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番外編

第10話 宝石と食材

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 女がこぞって欲しがるもんを、受け取らないやつか。


(たしかに……初めて出会った時も、カキの調理で生き生きしてやがったなあ?)


 あの時に、イツキの嬢ちゃんの剣捌きも知ったが……剣技よりも、調理の方がすげー喜んでた。

 時期的に、今カキは産卵期を終えてあの海岸を含める生息地にはいない。

 魔物ゆえに、意思があり自分らで移動してっからなあ?

 となると、他に喜ぶもん?

 ひとりじゃ全然わからん!

 頼みの綱だった、ワルシュですらあんな返答しかもらえんかった!!

 だったら、どうすりゃいいんだ!?


「……真珠はどう、でしょう?」


 俺が悩みに悩んで……スイードとも話し合っていると、あいつが言い出したんだ。


「……真珠?」


 カキとか特定の海辺に生息する貝や貝タイプの魔物の中で、特殊な条件がそろえば採取出来る宝石みたいなもん。

 質が良ければ良いほど……デカく、美しいもんだ。


「……食べ物、でもいいですが。イツキ様へ、ブローチなどを作って贈れば?」

「……たしかに。ある意味貴族になったんなら、着飾る場はちぃっとあんな?」


 最上級の真珠を見つけて……ドワーフの親方に頼めば。

 最高のもんを作ってくれるだろう!!

 俺の婚約者は、女気がないと誰が言い出した?

 めちゃんこ可愛いじゃねぇか!!


「この時期……だと、ホタテがいいかと」

「ついでに、ホタテ渡せば……嬢ちゃんも喜ぶだろうなあ?」


 真珠は貝の魔物であれば、大抵精製されていることが多い。

 ついでに、食材がゲットとなれば……嬢ちゃんもまた生き生きとして調理するだろう。

 そうと決まれば……スイードの休みの日に、二人で海に出向き。

 岩場に着いたら、まずはホタテの捜索からだ。


「……ゲイリッシュ様」


 手分けして探していたら、見つけたのはスイードが先だった。

 案内され、ホタテらの群生を見てみると……寄り添うように集まっていた。こいつは大量だ!


「……よし。カキほど凶暴じゃねぇが、油断すんなよ?」

「……はい」


 お互い、獲物を構えた時の音が響いた時。

 ホタテも、戦闘態勢になり……浅瀬から飛び出て、俺らに飛びかかってきたぜ!!


「おらおらおら!!」

「……!」


 今回は中身優先で、出来るだけ傷つけないようにしなくてはなので……急所を的確に狙い、岩場に落としていく!

 スイードも、俺が指示しなくたって的確に捌いていった。

 暗部としても、相棒としても頼もしい嬢ちゃんだなあ?

 こいつが婚約者であって、めちゃくちゃ嬉しいぜ!

 それから、最後のホタテを倒すまで俺達はそこで戦ったのだった。
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