292 / 782
国王のまかない⑦
第4話 息子の食欲
しおりを挟む
オモユの器をジェラルドの前に持っていくと……ジェラルドは興味があるのか、首を横に傾けた。
姉のリュシアーノに似た、少し巻き毛に近い金髪を揺らして……俺が器を簡易テーブルの上に置くと、手を突っ込もうとしたので慌てて持ち上げた。
「いかんぞ、ジェラルド!? 火傷の心配はないが手が汚れる!!」
「……あぶ?」
「……今、食べ出せてやるから」
「うー!」
言っていることがわかったのか、今日のジェラルドは手足をバタバタさせるだけだった。
イツキとヘルミーナに目配せすれば……ふたりには何度か頷かれた。
(……これを逃せば、俺はさらにジェラルドから苦手にされるだろう)
一緒に持ってきた小さめのスプーンで、オモユをすくい……ジェラルドに近づけさせてやる。他の食事の様子は何度か見たが、このオモユを受け入れてくれるだろうか?
ゆっくりゆっくりスプーンを近づけさせ……小さな口に当てれば、あむっと言う具合にスプーンにかぶりついた!?
「まあ!」
「やりました!」
「……食べた」
ジェラルドが食べてくれた!?
俺がスプーンを外すと、少しこぼれた部分を俺がよだれ掛けで拭いてやったが……嫌がる素振りはなかった。もう一度……とオモユを与えると、然程味はないだろうに口にしてくれたのだ!?
「うーあうー!」
ただ、いきなり食べさせ過ぎは良くないだろうと……俺は半分くらい与えてから、ジェラルドを抱き上げてみた。すると、機嫌が良いのか泣くことはなかった。
「……美味かったか?」
「う!!」
「……また、食べてくれるか?」
「あう!!」
「……そうか」
ほんの小さなきっかけだったが……ヘルミーナと見守ってくれている、イツキはやはり素晴らしい知識を教えてくれた。
米の需要が……西方大陸の食の需要を変えるだけでなく、赤児にも有効的だったとは。
俺を救ってくれただけでなく、ジェラルドも助けてくれたのだ!!
今も笑顔で俺に抱き上げられているし、頬に頬擦りしても嫌がる素振りを見せない。
「うー!!」
ただ、頬擦りし過ぎて……少し嫌がられたりはしたが。
その後に来たリュシアーノにも、オモユを教えると『やったわ!』と言われ……それから、時々だが俺がジェラルドのオモユを作ることで……ジェラルドとの交流時間を設けることにした。
「健やかに、大きくなるのだぞ?」
「う!!」
次の離乳食とやらを、イツキや医師らの許可を得て学ばねば……と思わずにいられない。
王族が……と他国には思われるだろうが、俺は俺だと強く思うことにした。
姉のリュシアーノに似た、少し巻き毛に近い金髪を揺らして……俺が器を簡易テーブルの上に置くと、手を突っ込もうとしたので慌てて持ち上げた。
「いかんぞ、ジェラルド!? 火傷の心配はないが手が汚れる!!」
「……あぶ?」
「……今、食べ出せてやるから」
「うー!」
言っていることがわかったのか、今日のジェラルドは手足をバタバタさせるだけだった。
イツキとヘルミーナに目配せすれば……ふたりには何度か頷かれた。
(……これを逃せば、俺はさらにジェラルドから苦手にされるだろう)
一緒に持ってきた小さめのスプーンで、オモユをすくい……ジェラルドに近づけさせてやる。他の食事の様子は何度か見たが、このオモユを受け入れてくれるだろうか?
ゆっくりゆっくりスプーンを近づけさせ……小さな口に当てれば、あむっと言う具合にスプーンにかぶりついた!?
「まあ!」
「やりました!」
「……食べた」
ジェラルドが食べてくれた!?
俺がスプーンを外すと、少しこぼれた部分を俺がよだれ掛けで拭いてやったが……嫌がる素振りはなかった。もう一度……とオモユを与えると、然程味はないだろうに口にしてくれたのだ!?
「うーあうー!」
ただ、いきなり食べさせ過ぎは良くないだろうと……俺は半分くらい与えてから、ジェラルドを抱き上げてみた。すると、機嫌が良いのか泣くことはなかった。
「……美味かったか?」
「う!!」
「……また、食べてくれるか?」
「あう!!」
「……そうか」
ほんの小さなきっかけだったが……ヘルミーナと見守ってくれている、イツキはやはり素晴らしい知識を教えてくれた。
米の需要が……西方大陸の食の需要を変えるだけでなく、赤児にも有効的だったとは。
俺を救ってくれただけでなく、ジェラルドも助けてくれたのだ!!
今も笑顔で俺に抱き上げられているし、頬に頬擦りしても嫌がる素振りを見せない。
「うー!!」
ただ、頬擦りし過ぎて……少し嫌がられたりはしたが。
その後に来たリュシアーノにも、オモユを教えると『やったわ!』と言われ……それから、時々だが俺がジェラルドのオモユを作ることで……ジェラルドとの交流時間を設けることにした。
「健やかに、大きくなるのだぞ?」
「う!!」
次の離乳食とやらを、イツキや医師らの許可を得て学ばねば……と思わずにいられない。
王族が……と他国には思われるだろうが、俺は俺だと強く思うことにした。
25
お気に入りに追加
5,501
あなたにおすすめの小説
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
【完結】ガラクタゴミしか召喚出来ないへっぽこ聖女、ゴミを糧にする大精霊達とのんびりスローライフを送る〜追放した王族なんて知らんぷりです!〜
櫛田こころ
ファンタジー
お前なんか、ガラクタ当然だ。
はじめの頃は……依頼者の望み通りのものを召喚出来た、召喚魔法を得意とする聖女・ミラジェーンは……ついに王族から追放を命じられた。
役立たずの聖女の代わりなど、いくらでもいると。
ミラジェーンの召喚魔法では、いつからか依頼の品どころか本当にガラクタもだが『ゴミ』しか召喚出来なくなってしまった。
なので、大人しく城から立ち去る時に……一匹の精霊と出会った。餌を与えようにも、相変わらずゴミしか召喚出来ずに泣いてしまうと……その精霊は、なんとゴミを『食べて』しまった。
美味しい美味しいと絶賛してくれた精霊は……ただの精霊ではなく、精霊王に次ぐ強力な大精霊だとわかり。ミラジェーンを精霊の里に来て欲しいと頼んできたのだ。
追放された聖女の召喚魔法は、実は精霊達には美味しい美味しいご飯だとわかり、のんびり楽しく過ごしていくスローライフストーリーを目指します!!
人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします
吉野屋
ファンタジー
竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。
魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。
次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。
【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!
42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
町島航太
ファンタジー
かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。
しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。
失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。
だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。