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王女のまかない⑪

第2話 クリスマスに向けて

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 フライドチキンはイツキに任せるとして。

 私は私で、去年はしなかった『クリスマス』をパーティー会場で再現しようと決めた。

 パーティー会場と言っても、離宮じゃなくて王宮内の食堂だけど。広くて使い勝手がいいんだもの。王宮内は王女である私の物だなんて、おバカな発言はしないけど……一日くらいいいでしょう?

 事前に、お父様伝に許可をいただいているから料理長のワルシュも納得してくれてると思うわ。


「「クリスマス……ですか??」」


 そして、協力者達にもきちんと伝えなくてはいけないわ!


「ええ、そうなの。ネルにアーネスト」


 イツキがフライドチキンの研究に頑張ってもらっている間に、私とイツキの事情を知っている、かつそれぞれの婚約者と言うことで離宮に呼んだのだ。


「響きから察するに、リュシアーノ様方がお好きな催し物のような気がしますね」

「そうなの! ちょうど雪が降る時期に……えん月の終わりに開かれる催し物なのよ。国や地域によって形式は違うけど、大体は親しい人や家族で食卓を囲んで……プレゼントを交換したりしたわ」


 恋人の聖夜とか、サンタとかの日本形式はアーネストが張り切るだろうから省いたけど。


「プレゼントを交換? 渡すだけではなく?」

「そう。お互いにプレゼントを交換することで喜びを分かち合うとか色々言われているわ。それを、いろんなモニュメントとかで飾り付けしたパーティー会場でするのよ」


 ただ、普通に交換するのも面白くないので、ひとつ提案はあった。


「「くじ引き??」」

「ええ。ジェラルドは当然無理でも、お父様達も参加してくれるんだもの。より楽しいものにしたいから」


 ビンゴゲームも面白いけど、用意出来ないし……もし出来ても時間がかかるのと、仕組みをどこで知ったか聞かれてしまう。イツキのように、東方大陸出身と誤魔化すには難しいから。


「……と言うと、誰にどのプレゼントが当たるかは」

「ええ。アーネストのがイツキに行くか逆もわからないわね?」

「……僕もですか」


 あら、やっぱりしょんぼりしちゃったわ。ネルもだけど、アーネストも婚約者のこととなると表情がわかりやすいわね?


「だから、パーティーはパーティーで。個人は個人でプレゼントを用意した方がいいと思うの。それならいいでしょう?」

「あくまで、催し物を楽しむために……ですか?」

「そう言うこと」

「それなら……」


 と言うわけで、クリスマスまで期限は近いから……私もサフィアに協力をあおいで、お互いの婚約者にどんなプレゼントを贈り合うか決めることにした。

 イツキも混ぜたかったが、イツキは自分でなんとか用意するのとまだまだフライドチキンのスパイス配合に頑張ってくれるからと、今回はキャンセルしてきたのだ。


(……美味しい、フライドチキン)


 某ファストフード店の美味しい美味しいフライドチキン。

 レアスキルをいくつも持つイツキなら、絶対再現出来るはずだわ!!
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