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冒険者のまかない⑦

第3話『初のすき焼き』①

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 これは是非、イツキはんに報告せなな~と、帰ってきた翌日に中央厨房に行って伝えたんや。


「イツキはん! サフィアのお父上に婚約の許可もらえたわ~~!!」

「おお!!」


 実際、お屋敷から帰らせてもらう時に。


『誓約書はいつでも取りにきなさい』


 とまで言ってもらえたんや!!

 これはもう、婿入りとはちゃうけど……実質サフィアの婚約者と名乗ってもええっちゅーことやわ!!

 嬉しくて、羽綿の魔物みたく浮かびそうになるわ~!!


「せやから、近いうちに自分とサフィアのパーティー開きたいねん!!」

「それは是非!! あ、その前祝いに私からご馳走様させていただけませんか??」

「ご馳走!? なんなん!!?」

「お肉を使った、甘辛くて美味しい料理です」

「? オランダアゲみたいなもん??」

「いいえ。どちらかと言えば、数人で囲む鍋料理です」

「鍋料理……?」


 一応東方大陸の料理言うことにしてあるんやろうけど……イツキはんの作る料理はほとんどが自身のいた異世界の料理。

 高級料理やんないのに、どれもが絶品揃いや!!

 それは期待が高まるわぁ……!!


「ふふ、今晩サフィアさんとご一緒に来てください」

「おん」


 せやけど、言われたとおりに来たら……あり得へんもんが用意されとったわ!?


「……イツキ殿。これは……どう見ても、生の卵に見えるのですが」


 サフィアが驚くのも無理ない。深めのフライパンの近くにあった……小さい器には生の卵が入れてあるだけやったんや。


「ふふ……今日はすき焼き鍋ですからね? 出来るだけ新鮮な卵を選んだので、お腹を壊すことはないですよ?」

「「スキヤキナベ??」」

「お醤油とお砂糖の味が強いお鍋です。お肉は少し焼きますが……割り下と言うタレでお肉や野菜を煮込みますよ。濃い味つけなので、生の卵を混ぜたものにつけて食べるんです」


 イツキはんの料理にハズレはないとは言え……。

 ワルシュ先輩直伝の魔物肉導入の頃もやが。

 異世界の料理の方も、やっぱとんでもないもんやと思ったわ……!!


「はい、まずは……薄切りにした牛肉を軽く焼きます」


 牛とかの脂ん塊をフライパンに入れて溶かして……そん中に菜箸で薄ーく切ったらしい肉を焼いた。

 んで、すぐにショーユだけでなく、砂糖を混ぜたタレ言うのをポットから肉に軽く注いだ。


「「……いい匂い」」


 サフィアと同じように声上げてしまうくらい……オランダアゲの時とは全然ちゃうけど、甘辛くていい匂いがしてきたわ。

 せやけど……これに生の卵をつけて食うのが美味いん??
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