276 / 784
まかない婦のまかない⑦
第4話 異世界でスイカ割り
しおりを挟む
かき氷とスイカのフルーツポンチは、エリオさんに言ったように……リュシアーノ様もだが、陛下方にも召し上がっていただきたいので。
バーベキュー会場と同じ、離宮の一部を使って……調理する料理長を含め、親しい人達と一緒にすることになりました。
もちろん。リュシアーノ様の婚約者であるネルヴィスさんもご一緒なので、私の婚約者さんであるアーネストさんも!!
せっかくの夏の風物詩ということで、人が大勢の方が楽しいですから!!
「スイカを……割る??」
「そう言う遊びがあるんです」
かき氷とフルーツポンチはいつでも食べれるようにスタンバイしてあるので……せっかくだからと、キンキンに冷やした真四角のスイカでスイカ割りをしようと提案させていただきました。
手拭いより長めの布、棒は槍稽古用の先端に丸いバチがついたようなもので代用。
トップバッターは……何故か陛下に。
「何も見えんな?」
それは当然なので、私がさくっと説明させていただきます。
「行動者はその場で十回ほど回りまして……方向がわからなくなったら、私達が行動者に行き先を指示させていただきます。スイカの前に立ったら、思いっきり棒を打ち付けてください」
「なるほど。気配察知の訓練に近いな?」
いえ、そう言うことでは。
ただ、陛下もどうやら稽古などはされているようなので、やる気満々のご様子だ。
「お父様ー、頑張ってー!」
リュシアーノ様の応援があってから、競技開始と言うことになり……陛下は私の説明通りにくるくるとその場で回り出した。
「……む。これは結構ふらつくな?」
と、言いつつも足取りはしっかりしていらっしゃるような?
「リュカルド、そこから真っ直ぐ進め」
そして、料理長はわざとこちらに来るように指示を出したのですが……陛下もわかっていらっしゃるのか、ちゃんとスイカの方向に足を向けていた。
「あ、おい!?」
「お前の魂胆はよくわかっている。どうせ、阿呆なことをさせようとしているのだろう?」
「ちっ!」
「陛下~! 少し右ですわ!」
「そのまま真っ直ぐよー!!」
「わかった」
いえ、陛下?
ヘルミーナ様達もわざと違う方向に行かせて……ああ、そちらは茂み!?
で、結果的に茂みに激突……。
「ふふ!」
「私達の指示とは言え、本当に……!」
「……お前達!」
なので、次にネルヴィスさんとかではなく、リュシアーノ様がやりたいとおっしゃったんですが。
指示はネルヴィスさんが頑張ってくださっても、九歳になったリュシアーノ様ではまだ固いスイカは棒でも壊れませんでした。
その後は、ネルヴィスさんが軍人さんらしい足捌きでささっと割ってくださり……かき氷もフルーツポンチもですが、スイカの本当の美味しさを知っていただけたので大好評で終わりました。
さらに、片付けの後に……アーネストさんから、バレンタインのお返しだと素敵なネックレスのチェーンをいただいた。いつもはつけている婚約指輪を外す時などに使ってほしいと。
実は、お養母さんと一緒に選んだらしく……可愛らしいトップスも付いてて、普段使いにもとても良さげで。お風呂に入る以外はいつも身につけておくことにしたのだった。
バーベキュー会場と同じ、離宮の一部を使って……調理する料理長を含め、親しい人達と一緒にすることになりました。
もちろん。リュシアーノ様の婚約者であるネルヴィスさんもご一緒なので、私の婚約者さんであるアーネストさんも!!
せっかくの夏の風物詩ということで、人が大勢の方が楽しいですから!!
「スイカを……割る??」
「そう言う遊びがあるんです」
かき氷とフルーツポンチはいつでも食べれるようにスタンバイしてあるので……せっかくだからと、キンキンに冷やした真四角のスイカでスイカ割りをしようと提案させていただきました。
手拭いより長めの布、棒は槍稽古用の先端に丸いバチがついたようなもので代用。
トップバッターは……何故か陛下に。
「何も見えんな?」
それは当然なので、私がさくっと説明させていただきます。
「行動者はその場で十回ほど回りまして……方向がわからなくなったら、私達が行動者に行き先を指示させていただきます。スイカの前に立ったら、思いっきり棒を打ち付けてください」
「なるほど。気配察知の訓練に近いな?」
いえ、そう言うことでは。
ただ、陛下もどうやら稽古などはされているようなので、やる気満々のご様子だ。
「お父様ー、頑張ってー!」
リュシアーノ様の応援があってから、競技開始と言うことになり……陛下は私の説明通りにくるくるとその場で回り出した。
「……む。これは結構ふらつくな?」
と、言いつつも足取りはしっかりしていらっしゃるような?
「リュカルド、そこから真っ直ぐ進め」
そして、料理長はわざとこちらに来るように指示を出したのですが……陛下もわかっていらっしゃるのか、ちゃんとスイカの方向に足を向けていた。
「あ、おい!?」
「お前の魂胆はよくわかっている。どうせ、阿呆なことをさせようとしているのだろう?」
「ちっ!」
「陛下~! 少し右ですわ!」
「そのまま真っ直ぐよー!!」
「わかった」
いえ、陛下?
ヘルミーナ様達もわざと違う方向に行かせて……ああ、そちらは茂み!?
で、結果的に茂みに激突……。
「ふふ!」
「私達の指示とは言え、本当に……!」
「……お前達!」
なので、次にネルヴィスさんとかではなく、リュシアーノ様がやりたいとおっしゃったんですが。
指示はネルヴィスさんが頑張ってくださっても、九歳になったリュシアーノ様ではまだ固いスイカは棒でも壊れませんでした。
その後は、ネルヴィスさんが軍人さんらしい足捌きでささっと割ってくださり……かき氷もフルーツポンチもですが、スイカの本当の美味しさを知っていただけたので大好評で終わりました。
さらに、片付けの後に……アーネストさんから、バレンタインのお返しだと素敵なネックレスのチェーンをいただいた。いつもはつけている婚約指輪を外す時などに使ってほしいと。
実は、お養母さんと一緒に選んだらしく……可愛らしいトップスも付いてて、普段使いにもとても良さげで。お風呂に入る以外はいつも身につけておくことにしたのだった。
25
お気に入りに追加
5,498
あなたにおすすめの小説
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
復讐はちゃんとしておりますから、安心してお休みください、陛下
七辻ゆゆ
ファンタジー
「フィオネよ、すまな……かった……」
死の床で陛下はわたくしに謝りました。
「陛下、お気が弱くなっておいでなのですね。今更になって、地獄に落とされるのが恐ろしくおなりかしら?」
でも、謝る必要なんてありません。陛下の死をもって復讐は完成するのですから。
1000歳の魔女の代わりに嫁に行きます ~王子様、私の運命の人を探してください~
菱沼あゆ
ファンタジー
異世界に迷い込んだ藤堂アキ。
老婆の魔女に、お前、私の代わりに嫁に行けと言われてしまう。
だが、現れた王子が理想的すぎてうさんくさいと感じたアキは王子に頼む。
「王子、私の結婚相手を探してくださいっ。
王子のコネで!」
「俺じゃなくてかっ!」
(小説家になろうにも掲載しています。)
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
私が出て行った後、旦那様から後悔の手紙がもたらされました
新野乃花(大舟)
恋愛
ルナとルーク伯爵は婚約関係にあったが、その関係は伯爵の妹であるリリアによって壊される。伯爵はルナの事よりもリリアの事ばかりを優先するためだ。そんな日々が繰り返される中で、ルナは伯爵の元から姿を消す。最初こそ何とも思っていなかった伯爵であったが、その後あるきっかけをもとに、ルナの元に後悔の手紙を送ることとなるのだった…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。