王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

櫛田こころ

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部下のまかない③

第4話 意見を聞いて

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「あの……イツキさん」

「はい?」


 ゆっくりとポテトを食べていたイツキさんは、笑顔で答えてくれた。


「エリオはともかく……どうして僕にもハンバーガーを?」

「ああ。少し意見を聞いてみたくて」

「意見?」

「なになに??」

「まかないは別ですが……近衛騎士さん達や若い男性向けに、お弁当内容を普通のサンドイッチよりもハンバーガーはどうかなと思いまして」

「!!」


 僕……とかの近衛騎士向けのお弁当に。

 これじゃないにしても、ハンバーガーが食べられるかもしれない!?

 それは……ものすごく魅力的なメニューだ!!


「あー。たしかに、ボリュームすごいし。下手に他のサイド入れなくてもいいかも」

「ちょっとだけ食べにくさが目立ってしまいますが……ミュラーさん、どうでしょう?」

「ぼ、僕の意見でいいんですか?!」

「ネルヴィスさんからも、若い隊員さんの意見で十分だと言っていただいたので」


 ネルヴィス隊長が?

 そんな名誉ある任務をこの僕に?

 僕がエリオと仲が良いからかもしれないけど……答えはもう決まっていた!


「是非! お願いします!!」

「ありがとうございます。これで決定したいのですが」

「「が??」」

「女性には少し食べにくいサイズなので、パン担当の方に大きさを調整してもらわなくては」

「あー……男はいいけど、女はな?」


 たしかに。

 先輩後輩の女性隊員の中には……貴族出身も何名かいるから、大口開けて食べるのは流石に恥ずかしいかもしれない。

 けど、ナイフとフォークで切って食べると……凄い崩れてしまうだろうなあ?


「その点が確認出来ただけでも、ありがたいです。では早速……明日には、普通のハンバーグで作ったハンバーガーをお届けしますね?」

「ぼ、僕! 配達をお手伝いします!!」

「いいんですか?」

「知っている人間がいると、説明しやすい……でしょうし」


 皆さんに、ハンバーガーがどれだけ美味しいかを知ってもらいたいのもある。これだけ美味しいハンバーガーを……いつでも食べれることになれば、機会も増えて来るかも……って願望もあるけど。

 エリオもわかっているのか、苦笑いしていたし。

 そして……翌日。


「「「いい匂い!!」」」


 近衛騎士側に配っている時に、その女性隊員の先輩達のとこで僕はイツキさんと一緒にハンバーガーのお弁当を配っていた。


「新作……と言いますか。普通とは違うサンドイッチなんです」

「イツキさんの知ってる料理?」

「ハンバーガーと言います。紙に包んであるので、紙にだけ注意して召し上がってください」

「どんなサンドイッチかなあ? ミュラーがなんで手伝っているの??」

「……僕が先に試食したので」

「「「ずるぅい!!」」」


 でも、ちっとも怒っていないので……これも、イツキさん効果かもしれない。

 その後に、先輩方からもだけど後輩からもハンバーガーは美味しい美味しいと大好評で。

 しばらく、隊員が飽きるまでいろんな具材のハンバーガー弁当が続いたのでした。
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