよこれ!!」
「熱いので、ちょっとだけ冷めてから食べましょう」
「……出来立てが一番なのに?」
「フィルムの代用品で巻いても、すっごく熱いですよ? お城で振る舞った時はどうでした?」
「……ちょっと冷めてたわ」
たしかに、あちちで口の中をやけどしたら大変で済まないわね。私、宮廷医師のバクスのように医療魔法だなんてほとんど使えないもの。
仕方ないから、食べる準備はイツキに任せることにしたわ。
この世界では蒸し器の需要がほとんどないから……大ぶりの鍋に少量の水に大きめのお皿を二つ。これらを用意したイツキは、皿のひとつをひっくり返して入れて……もうひとつをゆっくり底同士を合わせるように置いたわ。
「これで簡易蒸し器の完成です」
「……これでいいの?」
「コルトさんが置いていった蒸し器はお城のですからね。とりあえずはこれでいいんです」
その上を向いた皿の上に、食べる分の中華まんを置いて……火をつけて、湯が沸いてきたら布でくるんだフタをして待つらしいの。
「……家庭ではこれでいいのね」
「蒸し器があった方がたくさん作れますが……ハクトさんに注文したら、はしゃぎそうですね」
「でしょうね」
あのドワーフおじいちゃんに頼んだら、喜んで引き受けそうだわ。装飾品作りも得意だけど、イツキの提案する異世界の調理道具作りも楽しそうにしているってお父様から聞いてるの。
まあ、職人からしたら知らない道具を作る楽しさはあるでしょうね?
そして、湯気がどんどん大きくなって、匂いにもパンとは違う小麦粉独特の甘い香りがしてきたわ。
「タイマーがないので、こういうところが勘勝負ですけど」
「……そうね」
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けど、時間の経過は最低振り子時計があるから、イツキは何度も鍋と交互に見ながら……ここだ、と思った時にフタを取ったわ。
もくもくがすごかったけど、小麦粉の甘い香りに私はうっとりしてしまった。
「……いい頃合いですね」
フタを置いて、竹串のようなもので軽く火の通り具合を確認したイツキが、そう言ってくれたわ。
つまり、これで肉まん達の完成ね!
わくわくしながら、私も鍋を覗いてみるのにイツキに抱っこをお願いしたら……鍋の中には、何倍にも膨れ上がっていた肉まんとピザまんがあったわ!!
「これよこれ!!」
「熱いので、ちょっとだけ冷めてから食べましょう」
「……出来立てが一番なのに?」
「フィルムの代用品で巻いても、すっごく熱いですよ? お城で振る舞った時はどうでした?」
「……ちょっと冷めてたわ」
たしかに、あちちで口の中をやけどしたら大変で済まないわね。私、宮廷医師のバクスのように医療魔法だなんてほとんど使えないもの。
仕方ないから、食べる準備はイツキに任せることにしたわ。
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