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騎士のまかない⑳
第3話 お互いの欲求
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禁欲生活など……近衛騎士団に入隊する前後から、無くても大丈夫だと思っていた。
公娼などにも頼らず、己の鍛錬を磨くことで昂る欲望などは抑えてきたのだ。それゆえに……実力をつけて、『閃光のアーネスト』などと異名を得ることは出来たが。
とにかく……経験が無さすぎて、イツキと一歩以上の関係に進めないのだ。キスも……本当に時々で、抱きしめることもほぼない。
結婚を迎えてから、それ以上の関係に進もうとケジメはつけていた……のだが。
「副隊長? めっさ、顔色に出とんで??」
ハンバーグを食べた翌日。
同じ年で、一応部下でもあるレクサスが執務中の俺に声をかけてきた。
「……なにがだ?」
「言わせんの? 欲求不満モロバレやで?」
「よ!!?」
今隊長は陛下に呼ばれているのでいない。他の部下である部隊長達も仕事の関係でいない。俺達ふたりだけで、ある意味よかったが。
「え? なんなん? まさか、イツキはんとの夜に不満なん??」
「…………夜は、試食係だけだ」
「……………………嘘やろ??」
正直に言うと、レクサスが口元をひくつかせた。
「…………事実だ」
「…………せやかて、もう二年近くちゃうん?? 副隊長、どんな鋼の精神持ってるん!!?」
「…………俺達の居住地を考えて、どこですれと?」
「…………城下町の出会い宿」
「…………お前は、サフィア殿と行くのか?」
「おん」
先を越されたのについてはどうのこうの言うつもりはないが。この男、きちんとやるべきところはしているのだった。
逆に、俺がイツキをそのような場所に?
魔法などで姿を隠して行ったとしても……イツキをリード出来るかわからない。彼女にも経験がほとんどないので、逆は出来ない。リードしてくれるイツキも…………見たいなどと想像してはいかん。イツキは、たおやかな花のような笑顔が似合う女性なのだから。
「…………とにかく。顔に出ていたのならすまん。ひとまずは大丈夫だ」
「せやかて、副隊長? 逆にイツキはんは不安がっているかもしれへんで?」
「不安?」
イツキが?
何故だ? と首を傾げると、レクサスは大袈裟なくらいにため息を吐いた。
「最低……キスとかはしとるやろ?」
「あ、ああ?」
「女かて、欲求不満になることはあるで? そっから自分じゃダメかって……逆に不安がるんや。イツキはんが出来た女でも、それがまったくないわけがない。異世界から来た女だろうが」
「そう……だろうか」
俺の我慢を優先し過ぎて、イツキを不安がらせてしまっている?
もしかして、時折見る淋しそうな微笑みの中には…………それもあったのか?!
「ないとは言い切れんで? 早いうちに確認とっとき? イツキはんが浮気するような女はないのはわかりきっとるけど」
「…………ああ」
俺のイツキが他の男に抱かれる?
そのようなことは、死んでも考えたくない!!
公娼などにも頼らず、己の鍛錬を磨くことで昂る欲望などは抑えてきたのだ。それゆえに……実力をつけて、『閃光のアーネスト』などと異名を得ることは出来たが。
とにかく……経験が無さすぎて、イツキと一歩以上の関係に進めないのだ。キスも……本当に時々で、抱きしめることもほぼない。
結婚を迎えてから、それ以上の関係に進もうとケジメはつけていた……のだが。
「副隊長? めっさ、顔色に出とんで??」
ハンバーグを食べた翌日。
同じ年で、一応部下でもあるレクサスが執務中の俺に声をかけてきた。
「……なにがだ?」
「言わせんの? 欲求不満モロバレやで?」
「よ!!?」
今隊長は陛下に呼ばれているのでいない。他の部下である部隊長達も仕事の関係でいない。俺達ふたりだけで、ある意味よかったが。
「え? なんなん? まさか、イツキはんとの夜に不満なん??」
「…………夜は、試食係だけだ」
「……………………嘘やろ??」
正直に言うと、レクサスが口元をひくつかせた。
「…………事実だ」
「…………せやかて、もう二年近くちゃうん?? 副隊長、どんな鋼の精神持ってるん!!?」
「…………俺達の居住地を考えて、どこですれと?」
「…………城下町の出会い宿」
「…………お前は、サフィア殿と行くのか?」
「おん」
先を越されたのについてはどうのこうの言うつもりはないが。この男、きちんとやるべきところはしているのだった。
逆に、俺がイツキをそのような場所に?
魔法などで姿を隠して行ったとしても……イツキをリード出来るかわからない。彼女にも経験がほとんどないので、逆は出来ない。リードしてくれるイツキも…………見たいなどと想像してはいかん。イツキは、たおやかな花のような笑顔が似合う女性なのだから。
「…………とにかく。顔に出ていたのならすまん。ひとまずは大丈夫だ」
「せやかて、副隊長? 逆にイツキはんは不安がっているかもしれへんで?」
「不安?」
イツキが?
何故だ? と首を傾げると、レクサスは大袈裟なくらいにため息を吐いた。
「最低……キスとかはしとるやろ?」
「あ、ああ?」
「女かて、欲求不満になることはあるで? そっから自分じゃダメかって……逆に不安がるんや。イツキはんが出来た女でも、それがまったくないわけがない。異世界から来た女だろうが」
「そう……だろうか」
俺の我慢を優先し過ぎて、イツキを不安がらせてしまっている?
もしかして、時折見る淋しそうな微笑みの中には…………それもあったのか?!
「ないとは言い切れんで? 早いうちに確認とっとき? イツキはんが浮気するような女はないのはわかりきっとるけど」
「…………ああ」
俺のイツキが他の男に抱かれる?
そのようなことは、死んでも考えたくない!!
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