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部下のまかない④

第4話『大豆のチョコクランチ』②

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 それと、ワルシュ料理長は誰かを引っ張っていた。


「れ、レクサス隊長!?」


 料理長に引きずられていたのは……レクサス隊長だったんだ!


「おう。腑抜けた面してたから……イツキになんか作らせようと思ってな? んで、チョコのいい匂いしたとこだったわけだ」

「……バーミィ隊長、大丈夫ですか?」

「……おう」


 やっぱり……エリオが言っていたように、例の婚約者さんが学園に行っちゃうのが辛いのか。

 いつも明るい、レクサス隊長がここまで落ち込むんだ。それだけ……あ、愛していらっしゃるんだなあと僕でもわかった。

 でも、隊長以上に年の差が大きいネルヴィス隊長の方が待つ時間が……いいや、人によるかも。

 僕がもし婚約者がいたとして、すぐに結婚出来ないとわかれば……辛くないわけがない。レクサス隊長もきっとそうなんだろう。


「まあまあ、レクサスさん。ちょっと変わったチョコレート、召し上がりませんか?」

「……チョコ」


 隊長がさらに落ち込んだ!?

 友人だからって、イツキさん……隊長を落ち込ませちゃってるよ!!?


「おら。せっかくのイツキの料理だろ? 食うか食わないか?」


 そこに、元冒険者同士だからって軽く殴れる料理長は流石としか言えない。


「……食いますよ」


 大きく息を吐いてから、立ち上がった隊長だけど……僕が大きくなったからか、ほとんど目線が同じだ。隊長と目が合うと、隊長はすぐに苦笑いされた。


「……隊長?」

「めっちゃ、でかなったなあ?」

「やっぱり、成長期ですよね~? 若い方は凄いです」

「そやな。んで、どんなチョコ……って、なんやこれ?」


 僕らが作った大豆ソイル入りのチョコレートを見たら……まあ、普通は食べ物だとは思えないよね。


大豆ソイルに溶かしたチョコレートを絡めて、また冷やしたものです。是非ひと口」

「「ほーん」」


 料理長も感心されると、おふたりはためらわずに手に持ち……僕らも持てば、まだ冷却コールドの名残があるのか少し冷たかった。



 バリ、ボリ!



 口に入れると……チョコレートだけじゃない、凄い噛み音が響く。

 けど、思ったより固くなくて……チョコレートに、乾いてた大豆ソイルがバリボリする感じが楽しい! 味もチョコレートだけじゃなく、素朴な豆の香ばしさが舌に伝わり……ひとつ食べればもうひとつ欲しかった!!


「うんま!!」

「ほー? 大豆ソイルにこんな使い方が」

「この間、リュシアーノ様方と一緒に節分をした時の余りを使いたくて。……あ」


 イツキさんが説明していると、レクサス隊長がまた落ち込み……料理長が制裁だと言わんばかりに隊長の首を締めたため、僕らは止めるのに少し頑張った。
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