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番外編

第33話 暇で暇で

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 城に戻って、束の間の休暇を過ごしている私ことリュシアーノだけれども。

 大親友のイツキが、前と違って今は城にいないから暇で仕様がないの。学園に通うようになっているから、マナーレッスン以外の勉強は基本的にお休み。

 暇で暇で暇で。

 恋人で婚約者のネルヴィスも、近衛騎士の仕事で忙しいでしょうから……簡単には会えても邪魔しちゃうだろうし? 今の私は子どもだけど、中身はイツキと同じ日本出身の転生した女性なのよ? 弁えているとこはしっかりしなくちゃ!


「……けど、暇ねぇ」


 暇だからお昼寝もしたんだけれど、一時間くらいで目が覚めてしまったわ。これ以上寝ると、夜に差し支えてしまう。

 イツキが厨房に居たら、あのちっちゃい管理室の厨房とかで一緒に料理してたけど。今イツキは結婚しただけでなく、妊娠中。

 ネルとこの間遊びには行ったけど、お腹はちょっと大きくなっていたわ。早く赤ちゃんが見たいけれど、もう少し先だから待たなくちゃ。多分、冬の休暇あたりには生まれそうって聞いたから、絶対抱っこするわ!

 けど、頻繁に遊びに行ってイツキにストレス与えちゃったら意味がないから……何か暇つぶしを出来ないか考えなくちゃ。


 きゅるるる


 ベッドから降りたら、ちょうどお腹から可愛らしい音が聞こえてきたわ。そろそろおやつの時間ね? と思って、サフィアに用意でもさせようかと考えていたが。


「……私が自分で作るとか?」


 イツキ抜きで作るのははじめてだけど……前世の私、『蒼葉あおば若菜わかな』の記憶があるから……ちょっとくらい、ズボラだけど出来なくないわよね?

 でも、インスタント食品とかは基本的にこの世界じゃ無いし……何だったら出来るかしら??

 ちょっと考えてから、イツキのレシピを書き出した日記帳みたいなのを部屋に置いてたのを思い出して、すぐに部屋中を探したわ!

 出来るだけ、散らかさないように探していくと。奥の方にあったのでちょっと被ってたホコリを払った。


「……うーん。お米もいいけど、餅は大変だし」


 結構書き出していたレシピ帳と睨めっこしながら……どれがいいか悩んでいたけど。ある箇所を見て、『あ!』と声を出してしまった。


「……チーズ入りのスフレパンケーキ!!」


 ずっと前に、イツキとは一回作ったきりだけど……そんなにも難しくないから、食べたくなってきたわ!!

 お母様とも一緒に食べたいし、いいかも。お父様は呼ばないと拗ねちゃうからついでに呼ぼうっと。

 作るものが決まったら、ベルでサフィアを呼んで着替えと材料集めをお願いしたわ!
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