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番外編

第71話 米の需要

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 いつもやったら、厨房でイツキはんが作るか一緒に作るかやねんけど……今日からはちゃう。

 使用人もわんさかほどやないけど居るし、厨房にも料理人が居る。主人であるイツキはんが作り方を教えとるから……客である自分は居る意味がないんや。

 ダチであれ、今日は客人。

 それに、イツキはんは出来上がりまで楽しみにしてほしいと言ってくれた。その笑顔を曇らすことは出来へんし、自分は執事バトラーに案内された食堂でコーヒーを飲むことにしたわ。

 茶菓子は断った。せっかくの天津炒飯の味を甘ったるいもんで先に潤してはあかんからなあ? あの塩気ととろみはほんまに絶品やから。


(……脂身だけのチャーハンかあ? 自分で提案しといてなんやけど、どんな味やろな?)


 味付けする場合、リーゾにはしっかり味付けせなあかんことはイツキはんから教わった。んでもって、近衛騎士の野営実習訓練にも、リーゾの炊き方はイツキはんから教わったのを取り入れている。ちょぉ、炊くのは大変かもやけど、冷めてパサパサしているパンよりも段違いに美味いんや。蒸らしは必要やけど、出来立てが食えるのは最高や。

 なので、騎士連中らからの評判が良い。パンは素人じゃ外では作れんからなあ?

 ともかく、そのリーゾを使った料理もめちゃくちゃ美味い。王城の食堂やと、白いもんにかけるソース……カレーやハヤシは大人気やからなあ? それを、ここではいつでも食える副隊長や使用人らは羨ましい。自分は料理人ちゃうから、難しいもんは作れんし。サフィアと一緒に住む時になっても、ここと似た感じだろう。

 自分はともかく、サフィアは伯爵家の御令嬢だったからなあ? 仕事は殿下の側仕えのメイドでも、同居するとなったら勝手は色々違うはず。

 もちろん、サフィアの意見は取り入れたいけれど。


「レクサスさん、お待たせしました」


 考え込んでたら、イツキはんがゆっくり歩きながら入ってきた。その後ろから、やと思うけど嗅ぎ慣れた天津炒飯特有のふんわりした香りがしてきたわ!


「おん! 早いなあ?」

「炊いておいたリーゾがまだ温かかったので。お願いしますね」

「はい、奥様」


 執事バトラーが自分とイツキはんの前に出してくれたのは……王城で今も、ワルシュ先輩らが作ってくれるのと同じ『天津炒飯』があったわ!

 薄茶色のとろみが特徴的で、オムライスのようにして炒めたリーゾが隠れている逸品。

 これの味付けが……今日はいつも先輩が作るのとは違うもんになっとるんやなあ? スープには、細かく刻んだ野菜たっぷりのもんが用意されとったわ。
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