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国王のまかない⑦

第3話 離乳食を作ろう②

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 まずは、リーゾを洗う……と言うところから始めることになった。

 そのまま煮るのではなく、リーゾの汚れをある程度落とすためらしい……。単純に煮ればいいと思っていた俺だったが、そこまで必要なのだなと理解した。


「水を入れ替えたら……リーゾに対して十倍の水。だいたいこれくらいの水をお鍋にリーゾと一緒に入れまして」


 あとは火にかけて、時々様子を見たりする程度。


「これだけでいいのか?」

「はい。ですが、この後の変化を見ても……あまり慌てないようにしてください」

「……すごいのか?」

「はい、少し」


 そうして火にかけて少し待つと……たしかに、変化があった!?

 白い泡が出てきて……白く濁ってきた。沸いたら吹きこぼれると思ったが、その心配もなく。

 ただ、ずっと火にかけているとリーゾが鍋底にくっつくからと……イツキに木ベラで少しこそげ取るように丁寧に混ぜていく。

 そこからは、火をさらに弱めて……蓋をずらして被せ、しばし待つようだ。


「……あとは煮えるのを待つだけか? 塩は?」

「煮立ったら、ほんのひとつまみ程度入れるだけです。赤ちゃん用なので、ほとんど味付けはしません」

「ふむ」


 時間になると……たしかに、リーゾが膨らんで湯の中を泳いでいるようだった。ここに……ほんの少しの塩を加え、軽くかき混ぜたら……湯とリーゾを分けるためにザルとボウルを用意した。


「冷めると粘り気が出るので、温かいうちに。火傷だけ気をつけてください」

「わかった」


 ゆっくりと鍋を傾けて、ザルの中に入れれば……湯は火にかけた時以上に白く濁り、とろみがあるように見えた。

 ザルを避けてから、イツキと味見をしたが……以前の花見以来口にしていなかった、『アマザケ』の味がしない感じと似ていた。


「これで完成です。ジェラルド様のところに持っていきましょう」

「……食べてくれるだろうか」

「…………まだ離乳が始まったばかりですし、ちょっと嫌がるかもしれませんが」


 やらないよりは挑戦してみる方が良い。

 イツキと厨房の片付けをしてから……オモユを手に、ヘルミーナ達の部屋へ行くことにした。


「あら、陛下に……イツキ?」


 ヘルミーナは俺達を出迎えてくれたが、中ではジェラルドが赤児用の簡易テーブルをつけた椅子に座らされていた。


「こんにちは、ヘルミーナ様」

「いらっしゃい。どうして陛下と一緒に??」

「ジェラルド様へのご飯作りを指導させていただきました」

「ジェラルドのご飯??」

「……離乳のために、オモユと言う料理を教わったんだ」

「まあ!」

「あぶぅうううう!!」


 本当に食べてくれるかはわからないが……ジェラルドは俺達の会話に興味を持ったのか、腕をこちらに伸ばしていたのだ。
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