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騎士のまかない⑱
第2話 ハロウィンの衣装
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衣装と言っても、公式の場で淑女がドレスアップするのとは違うらしく。
仮装……と殿下がおっしゃっていた通り、変装の一種に近い。ニホンもだが、あちらの他国でも秋の暮れになると魔物の霊などに紛れて道を歩くための防御策らしいが。
こちらの世界と違って、あちらでは行事扱いらしく……子供もだが、大人も結構楽しむそうだとか。レイスやゴーストに近い恰好もあるそうなので、候補にそれも入れつつ……他を調達する前に、殿下が隊長にお願いされたのだ。
「ネル……バンパイアの格好になって」
「……僕がバンパイアですか?」
「きっと、素敵だと思うの」
「わかりました。精一杯仮装させていただきます」
殿下の懇願の表情とお言葉に弱い隊長だったので、あっさりと承諾していた。かなり歳の差とは言え、殿下が喜ぶのなら隊長も喜ぶ。イツキが言っていた意味が少しわかってきた。
バンパイアはアンデットの一種だが、聖なる光や日光が天敵である。美男美女が多いとされているので、隊長の外見を思えば、たしかに似合う部類だろう。
「アーネストは、ワーウルフじゃないかしら??」
「……ワーウルフですか??」
バンパイアが選択肢から無くなったので、違う仮装をせざるを得ないのは仕方がないが……何故、殿下は俺にそれを提案されたのかはすぐにわかった。
「イツキになかなか手を出せないアーネストだもの。仮装で勢いつけて、ちょっとくらいキス以外のスキンシップもしたら?」
「……………………殿下」
まだ慣れないが、子供の殿下の口から……そのような大人の恋愛事情をつっこまれるとは。たしかに、殿下はまだ成人でもないので……俺より歳上の隊長とは無闇に触れ合えない。陛下公認でも、隊長がかなり我慢しているのだ。
とは言え、中身がイツキくらい成人している殿下に、俺とイツキの付き合い方を指摘されるとは……。イツキが殿下に言ったかもしれないが……そろそろ、俺も前に進もう。
仮装することで、それが前進出来るかはわからないにしても。
「まあ、それは個々の事情もありますし。リュシアーノ様やイツキにはどのような?」
「私は魔女よ! 子供らしく仮装出来るのは今のうちだし、とんがり帽子とマント。あとは紫っぽいフリルの多いドレスで何とかなるわ!! イツキは……提案した時にもあったけど、猫娘ね?」
「「猫娘?」」
「日本では魔物じゃないけど、妖怪がいたかもしれないっておとぎ話があったの。猫の目とか耳とか尻尾とか。習性も猫っぽいとかで……仮装でもまあまあ人気があったのよ。イツキの胸大きいし、アーネストがイチコロになるの間違いなしだわ!!」
「俺が……」
うちうちのパーティーとは言え、俺がさらに悩殺されてしまう?
だが、正直言うと見たい。
夏の水着の時もだが、色っぽいイツキも大変に魅力的だったからだ。
「ふふーん。私がひと肌脱ぎましょう! イツキの可愛い仮装も見たいし、サイズはサフィア達が把握してるから急いで作らせるわ!!」
「よろしくお願い致します!!」
仮装の目処が立ったところで……次は、イツキの方を手伝いに行くことに。
イツキはパンポンの前で、何か魔法を使っていたのか簡易厨房の部屋が少し暑かった。
仮装……と殿下がおっしゃっていた通り、変装の一種に近い。ニホンもだが、あちらの他国でも秋の暮れになると魔物の霊などに紛れて道を歩くための防御策らしいが。
こちらの世界と違って、あちらでは行事扱いらしく……子供もだが、大人も結構楽しむそうだとか。レイスやゴーストに近い恰好もあるそうなので、候補にそれも入れつつ……他を調達する前に、殿下が隊長にお願いされたのだ。
「ネル……バンパイアの格好になって」
「……僕がバンパイアですか?」
「きっと、素敵だと思うの」
「わかりました。精一杯仮装させていただきます」
殿下の懇願の表情とお言葉に弱い隊長だったので、あっさりと承諾していた。かなり歳の差とは言え、殿下が喜ぶのなら隊長も喜ぶ。イツキが言っていた意味が少しわかってきた。
バンパイアはアンデットの一種だが、聖なる光や日光が天敵である。美男美女が多いとされているので、隊長の外見を思えば、たしかに似合う部類だろう。
「アーネストは、ワーウルフじゃないかしら??」
「……ワーウルフですか??」
バンパイアが選択肢から無くなったので、違う仮装をせざるを得ないのは仕方がないが……何故、殿下は俺にそれを提案されたのかはすぐにわかった。
「イツキになかなか手を出せないアーネストだもの。仮装で勢いつけて、ちょっとくらいキス以外のスキンシップもしたら?」
「……………………殿下」
まだ慣れないが、子供の殿下の口から……そのような大人の恋愛事情をつっこまれるとは。たしかに、殿下はまだ成人でもないので……俺より歳上の隊長とは無闇に触れ合えない。陛下公認でも、隊長がかなり我慢しているのだ。
とは言え、中身がイツキくらい成人している殿下に、俺とイツキの付き合い方を指摘されるとは……。イツキが殿下に言ったかもしれないが……そろそろ、俺も前に進もう。
仮装することで、それが前進出来るかはわからないにしても。
「まあ、それは個々の事情もありますし。リュシアーノ様やイツキにはどのような?」
「私は魔女よ! 子供らしく仮装出来るのは今のうちだし、とんがり帽子とマント。あとは紫っぽいフリルの多いドレスで何とかなるわ!! イツキは……提案した時にもあったけど、猫娘ね?」
「「猫娘?」」
「日本では魔物じゃないけど、妖怪がいたかもしれないっておとぎ話があったの。猫の目とか耳とか尻尾とか。習性も猫っぽいとかで……仮装でもまあまあ人気があったのよ。イツキの胸大きいし、アーネストがイチコロになるの間違いなしだわ!!」
「俺が……」
うちうちのパーティーとは言え、俺がさらに悩殺されてしまう?
だが、正直言うと見たい。
夏の水着の時もだが、色っぽいイツキも大変に魅力的だったからだ。
「ふふーん。私がひと肌脱ぎましょう! イツキの可愛い仮装も見たいし、サイズはサフィア達が把握してるから急いで作らせるわ!!」
「よろしくお願い致します!!」
仮装の目処が立ったところで……次は、イツキの方を手伝いに行くことに。
イツキはパンポンの前で、何か魔法を使っていたのか簡易厨房の部屋が少し暑かった。
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