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騎士のまかない㉑
第3話『目で楽しむ華茶』①
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遊ぶ……とは言っても、この街には娯楽などの遊戯場はほとんどない。
あると言っても、冬限定のスケートをするあの場所くらい。
買い物なども考えたが、イツキがこれと言って欲しがるものはないらしい。サーシャ殿と選んだ、あの宝飾を加えたチェーンは今日身につけてくれていて、首にかけてくれていた。
宝飾関連は、イツキの好みなどではない。
かと言って、エマの店でまた服を購入してもイツキが着る機会がないからと遠慮するだろう。単純に会いに行くのもいいが、時間をこれでもかとエマが使う可能性が高い。
とくれば、まだイツキとしていないことと言えば。
「イツキ、少し茶でも飲みに行こう」
「喫茶ですか?」
「そうだな。君の料理に勝るものはないが、たまにはいいだろう?」
「はい! こちらのお菓子も色々知りたいです!」
賛成してくれたので、ゆっくりと移動しながら茶店に行けば。
ちょうど空いている時間帯だったのか、席もまばらに空いていた。外のテラス席は寒いので、俺達は中の席に入らせてもらうことにした。
「メニューを」
とここで思ったが。
イツキは言葉こそ、西方大陸の共通言語を話せているが……異世界から渡航したとは言え、識字の方はどうだったか。二年近く交流があっても、普段は文字を見ることがなかった。通達なども、使いがあれば口頭で問題ない。
俺が店員からメニューを受け取った後、こっそりと向かいに腰掛けたイツキに話しかけた。
「? どうしました?」
「イツキ……。君はこちらの文字は読めるのか?」
「大丈夫ですよ? ステータスも、レシピ帳などもあちらの言葉に見えるので、読めます」
「……そうか」
やはり、神からの愛し子と言うこともあり、加護があるお陰なのか。
それなら……と、ふたつ受け取ったメニューの片方をイツキに渡してやった。
「うわぁ……華茶とか美味しそう」
デザートもだが、イツキには華茶の方に興味が向いたようだ。
華茶は文字通り……花を浮かべた茶の事だ。
カップに浮かべるのもあるが、大抵はガラスのポットに浮かべて目で楽しむのが主流。
貴族でも楽しむわけではないが、甘いものが多く、上品とは言いにくいので市井が楽しむことが多いのだ。
だから、イージアス城で過ごすことがほとんどのイツキが知らないのも無理はなかった。
「頼んでみるか?」
「いいんですか?」
「今日は俺と君だけだ。遠慮はいらない」
「じゃあ……こっちのローズの華茶と、クリームケーキを」
「わかった。俺はコーヒーとクッキーで」
「かしこまりました」
ちょうど来ていた店員に注文を取ってもらい、俺達はしばし談笑することにした。華茶が楽しみなのか、イツキもいくらか落ち着いていたようだったからだ。
あると言っても、冬限定のスケートをするあの場所くらい。
買い物なども考えたが、イツキがこれと言って欲しがるものはないらしい。サーシャ殿と選んだ、あの宝飾を加えたチェーンは今日身につけてくれていて、首にかけてくれていた。
宝飾関連は、イツキの好みなどではない。
かと言って、エマの店でまた服を購入してもイツキが着る機会がないからと遠慮するだろう。単純に会いに行くのもいいが、時間をこれでもかとエマが使う可能性が高い。
とくれば、まだイツキとしていないことと言えば。
「イツキ、少し茶でも飲みに行こう」
「喫茶ですか?」
「そうだな。君の料理に勝るものはないが、たまにはいいだろう?」
「はい! こちらのお菓子も色々知りたいです!」
賛成してくれたので、ゆっくりと移動しながら茶店に行けば。
ちょうど空いている時間帯だったのか、席もまばらに空いていた。外のテラス席は寒いので、俺達は中の席に入らせてもらうことにした。
「メニューを」
とここで思ったが。
イツキは言葉こそ、西方大陸の共通言語を話せているが……異世界から渡航したとは言え、識字の方はどうだったか。二年近く交流があっても、普段は文字を見ることがなかった。通達なども、使いがあれば口頭で問題ない。
俺が店員からメニューを受け取った後、こっそりと向かいに腰掛けたイツキに話しかけた。
「? どうしました?」
「イツキ……。君はこちらの文字は読めるのか?」
「大丈夫ですよ? ステータスも、レシピ帳などもあちらの言葉に見えるので、読めます」
「……そうか」
やはり、神からの愛し子と言うこともあり、加護があるお陰なのか。
それなら……と、ふたつ受け取ったメニューの片方をイツキに渡してやった。
「うわぁ……華茶とか美味しそう」
デザートもだが、イツキには華茶の方に興味が向いたようだ。
華茶は文字通り……花を浮かべた茶の事だ。
カップに浮かべるのもあるが、大抵はガラスのポットに浮かべて目で楽しむのが主流。
貴族でも楽しむわけではないが、甘いものが多く、上品とは言いにくいので市井が楽しむことが多いのだ。
だから、イージアス城で過ごすことがほとんどのイツキが知らないのも無理はなかった。
「頼んでみるか?」
「いいんですか?」
「今日は俺と君だけだ。遠慮はいらない」
「じゃあ……こっちのローズの華茶と、クリームケーキを」
「わかった。俺はコーヒーとクッキーで」
「かしこまりました」
ちょうど来ていた店員に注文を取ってもらい、俺達はしばし談笑することにした。華茶が楽しみなのか、イツキもいくらか落ち着いていたようだったからだ。
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