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隊長のまかない⑨
第2話 リュシアーノのクリスマスプレゼント②
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右。
左。
上。
下。
どこも法則性はあれど、美しい模様が刻まれている箱。
触れば、材質は木だと言うのはわかりました。
貴金属がメインでいらっしゃるハクト殿にしては……リュシアーノ様のお願いもあったでしょうから苦労したはずです。
それなのに、実現出来る技術をお持ちなのは流石と言いますか。最近はあまり接点がありませんでしたが……王女殿下のお願いと言うこともあり、きっとあの方の技術が詰まった逸品となっているでしょう。
リュシアーノ様もご本人からなかなか開けられないとおっしゃっていましたしね?
(……この箱に五十以上もの仕掛けが)
ひとつでも見つけるのが厄介だと思っていますのに、表面を撫でても何も継ぎ目が見つかりません。
そう思っていると。
カショ……。
少し。
ほんの少しだけ、凹凸のある箇所が横にズレた感覚を。
慌てて見てみると、細長い棒状のような部分が横にずれていました。
「凄いわ! もうひとつ目!!」
リュシアーノ様がはしゃがれましたが、僕はもう一度真剣に箱に向き合いました。
(連なるように見えて……これは)
ズレた箇所を見ると、ひとつではなく幾重にも模様が一列となり……よく観察すれば、『継ぎ目』が存在しました。
繋がる模様に注意を向け過ぎて、別の継ぎ目を見逃していたようです。これも、ハクト殿の技術の成せる技でしょう。
ひとまず、そこから似た箇所をずらしては向きを変えて他の面もずらしていくと。ひとつの面が、少しずつ板ごとズレていきました。
鍵は仕掛けそのもの……なるほど、異界の知識はやはり素晴らしいものですね?
最後に、きちんと開いた箱の中身は……何故か小さな鍵がありました。銀製のとても小さな鍵。
もうひとつ、隠された仕掛けに必要なものでしょうか?
よく、もう一度解体した箱を見ると……外れた蓋の部分に鍵穴がありました。
鍵を差し込むと、薄い横板のような箇所がポトリと外れ……中から折り畳んだ紙が出てきました。
「それがプレゼント! と言うより、一緒に作りましょうってお誘いなんだけど」
紙に書かれていたのは……料理の作り方。
『バリエーション豊かな、ポテチのつくり方』
と、大きく書かれた……料理のレシピが出てきたのです。
異界の料理でしょうが……ポテチとはなんでしょうか??
「ポテチ……とは??」
「正確にはポテトチップスって言うの。揚げ物なんだけど、軽いしおやつにもおつまみにも出来る優れものよ」
主にじゃがいもを使う料理……らしいです。
とりあえず、油を多く使うので、イツキと一緒に日を改めてこの食堂で作ることになりました。
箱は、仕掛けを元通りにしたらあの美しい箱に戻りました。
左。
上。
下。
どこも法則性はあれど、美しい模様が刻まれている箱。
触れば、材質は木だと言うのはわかりました。
貴金属がメインでいらっしゃるハクト殿にしては……リュシアーノ様のお願いもあったでしょうから苦労したはずです。
それなのに、実現出来る技術をお持ちなのは流石と言いますか。最近はあまり接点がありませんでしたが……王女殿下のお願いと言うこともあり、きっとあの方の技術が詰まった逸品となっているでしょう。
リュシアーノ様もご本人からなかなか開けられないとおっしゃっていましたしね?
(……この箱に五十以上もの仕掛けが)
ひとつでも見つけるのが厄介だと思っていますのに、表面を撫でても何も継ぎ目が見つかりません。
そう思っていると。
カショ……。
少し。
ほんの少しだけ、凹凸のある箇所が横にズレた感覚を。
慌てて見てみると、細長い棒状のような部分が横にずれていました。
「凄いわ! もうひとつ目!!」
リュシアーノ様がはしゃがれましたが、僕はもう一度真剣に箱に向き合いました。
(連なるように見えて……これは)
ズレた箇所を見ると、ひとつではなく幾重にも模様が一列となり……よく観察すれば、『継ぎ目』が存在しました。
繋がる模様に注意を向け過ぎて、別の継ぎ目を見逃していたようです。これも、ハクト殿の技術の成せる技でしょう。
ひとまず、そこから似た箇所をずらしては向きを変えて他の面もずらしていくと。ひとつの面が、少しずつ板ごとズレていきました。
鍵は仕掛けそのもの……なるほど、異界の知識はやはり素晴らしいものですね?
最後に、きちんと開いた箱の中身は……何故か小さな鍵がありました。銀製のとても小さな鍵。
もうひとつ、隠された仕掛けに必要なものでしょうか?
よく、もう一度解体した箱を見ると……外れた蓋の部分に鍵穴がありました。
鍵を差し込むと、薄い横板のような箇所がポトリと外れ……中から折り畳んだ紙が出てきました。
「それがプレゼント! と言うより、一緒に作りましょうってお誘いなんだけど」
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「正確にはポテトチップスって言うの。揚げ物なんだけど、軽いしおやつにもおつまみにも出来る優れものよ」
主にじゃがいもを使う料理……らしいです。
とりあえず、油を多く使うので、イツキと一緒に日を改めてこの食堂で作ることになりました。
箱は、仕掛けを元通りにしたらあの美しい箱に戻りました。
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