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王妃のまかない⑩
第4話『三種類のフィナンシェ』②
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三つとも出来上がる頃には、私はメイドの手を借りていつものようなドレスに着替え。
別のメイドには、またサフィアと……近衛側には、レクサスを呼びに行かせた。
イツキの提案もあったが、ふたりからきちんと本心を聞くためだ。
私などの勝手な提案で……ふたりの仲を引き裂きたくはない。
だからこそ、フィナンシェを振る舞いつつ……知りたいのだった。
「「お呼びでしょうか」」
私とイツキが私室で待っていると、少ししてふたりがやってきた。サフィアはいつも通りにしているが、レクサスはいくらか表情が固いように見えたわ。
「楽にしてちょうだい。ふたりにはこちらに座って欲しいの」
「「……は?」」
「お茶会ですよ、おふたりとも」
イツキが微笑みながら告げると、さすがにふたりもお互いの顔を見合わせていた。こう見ると……年の差はあれど、似合いね? と改めて思うわ。
「そう。簡単な茶会よ? 遠慮せずに座って?」
「「はい」」
身分的に、サフィアの方が上なのでレクサスが椅子を引いて先に座らせたわ。元冒険者でワルシュ先輩の後輩とは言え、出来るところは出来るのね? と感心した。
「あ、今日のお茶菓子ですが。私とヘルミーナ様お手製のフィナンシェですよ?」
「……妃殿下が?」
「ほんとですか??」
「ええ。そうよ」
たしかに、料理はほとんどしたことがないけれど……そのように目を丸くされるとは。王妃が料理をするのも驚くでしょうが……陛下が実は、ジェラルドのご飯を時々作ることを告げると、レクサスは椅子からひっくり返りそうになったわ。
「へ、陛下が!?」
「ジェラルド様に、きちんとお父様だと認識してほしいからですよ」
「……さよか。けど、妃殿下。自分らをここに呼んだ理由をお聞きしても?」
「……あなた達ふたりの意見を聞きたいと思ったからよ」
「意見?」
「妃殿下……少し、前の?」
「そうよ、サフィア」
私の一存で、サフィアとレクサスの婚姻を済ませた上で……娘の学園行きに同行するメイドとして送り出すか。
それとも別のメイドに行かせるか。
きちんとふたりの前でその言葉を告げると……サフィアはやはり顔が強張り、レクサスは何故か頭を捻っていた。
「その件ですか……」
「あなた達としてはどう?」
もう一度聞くと、レクサスはひとつ頷いた。
「自分としては、サフィアとすぐに婚姻をしたいです。しかしながら、殿下付きのメイド選抜はある意味誉れ。それを悩んでいる彼女の枷にはなりたくないです」
「そんな!? レクサス殿……私は!」
「ん? 自分は本心やで?」
「わ……たし、もですが」
「となると……サフィアさんは、リュシアーノ様とご一緒に学園に行くのを希望で?」
「…………ずっと、希望していたこと、なので」
それだけ、サフィアは今の仕事を誇りに思っているのがはっきりわかった。それは……レクサスもそう感じたのだろう。
であれば、このふたりにとって最善の措置は。
「……やはり。サフィアのために、ふたり共……婚姻を先にしたらどうかしら?」
「ひ、妃殿下!?」
「そうですな。サフィアを変なガキらへにとっ捕まらせたくないですわ」
「じゃ、決まりですね!」
と、イツキが手を叩いたのを合図にして……執事達に茶を用意させて、本当に茶会を始めることにした。
出来上がった、三種類のフィナンシェは……とても、とてもしっとりした仕上がりで。
ひと口食べると、ほろっとした食感もだが……いつも食べているフィナンシェよりも味わいが深く、それぞれの種類の味が際立っていた。
レクサスもサフィアも喜んで食べてくれたわ。特に、サフィアはマッチャ味が私と同じように好んでいるようだった。
「「とても美味しいです!!」」
「心の篭った料理は、格別ですからね?」
イツキも終始笑顔でいたわ。
このふたりは落ち着いたとは言え……イツキも、アーネストとはいつかしら?
関係は進んだと言うのに。
別のメイドには、またサフィアと……近衛側には、レクサスを呼びに行かせた。
イツキの提案もあったが、ふたりからきちんと本心を聞くためだ。
私などの勝手な提案で……ふたりの仲を引き裂きたくはない。
だからこそ、フィナンシェを振る舞いつつ……知りたいのだった。
「「お呼びでしょうか」」
私とイツキが私室で待っていると、少ししてふたりがやってきた。サフィアはいつも通りにしているが、レクサスはいくらか表情が固いように見えたわ。
「楽にしてちょうだい。ふたりにはこちらに座って欲しいの」
「「……は?」」
「お茶会ですよ、おふたりとも」
イツキが微笑みながら告げると、さすがにふたりもお互いの顔を見合わせていた。こう見ると……年の差はあれど、似合いね? と改めて思うわ。
「そう。簡単な茶会よ? 遠慮せずに座って?」
「「はい」」
身分的に、サフィアの方が上なのでレクサスが椅子を引いて先に座らせたわ。元冒険者でワルシュ先輩の後輩とは言え、出来るところは出来るのね? と感心した。
「あ、今日のお茶菓子ですが。私とヘルミーナ様お手製のフィナンシェですよ?」
「……妃殿下が?」
「ほんとですか??」
「ええ。そうよ」
たしかに、料理はほとんどしたことがないけれど……そのように目を丸くされるとは。王妃が料理をするのも驚くでしょうが……陛下が実は、ジェラルドのご飯を時々作ることを告げると、レクサスは椅子からひっくり返りそうになったわ。
「へ、陛下が!?」
「ジェラルド様に、きちんとお父様だと認識してほしいからですよ」
「……さよか。けど、妃殿下。自分らをここに呼んだ理由をお聞きしても?」
「……あなた達ふたりの意見を聞きたいと思ったからよ」
「意見?」
「妃殿下……少し、前の?」
「そうよ、サフィア」
私の一存で、サフィアとレクサスの婚姻を済ませた上で……娘の学園行きに同行するメイドとして送り出すか。
それとも別のメイドに行かせるか。
きちんとふたりの前でその言葉を告げると……サフィアはやはり顔が強張り、レクサスは何故か頭を捻っていた。
「その件ですか……」
「あなた達としてはどう?」
もう一度聞くと、レクサスはひとつ頷いた。
「自分としては、サフィアとすぐに婚姻をしたいです。しかしながら、殿下付きのメイド選抜はある意味誉れ。それを悩んでいる彼女の枷にはなりたくないです」
「そんな!? レクサス殿……私は!」
「ん? 自分は本心やで?」
「わ……たし、もですが」
「となると……サフィアさんは、リュシアーノ様とご一緒に学園に行くのを希望で?」
「…………ずっと、希望していたこと、なので」
それだけ、サフィアは今の仕事を誇りに思っているのがはっきりわかった。それは……レクサスもそう感じたのだろう。
であれば、このふたりにとって最善の措置は。
「……やはり。サフィアのために、ふたり共……婚姻を先にしたらどうかしら?」
「ひ、妃殿下!?」
「そうですな。サフィアを変なガキらへにとっ捕まらせたくないですわ」
「じゃ、決まりですね!」
と、イツキが手を叩いたのを合図にして……執事達に茶を用意させて、本当に茶会を始めることにした。
出来上がった、三種類のフィナンシェは……とても、とてもしっとりした仕上がりで。
ひと口食べると、ほろっとした食感もだが……いつも食べているフィナンシェよりも味わいが深く、それぞれの種類の味が際立っていた。
レクサスもサフィアも喜んで食べてくれたわ。特に、サフィアはマッチャ味が私と同じように好んでいるようだった。
「「とても美味しいです!!」」
「心の篭った料理は、格別ですからね?」
イツキも終始笑顔でいたわ。
このふたりは落ち着いたとは言え……イツキも、アーネストとはいつかしら?
関係は進んだと言うのに。
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