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料理長のまかない⑤

第4話 悪友の采配

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 結婚式当日。

 親しい間柄の連中だけで、式をやるとは決めた。

 それは、国王で悪友のマーリュカルドとも決めたと言うのに。


(騙したな!? リュカルド!!?)


 大聖堂での式だなんて、俺ぁ聞いてねぇぞ!!?

 あいつが、式場くらいは手配させろっつーから……俺は好きにしろと頼んだが。

 まさか……国随一の総本部を使うか普通!!?

 俺もだが、サーシャも元はただの国民だぞ!!?


「どーだ、ワルシュ? 俺が手配するんだから、これくらいするだろ?」

「……やり過ぎだ」


 参列者がたとえ、双方の両親以外はイツキやリュカルドとか城に関係する連中だけでも……!!

 お前さんが、ミーナと永久の愛を誓った場所で、俺とサーシャもやらせる気か!!?

 式の前に、控室に来たリュカルドの胸ぐらを掴みながら……俺らは周りに見守られながらも口喧嘩をしていた。


「まあまあ、料理長。……えっと、お義父さん。陛下は陛下でご友人として考えていらっしゃったんですから」

「…………そうかもしんねぇが」


 養女むすめとして着飾ったイツキに宥められるとは。ちろっと、リュカルドを見ても変な笑顔で自慢げでいた。場が場でなかったら、めちゃくちゃぶん殴りたかった!!


「本当にねぇ。このバカ息子は」

「……………………お袋」


 黙っていた俺のお袋が、思いっきり呆れたため息を吐きながら、イツキの隣に立った。


「孫がいきなり出来たこともだけど……孫に心配させるようなことをするもんじゃないよ」

「……………………おぅ」


 怒らせたら、めちゃくちゃ怖いから今日くらいは大人しくすることにした。


「え、えっと……改めて、初めまして。イツキと言います」


 イツキとお袋は、今日が初対面だから……イツキはまだ慣れないマナーで挨拶していた。すると、お袋は形相から一気に柔和な笑みに変えやがった。


「うんうん。知らせで聞いた時は、こんな大きな孫が出来たことに驚いたけど……随分と可愛らしい。お噂はかねがね。バカ息子……ワルシュの母、シュラナだよ。おばあちゃんと呼んで構わんさ」

「えーっと……おばあちゃん?」

「うんうん、イツキ。これからもこのバカ息子を頼んだよ?」

「おば……お義母さん、それ私にじゃなーい?」

「あんたには今更だからねぇ? お城の方では、この子の方が任されているだろう?」

「ま、そーだけど」


 とりあえず、なんだかんだで……俺とサーシャは無事に式を挙げて。

 イツキやリュカルド達に見守られ、祝福を司祭から受けた後……随分と待たせてしまっていた、最愛の女と夫婦になることが出来た。
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