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先代のまかない

第3話『半ごろしのおはぎ』②

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 もち米ライシ達を『半殺し』と言う状態になるまで潰したら……次は、丸っこいような『オニギリ』に近い形に整えるようです。


「アンコを入れるわけではないのですね?」

「入れる種類もありますし……せっかくですから、両方作りますか?」

「ええ」


 味見した、あの上質なアンコはついついつまみ食いしそうになります。僕は、旅先で教わった方法でも作ったりしましたが……イツキちゃんのようには作れませんでした。

 育った環境と言いますか、本来のお母さんの味かもしれないですね? サーシャちゃんは、料理についてはほとんどダメダメですから……。

 内側にアンコを入れる方法は、外側のもち米ライシよりも小さめに。そして、中身が出ないようにしっかりと包み込むようです。

 このままで完成かと思いきや、薄い金色に見える粉を用意されました。


「こちらは、大豆ソイルを粉にして砂糖を混ぜたものです」

大豆ソイルを? わざわざ甘くして??」

「甘くない方ですと、ゴマでも出来ますが……生産ギルドにお願いして、大豆ソイルを粉に挽いていただいたのです。もち米ライシとはとても相性がいいんですよ」

「ふぅむ。それは興味深い」


 どうやら、このオハギと言うお菓子は複数の味付けが出来るようです。

 大豆ソイルの粉末は、アンコを内側に入れたものにまぶすようで……均一に、しっかりとイツキちゃんはまぶしていきました。

 小豆ロッシのアンコだけのは、小さめのもち米ライシを包み込むようです。結構甘いのでは……と思いましたが、もち米ライシには味付けをしていませんでしたしね。あれだけでも、ほのかに甘く……独特の食感でしたが。


「はい! これがおはぎです!!」


 出来上がったオハギは……工程を見ていなければ、お菓子に見えなかったでしょう。

 しかしながら……ワルシュ君の養女むすめであり、現陛下もおそらく鑑定で見抜かれた……特級料理人。

 料理人の称号は、常に変動しています。なのに、この若さでその称号を維持しているとは……僕の短い経験を重ねても、ワルシュ君と同等かそれ以上の修行を積んでいなくては難しい。

 なのに、この子はとても楽しそうに料理をするだけです。その意識がどれほど貴重か。


「……これは、このまま食べても?」

「はい。少し切りにくいですがフォークで」


 そして、僕が用意する間もなく、ささっと用意してくださるのは……この城での生活に慣れてきた証拠でしょうか。

 せっかくなので、大豆ソイルとアンコをひとつずつ盛り付けたものをいただくことにしました。


(……たしかに、少し切りにくい)


 しかし、面白い感触ですね?

 外側はともかく、もち米ライシリーゾを混ぜたものを潰した感触……むにゅ、とも言い難いですがなんとか切り分けて、僕は口に運んでみました。
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