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王女のまかない⑩

第1話 大人?のお説教

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 夏の時も思ったけれど……私の友人は、まだちゃんとした女性ではなかった。

 精神面の問題ではなく、肉体面の方である。


「お泊まり……楽しみです!!」


 今日のお茶会で、イツキがお城を二、三日空けるからここには来れないことを知らせに来てくれたのだけれど。

 表情は、二十代後半の女性の割にはまるで子供のような笑みを浮かべていたわ。


「…………イツキ」


 だから私は……外見年齢が九歳でもきちんと……元は同じ世界にいただろう友人に真実を告げることにした。意識してほしいことも含めて。


「はい?」

「あなた。本当に……以前の場所でいた時に、彼氏と経験なかったの??」

「え? はい??」

「近場とは言え、いきなり泊りがけの休暇。これについて……あなた、アーネストがなんの下心もなくそんな誘い方すると思う?」

「え!? さ、誘!!?」

「……ほんとーに……イツキって鈍感だわね」


 純粋無垢と言えば聞こえはいいかもしれないが……実質無害過ぎて、相手の本意を受け流してしまう。

 そう言うところは、イツキの唯一の欠点と言っていいかもしれないわ。


「え!? え!!? あ、アーネストさん……ですし、そそそ、そんな!!?」

「……あのね。あなた達婚約してるんでしょう?」


 とりあえず、正座と絨毯の上で座らせたわ。

 イツキは、頭の中のキャパが追いつかないって感じに面白い顔になっているけれど……きちんと正座はしてくれた。


「は……はい。しています」

「だったら……キスやハグ以上の関係も済ませてておかしくないわよ? そんなままだったら、子作りとかも出来ないじゃない?」

「……今のリュシアーノ様に言われると……心が痛いです」

「私の今は、ネルとあと六、七年触れ合えないんだから……あなた達が羨ましいのよ!!」


 私の前世年齢合わせたら、おばちゃんだけど今の生活は謳歌してるわよ? 恋人以上に婚約者がいても、唇以外の敬愛のキスしかもらえない歯痒さよ……。


「で、ですが。お泊まりだけで……そんな」

「甘いわね、イツキ。ネルはともかく、世の男どもは好きな女に触れたい気持ちが凄いのよ? 特に年頃の女なら尚更……十代の甘酸っぱさとは違うでしょうけど……イツキの年齢の少し前に、お母様は私を産んだのよ? それに高齢出産のリスク高くなるんだから、早いこと結婚したら??」

「…………そ、そうかもしれない……ですが」

「じゃ、もうひとつ。不意打ちでアーネストからキスされることはない?」

「何故分かっちゃうんですか!!?」


 これはもう確定ね。

 アーネストがイツキをお泊まりデートに誘った理由は。

 単純な欲求不満が爆発しそうってとこかしら?

 とりあえず……今日はもともと予定していたアイスを作ることになったけど。

 寒い時にはあったかいものもいいけど……アイス欲も出てきちゃう。

 特に、小豆使ったアイスとか!!
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