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番外編
第28話『さっぱりおろしハンバーグ』
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そして、出来上がったハンバーグですが。
あの芳ばしいソースとは違い……酸味のあるソースの香りがしました。
大根もオロシガネで削り、雪のように飾った上から……さらさらした茶色のソースを、イツキはかけていきます。
白が少し茶に染まり、ハンバーグに味付けされていきます。
その光景に、リュシアーノ様は『わぁ!』と声をあげられました。
「これよこれ!! おろしハンバーグ!!」
「ポン酢ですが、お酢よりはと思って酸味はレモンにしました」
「レモンでもいいの?」
「ポン酢は酢醤油でのお酢よりも、柑橘を扱うことが多いので」
「へー」
異世界の言葉をまだまだ僕は知りませんので、黙っているしか出来ません。
しかし、このハンバーグはリュシアーノ様の好物だと言うことはよくわかりました。
ただ、この料理にはパンで食べるのではなく……炊いた米を一緒に食べるそうなのです。
「おろしハンバーグにはお米よね!」
「パンもいいですが、日本人だとどうしてもそうですよね?」
「いただきます!」
「いただかせていただきます」
少し、ツンとするような……しかしながら嫌な匂いどころか、食欲をそそる香りです。
どんな味か。
どんな食感か。
イツキとリュシアーノ様のはしゃぎ様を見ると、美味であることは間違いありません。
ナイフとフォークで簡単に切れたハンバーグをひと口サイズに切り、口に入れてみました。
柔らかさはさることながら、その味わいは!!
「肉に……甘酸っぱい味わいなのですね?」
酸味は強めですが、甘みも感じます。ショーユ独特の味わいもします。
それが、下準備をしっかりした……柔らかいハンバーグにこんなにも合うとは!!
ひと口食べると、次が欲しくなるイツキのこれまでの料理と同じです!
「ご飯ともすっごく合うわ!! 美味しい!!」
リュシアーノ様は米も召し上がられていました。とても幸せな笑顔で……僕も迷わず、フォークで少し口に入れてみましたが。
それは……パンが正解でないことがよくわかったのです!!
「米がこんなにも引き立ててくれるとは……」
単体だけでも、美味しいハンバーグですのに。
米を後で口に含むと……淡い甘さが酸味などを和らげてくれるだけでなく。
ハンバーグをより一層美味しく、風味を強めてくれるのです。こんな食べ方は初めて知りました!!
寿司、おにぎりともまた違います!!
「デミグラスソースでも米は合いますが、あれには半熟の目玉焼きがあるといいですよね?」
「そうね! 黄身のまろやかさでご飯にも合うから。けど、私はこっちが好きー!」
「ふふ。豆腐もありますし……あと梅干しが揃えば、豆腐ハンバーグも出来ますね?」
「素敵!」
「……ハンバーグは肉だけではないのですか?」
「コカトリスみたいな鳥肉でもいいんですよ。豆腐はつなぎとして最適です。梅干しはソースに必要なんですが……プラムのピクルスを覚えていますか?」
たしか、ウメコブチャというのを作るのに使っていたと言う?
あれがさらにソースに……色々な食材を料理に扱えるのですね? 異世界の料理と言うのは。
「梅干しだと、梅ジュースが飲んでみたくなるわー」
「コルトさんに聞けば、梅の実が手に入るかもしれませんね? 氷砂糖は確認されていますけど……仕込みは半年かかりますよ?」
「は、半年!?」
そんな長期の仕込みがかかるのですか!?
僕は……料理人ではないので酷く驚いてしまいましたが。そのように、仕上がるのに時間をかけても良い食材があるのは初めて知ったからです。
ですが、ウメの酒の場合は三年かかるものもあると言われた時にはひっくり返ってしまいました!?
とにかく……異世界の食事情は奥深いと改めて認識しました。
あの芳ばしいソースとは違い……酸味のあるソースの香りがしました。
大根もオロシガネで削り、雪のように飾った上から……さらさらした茶色のソースを、イツキはかけていきます。
白が少し茶に染まり、ハンバーグに味付けされていきます。
その光景に、リュシアーノ様は『わぁ!』と声をあげられました。
「これよこれ!! おろしハンバーグ!!」
「ポン酢ですが、お酢よりはと思って酸味はレモンにしました」
「レモンでもいいの?」
「ポン酢は酢醤油でのお酢よりも、柑橘を扱うことが多いので」
「へー」
異世界の言葉をまだまだ僕は知りませんので、黙っているしか出来ません。
しかし、このハンバーグはリュシアーノ様の好物だと言うことはよくわかりました。
ただ、この料理にはパンで食べるのではなく……炊いた米を一緒に食べるそうなのです。
「おろしハンバーグにはお米よね!」
「パンもいいですが、日本人だとどうしてもそうですよね?」
「いただきます!」
「いただかせていただきます」
少し、ツンとするような……しかしながら嫌な匂いどころか、食欲をそそる香りです。
どんな味か。
どんな食感か。
イツキとリュシアーノ様のはしゃぎ様を見ると、美味であることは間違いありません。
ナイフとフォークで簡単に切れたハンバーグをひと口サイズに切り、口に入れてみました。
柔らかさはさることながら、その味わいは!!
「肉に……甘酸っぱい味わいなのですね?」
酸味は強めですが、甘みも感じます。ショーユ独特の味わいもします。
それが、下準備をしっかりした……柔らかいハンバーグにこんなにも合うとは!!
ひと口食べると、次が欲しくなるイツキのこれまでの料理と同じです!
「ご飯ともすっごく合うわ!! 美味しい!!」
リュシアーノ様は米も召し上がられていました。とても幸せな笑顔で……僕も迷わず、フォークで少し口に入れてみましたが。
それは……パンが正解でないことがよくわかったのです!!
「米がこんなにも引き立ててくれるとは……」
単体だけでも、美味しいハンバーグですのに。
米を後で口に含むと……淡い甘さが酸味などを和らげてくれるだけでなく。
ハンバーグをより一層美味しく、風味を強めてくれるのです。こんな食べ方は初めて知りました!!
寿司、おにぎりともまた違います!!
「デミグラスソースでも米は合いますが、あれには半熟の目玉焼きがあるといいですよね?」
「そうね! 黄身のまろやかさでご飯にも合うから。けど、私はこっちが好きー!」
「ふふ。豆腐もありますし……あと梅干しが揃えば、豆腐ハンバーグも出来ますね?」
「素敵!」
「……ハンバーグは肉だけではないのですか?」
「コカトリスみたいな鳥肉でもいいんですよ。豆腐はつなぎとして最適です。梅干しはソースに必要なんですが……プラムのピクルスを覚えていますか?」
たしか、ウメコブチャというのを作るのに使っていたと言う?
あれがさらにソースに……色々な食材を料理に扱えるのですね? 異世界の料理と言うのは。
「梅干しだと、梅ジュースが飲んでみたくなるわー」
「コルトさんに聞けば、梅の実が手に入るかもしれませんね? 氷砂糖は確認されていますけど……仕込みは半年かかりますよ?」
「は、半年!?」
そんな長期の仕込みがかかるのですか!?
僕は……料理人ではないので酷く驚いてしまいましたが。そのように、仕上がるのに時間をかけても良い食材があるのは初めて知ったからです。
ですが、ウメの酒の場合は三年かかるものもあると言われた時にはひっくり返ってしまいました!?
とにかく……異世界の食事情は奥深いと改めて認識しました。
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