517 / 784
番外編
第71話 米の需要
しおりを挟む
いつもやったら、厨房でイツキはんが作るか一緒に作るかやねんけど……今日からはちゃう。
使用人もわんさかほどやないけど居るし、厨房にも料理人が居る。主人であるイツキはんが作り方を教えとるから……客である自分は居る意味がないんや。
ダチであれ、今日は客人。
それに、イツキはんは出来上がりまで楽しみにしてほしいと言ってくれた。その笑顔を曇らすことは出来へんし、自分は執事に案内された食堂でコーヒーを飲むことにしたわ。
茶菓子は断った。せっかくの天津炒飯の味を甘ったるいもんで先に潤してはあかんからなあ? あの塩気ととろみはほんまに絶品やから。
(……脂身だけのチャーハンかあ? 自分で提案しといてなんやけど、どんな味やろな?)
味付けする場合、米にはしっかり味付けせなあかんことはイツキはんから教わった。んでもって、近衛騎士の野営実習訓練にも、米の炊き方はイツキはんから教わったのを取り入れている。ちょぉ、炊くのは大変かもやけど、冷めてパサパサしているパンよりも段違いに美味いんや。蒸らしは必要やけど、出来立てが食えるのは最高や。
なので、騎士連中らからの評判が良い。パンは素人じゃ外では作れんからなあ?
ともかく、その米を使った料理もめちゃくちゃ美味い。王城の食堂やと、白いもんにかけるソース……カレーやハヤシは大人気やからなあ? それを、ここではいつでも食える副隊長や使用人らは羨ましい。自分は料理人ちゃうから、難しいもんは作れんし。サフィアと一緒に住む時になっても、ここと似た感じだろう。
自分はともかく、サフィアは伯爵家の御令嬢だったからなあ? 仕事は殿下の側仕えのメイドでも、同居するとなったら勝手は色々違うはず。
もちろん、サフィアの意見は取り入れたいけれど。
「レクサスさん、お待たせしました」
考え込んでたら、イツキはんがゆっくり歩きながら入ってきた。その後ろから、やと思うけど嗅ぎ慣れた天津炒飯特有のふんわりした香りがしてきたわ!
「おん! 早いなあ?」
「炊いておいた米がまだ温かかったので。お願いしますね」
「はい、奥様」
執事が自分とイツキはんの前に出してくれたのは……王城で今も、ワルシュ先輩らが作ってくれるのと同じ『天津炒飯』があったわ!
薄茶色のとろみが特徴的で、オムライスのようにして炒めた米が隠れている逸品。
これの味付けが……今日はいつも先輩が作るのとは違うもんになっとるんやなあ? スープには、細かく刻んだ野菜たっぷりのもんが用意されとったわ。
使用人もわんさかほどやないけど居るし、厨房にも料理人が居る。主人であるイツキはんが作り方を教えとるから……客である自分は居る意味がないんや。
ダチであれ、今日は客人。
それに、イツキはんは出来上がりまで楽しみにしてほしいと言ってくれた。その笑顔を曇らすことは出来へんし、自分は執事に案内された食堂でコーヒーを飲むことにしたわ。
茶菓子は断った。せっかくの天津炒飯の味を甘ったるいもんで先に潤してはあかんからなあ? あの塩気ととろみはほんまに絶品やから。
(……脂身だけのチャーハンかあ? 自分で提案しといてなんやけど、どんな味やろな?)
味付けする場合、米にはしっかり味付けせなあかんことはイツキはんから教わった。んでもって、近衛騎士の野営実習訓練にも、米の炊き方はイツキはんから教わったのを取り入れている。ちょぉ、炊くのは大変かもやけど、冷めてパサパサしているパンよりも段違いに美味いんや。蒸らしは必要やけど、出来立てが食えるのは最高や。
なので、騎士連中らからの評判が良い。パンは素人じゃ外では作れんからなあ?
ともかく、その米を使った料理もめちゃくちゃ美味い。王城の食堂やと、白いもんにかけるソース……カレーやハヤシは大人気やからなあ? それを、ここではいつでも食える副隊長や使用人らは羨ましい。自分は料理人ちゃうから、難しいもんは作れんし。サフィアと一緒に住む時になっても、ここと似た感じだろう。
自分はともかく、サフィアは伯爵家の御令嬢だったからなあ? 仕事は殿下の側仕えのメイドでも、同居するとなったら勝手は色々違うはず。
もちろん、サフィアの意見は取り入れたいけれど。
「レクサスさん、お待たせしました」
考え込んでたら、イツキはんがゆっくり歩きながら入ってきた。その後ろから、やと思うけど嗅ぎ慣れた天津炒飯特有のふんわりした香りがしてきたわ!
「おん! 早いなあ?」
「炊いておいた米がまだ温かかったので。お願いしますね」
「はい、奥様」
執事が自分とイツキはんの前に出してくれたのは……王城で今も、ワルシュ先輩らが作ってくれるのと同じ『天津炒飯』があったわ!
薄茶色のとろみが特徴的で、オムライスのようにして炒めた米が隠れている逸品。
これの味付けが……今日はいつも先輩が作るのとは違うもんになっとるんやなあ? スープには、細かく刻んだ野菜たっぷりのもんが用意されとったわ。
13
お気に入りに追加
5,498
あなたにおすすめの小説
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
復讐はちゃんとしておりますから、安心してお休みください、陛下
七辻ゆゆ
ファンタジー
「フィオネよ、すまな……かった……」
死の床で陛下はわたくしに謝りました。
「陛下、お気が弱くなっておいでなのですね。今更になって、地獄に落とされるのが恐ろしくおなりかしら?」
でも、謝る必要なんてありません。陛下の死をもって復讐は完成するのですから。
1000歳の魔女の代わりに嫁に行きます ~王子様、私の運命の人を探してください~
菱沼あゆ
ファンタジー
異世界に迷い込んだ藤堂アキ。
老婆の魔女に、お前、私の代わりに嫁に行けと言われてしまう。
だが、現れた王子が理想的すぎてうさんくさいと感じたアキは王子に頼む。
「王子、私の結婚相手を探してくださいっ。
王子のコネで!」
「俺じゃなくてかっ!」
(小説家になろうにも掲載しています。)
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
私が出て行った後、旦那様から後悔の手紙がもたらされました
新野乃花(大舟)
恋愛
ルナとルーク伯爵は婚約関係にあったが、その関係は伯爵の妹であるリリアによって壊される。伯爵はルナの事よりもリリアの事ばかりを優先するためだ。そんな日々が繰り返される中で、ルナは伯爵の元から姿を消す。最初こそ何とも思っていなかった伯爵であったが、その後あるきっかけをもとに、ルナの元に後悔の手紙を送ることとなるのだった…。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。