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隊長のまかない⑦

第3話『未知な卵かけご飯』①

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「イツキ、卵かけご飯が食べたいの!!」

「え? 今から卵かけを??」


 本当にイツキも知っているようで、物凄くは驚いていませんでした。


「出来れば、なの!……ダメかしら??」

「いえ。ご飯も卵もありますけど……卵かけでいいんですか? ちょっとだけ待っていただければ、ちゃんとしたご飯も出来ますが」

「今の気分は卵かけなの!!」

「……わかりました」


 イツキが提案しても、リュシアーノ様は引く様子がありません。これは、余程美味しいのでしょうか?

 と言っても、準備してくださったのは。


 温かいリーゾを入れた器。

 スプーン。

 ショーユの小瓶。

 卵を割った器。


 たった、これだけです。

 本当にこれが料理と呼べるものなのでしょうか!?


「……これが、卵かけご飯と言うものに必要な?」

「薬味やおかずはなくもないですが」

「まずは、そのまま食べるに限るわ!! イツキ、食べていいかしら??」

「あ、はい。どうぞ」


 作り方がわかっていらっしゃるリュシアーノ様は。

 まず、卵の器にショーユの小瓶を傾けて……そのままの方が美しいはずの卵を、フォークを使って軽く泡立てていきました。

 そして、リーゾをスプーンで少し凹みを作り……そこに、泡立てた卵をなんのためらいもなく注がれた!?


「り、リュシアーノ様!? そのようなものを!!?」

「鮮度はイツキが選んでくれたから大丈夫よ!! いっただきまーす!!」

「そう言う問題では!? あぁ……!!?」


 スプーンで、なんのためらいもなく……卵をかけたリーゾを口に!!?

 そして、それが美味だと言わんばかりに……リュシアーノ様はどんどん笑みを深めていかれる。

 このようなものが……本当に美味しいのですか??!


「んん~~!! 一回しか食べたことないけど、烏骨鶏の卵みたいに濃厚で美味しい~~!!」

「コカトリスの卵だからだと思います。今朝納品されたばかりのものなので、卵かけには合いますが」

「そうなんだ! オムレツとか以外にもコカトリスってこんな味がするのね??」


 吐き出しもせずに、飲み込まれた。

 そして、さらに……と、スプーンで次、次と口に入れられた。

 生の魚の時は、僕も美味しいとは思えましたが……この卵だけのものが美味しいとは、僕はなかなか信じられませんでした。


「……本当に、大丈夫なのですか??」


 だから、何度も信じられずに同じような質問をしてしまいます。


「ええ、大丈夫よ? ネルも食べてみたら??」

「ぼ、僕も……ですか?」

「百聞は一見にしかず……要は、実践あるのみ! イツキ、ネルにも作ってあげて?」

「わかりましたー」


 と、イツキが途中まで用意してくださった、卵かけご飯……これを、僕は口に出来るのでしょうか??
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