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全員のまかない
第25話 まかない婦のまかない③
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異世界に来て……もう十年以上も経つ。
大好きな人と夫婦になれ、二人だが子供も授かることが出来た。
私とアーネストさんの良いところと少し弱い部分をいい感じに受け継いだ……大事な子供達。
初産になった、上の子供のアルベルトの育児と仕事の両立はなかなかに大変だったけれど……落ち着いてから、アーネストさんに『女の子も欲しい』と言われ……無事にイザベラを授かることが出来た。
先日、ついにリュシアーノ様とネルヴィスさんとのご婚礼を迎え……少し、離れたところとはいえ、ご近所さんになったんです。
だからか……リュシアーノ様がちょくちょくこちらに遊びに来てくださるのです。アルベルトは最初緊張していたけれど……回数を重ねるごとに、だんだんと懐いて今では『リュシアお姉様』と呼ぶくらい仲良くなっている。
イザベラは、まだうまく話せないが……兄同様に、リュシアーノ様のことが大好きになったのか、よく『抱っこ』をおねだりしている。リュシアーノ様も嫌がらずに『良いわよ』と抱っこしてくださるように。
そして……それだけではない。
「イツキ。今日もビシバシ教授よろしく!」
王族ではなく、貴族のご婦人になられても……リュシアーノ様は転生前の日本人だった気質は変わられないようで。
毎日頑張って近衛騎士団を率いていらっしゃる、大好きなネルヴィスさんのために……私に料理を習いに来るのも変わらない。学園で過ごされていた時は、ご自分でお茶を淹れる程度しかさせてもらえなかった分……帰還後には、私のいる中央厨房に突撃してきては、管理人室で二人で色々作ったものだ。
結婚した今も、それが変わらないのがなんだか微笑ましい。
「お姉様! 僕も頑張ります!!」
「ええ。アル!」
仲良くなるにつれ、アルベルトを愛称で呼ぶくらい……年の差が近いこともあり、まるで兄弟のようだ。リュシアーノ様の本当のご兄弟であるジェラルド様はアルベルトとほとんど年の差がないので、似た感じを覚えたのかも。
ジェラルド様の顔立ちは、陛下とリュシアーノ様を足して二で割った感じの美少年で、私がベビーシッターのようなことをしていたからか……よく懐いてくださってる。
だからか、
「ずるいですよ、姉上!! アル!!」
どう言う情報網を得ているのか……魔法が大得意になられたジェラルド様は、ほぼ毎回このタイミングで……テレポートの魔法で、うちにご来訪なさるのです。
「いらっしゃいませ、ジェラルド様」
「イツキもずるいです! 僕にもお料理教えてください!!」
「もちろんですよ? ですが、お勉強などは終わられましたか?」
「当然です!」
と、完璧に見えてシスコンが見え隠れしているようにも見えるので……実に面白い少年に育ってしまいました。
「あ。で、殿下!」
「もう。本当に、どんな探知持ってるのよ……ジェラルド?」
「楽しいことには全力で立ち向かうべきです!!」
「いや、違わないけど……」
なんだかんだ、似たもの姉弟のようです。
とりあえず……今日は何を作るか皆で相談し合い。ご飯かお菓子かで、悩みに悩んだ結果。
「お、お父様に……これ作りたいんです!!」
選んだレシピは……アルベルトが、『コカトリスの肝入り卵雑炊』を取り上げたのだった。
「……はい。そうしますか」
懐かしい料理。
お腹に優しく……私とアーネストさんをまかない料理番と試食係にと繋いでくれた、思い出の料理だ。
大好きな人と夫婦になれ、二人だが子供も授かることが出来た。
私とアーネストさんの良いところと少し弱い部分をいい感じに受け継いだ……大事な子供達。
初産になった、上の子供のアルベルトの育児と仕事の両立はなかなかに大変だったけれど……落ち着いてから、アーネストさんに『女の子も欲しい』と言われ……無事にイザベラを授かることが出来た。
先日、ついにリュシアーノ様とネルヴィスさんとのご婚礼を迎え……少し、離れたところとはいえ、ご近所さんになったんです。
だからか……リュシアーノ様がちょくちょくこちらに遊びに来てくださるのです。アルベルトは最初緊張していたけれど……回数を重ねるごとに、だんだんと懐いて今では『リュシアお姉様』と呼ぶくらい仲良くなっている。
イザベラは、まだうまく話せないが……兄同様に、リュシアーノ様のことが大好きになったのか、よく『抱っこ』をおねだりしている。リュシアーノ様も嫌がらずに『良いわよ』と抱っこしてくださるように。
そして……それだけではない。
「イツキ。今日もビシバシ教授よろしく!」
王族ではなく、貴族のご婦人になられても……リュシアーノ様は転生前の日本人だった気質は変わられないようで。
毎日頑張って近衛騎士団を率いていらっしゃる、大好きなネルヴィスさんのために……私に料理を習いに来るのも変わらない。学園で過ごされていた時は、ご自分でお茶を淹れる程度しかさせてもらえなかった分……帰還後には、私のいる中央厨房に突撃してきては、管理人室で二人で色々作ったものだ。
結婚した今も、それが変わらないのがなんだか微笑ましい。
「お姉様! 僕も頑張ります!!」
「ええ。アル!」
仲良くなるにつれ、アルベルトを愛称で呼ぶくらい……年の差が近いこともあり、まるで兄弟のようだ。リュシアーノ様の本当のご兄弟であるジェラルド様はアルベルトとほとんど年の差がないので、似た感じを覚えたのかも。
ジェラルド様の顔立ちは、陛下とリュシアーノ様を足して二で割った感じの美少年で、私がベビーシッターのようなことをしていたからか……よく懐いてくださってる。
だからか、
「ずるいですよ、姉上!! アル!!」
どう言う情報網を得ているのか……魔法が大得意になられたジェラルド様は、ほぼ毎回このタイミングで……テレポートの魔法で、うちにご来訪なさるのです。
「いらっしゃいませ、ジェラルド様」
「イツキもずるいです! 僕にもお料理教えてください!!」
「もちろんですよ? ですが、お勉強などは終わられましたか?」
「当然です!」
と、完璧に見えてシスコンが見え隠れしているようにも見えるので……実に面白い少年に育ってしまいました。
「あ。で、殿下!」
「もう。本当に、どんな探知持ってるのよ……ジェラルド?」
「楽しいことには全力で立ち向かうべきです!!」
「いや、違わないけど……」
なんだかんだ、似たもの姉弟のようです。
とりあえず……今日は何を作るか皆で相談し合い。ご飯かお菓子かで、悩みに悩んだ結果。
「お、お父様に……これ作りたいんです!!」
選んだレシピは……アルベルトが、『コカトリスの肝入り卵雑炊』を取り上げたのだった。
「……はい。そうしますか」
懐かしい料理。
お腹に優しく……私とアーネストさんをまかない料理番と試食係にと繋いでくれた、思い出の料理だ。
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