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まかない婦のまかない⑩
第1話 酒を飲まなかったのは
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なんてことをしてしまったのだ。
現在時刻は、多分カーテンから差し込む日差しの具合で早朝なのはわかっているけれど。
三ツ矢斎姫ことイツキ=エイペック。まもなく、異世界で二年目の誕生日を迎えるアラサー。
昨夜……そう、昨夜になんと。
異世界での恋人であり、彼氏であり……婚約者となった、アーネスト=ハインツベルトさんと、その。
(……一晩、過ごしちゃったぁ!?)
その証拠に、私もだがアーネストさんも服を着ていない。生まれたままの姿でも言っていいくらい、素肌のまま……私はベッドの中で彼に抱きしめられていた。剥き出しになっていた肩に布団をかけようにも、彼の逞しい両腕にがっちりとホールドされているので、顔以外身動き出来ない。
さすがは、副隊長さんとは言え近衛騎士団の騎士様だ。服の上からじゃよくわかっていなかったが、胸板とかも厚い。
ほっぺに当たる部分は、温もりを感じるが痛みはない。手入れとかしていると思うくらいすべすべしている。鍛えている人の肌ってこんな感触なんだと、感心してしまったが。
私は、寝起きからの余韻に浸りたかったが……重大な失態を犯したことに大変反省せねばならなかった。
(……お酒にめちゃくちゃ弱いの。すっかり忘れてたわ……)
昨夜。そういう雰囲気になって、アーネストさんからの提案で晩酌をどうかと言われた時は……頭から抜け落ちていた。
一度だけ、養父である料理長に言われたこと。
『身内の前以外で、ぜってぇ酒を飲むな!?』
異世界に来て、ちょっとだけ興味を持った……美味しそうなお酒をちびっと飲んだだけで……見事に酔っ払ったのだ。日本とか海外のものと違い、料理酒で使うお米のお酒もだが……異世界産のお酒はアルコール度数が高かった。
なので、下戸ほどではなくても……私はにゃんにゃんふにゃんと酔っ払ってしまうのである。だから、これまでのパーティーとかでも飲むフリをしていたわけで。
昨夜は……完全に油断していた。
とても……大事なタイミングで、アーネストさんに無様な姿を晒してしまったのだ。
「……けど、喜んでもらえたような?」
酔っ払っても、私の場合意識はあるタイプだったのか……自分が返答をした後の出来事も、実はちゃんと覚えていた。
キスとか、ハグとか、それ以上のことも。
アーネストさんが初めてだと、自分で言ってたのに……全部丁寧でとても優しかった。それには、酔っ払ってても私も全力で応えた気がする。
体とかは二日酔いの頭痛もなく、行為後の独特の倦怠感とやらしかない。いくら鈍いと言われようが……OL時代はいつか、誰かとそうなるだろうなと興味を持った漫画や小説などで知識を得たりはした。
それが、こんな素敵な人と朝を迎えるだなんて……思ってもいなかったが。
とりあえず……このお宿でのチェックアウトとかの仕組みは知らないが、一応起きた方がいいはず。
声をかけて、アーネストさんを起こそうとしたのだが。
ふいに、彼のエメラルドグリーンの瞳がゆっくりと開かれ……柔らかくて素敵な微笑みに胸を貫かれた後。
固まっている私を見たアーネストさんは、『……おはよう』と寝起きの声で告げた後。なんの躊躇いもなく、私にキスをしてきたのでした!?
現在時刻は、多分カーテンから差し込む日差しの具合で早朝なのはわかっているけれど。
三ツ矢斎姫ことイツキ=エイペック。まもなく、異世界で二年目の誕生日を迎えるアラサー。
昨夜……そう、昨夜になんと。
異世界での恋人であり、彼氏であり……婚約者となった、アーネスト=ハインツベルトさんと、その。
(……一晩、過ごしちゃったぁ!?)
その証拠に、私もだがアーネストさんも服を着ていない。生まれたままの姿でも言っていいくらい、素肌のまま……私はベッドの中で彼に抱きしめられていた。剥き出しになっていた肩に布団をかけようにも、彼の逞しい両腕にがっちりとホールドされているので、顔以外身動き出来ない。
さすがは、副隊長さんとは言え近衛騎士団の騎士様だ。服の上からじゃよくわかっていなかったが、胸板とかも厚い。
ほっぺに当たる部分は、温もりを感じるが痛みはない。手入れとかしていると思うくらいすべすべしている。鍛えている人の肌ってこんな感触なんだと、感心してしまったが。
私は、寝起きからの余韻に浸りたかったが……重大な失態を犯したことに大変反省せねばならなかった。
(……お酒にめちゃくちゃ弱いの。すっかり忘れてたわ……)
昨夜。そういう雰囲気になって、アーネストさんからの提案で晩酌をどうかと言われた時は……頭から抜け落ちていた。
一度だけ、養父である料理長に言われたこと。
『身内の前以外で、ぜってぇ酒を飲むな!?』
異世界に来て、ちょっとだけ興味を持った……美味しそうなお酒をちびっと飲んだだけで……見事に酔っ払ったのだ。日本とか海外のものと違い、料理酒で使うお米のお酒もだが……異世界産のお酒はアルコール度数が高かった。
なので、下戸ほどではなくても……私はにゃんにゃんふにゃんと酔っ払ってしまうのである。だから、これまでのパーティーとかでも飲むフリをしていたわけで。
昨夜は……完全に油断していた。
とても……大事なタイミングで、アーネストさんに無様な姿を晒してしまったのだ。
「……けど、喜んでもらえたような?」
酔っ払っても、私の場合意識はあるタイプだったのか……自分が返答をした後の出来事も、実はちゃんと覚えていた。
キスとか、ハグとか、それ以上のことも。
アーネストさんが初めてだと、自分で言ってたのに……全部丁寧でとても優しかった。それには、酔っ払ってても私も全力で応えた気がする。
体とかは二日酔いの頭痛もなく、行為後の独特の倦怠感とやらしかない。いくら鈍いと言われようが……OL時代はいつか、誰かとそうなるだろうなと興味を持った漫画や小説などで知識を得たりはした。
それが、こんな素敵な人と朝を迎えるだなんて……思ってもいなかったが。
とりあえず……このお宿でのチェックアウトとかの仕組みは知らないが、一応起きた方がいいはず。
声をかけて、アーネストさんを起こそうとしたのだが。
ふいに、彼のエメラルドグリーンの瞳がゆっくりと開かれ……柔らかくて素敵な微笑みに胸を貫かれた後。
固まっている私を見たアーネストさんは、『……おはよう』と寝起きの声で告げた後。なんの躊躇いもなく、私にキスをしてきたのでした!?
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