王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

櫛田こころ

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騎士のまかない⑯

第2話 水着披露

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「あらあら、イツキさん」


 義姉上の手に引かれている様子は見えたのだが、イツキはなかなか更衣室から出て来ないでいた。何か……あったのだろうか??


「だ、ダメです!! 皆さんの前でこんな……!!」

「とても良くお似合いよ?? 大丈夫大丈夫」

「で、ですが、ディアさん!!」


 どうやら、俺もだが皆にもあまり見せたくないようだ。恥ずかしいのもあるだろうが……エマ、任せろとは言っていたが、イツキにどんな水着を見繕ったんだ??

 義姉上が似合うと言うのなら、絶対にめちゃくちゃに似合っているのだろう!! 物凄く見たい!!


「イツキ、見せてはくれないのか??」


 なので、俺は更衣室に少し近づき、義姉上の後ろから声をかけてみた。

 天幕でよく見えないが、イツキが動揺したのか……義姉上に引っ張られている腕が少し揺れたのだ。


「……似合いませんよ?」

「しかし、義姉上は似合っていると」

「ディアさんは美人さんですから!!」

「あらあら嬉しいわ」

「……イツキとて、美しいが」


 素直な言葉を告げると……観念してくれたのか、イツキが自分でゆっくりと出てきた。

 そして、上着は羽織っているが……初めて見る水着姿に俺は天へ召されるかと思った!!?


(う……美しい!!?)


 これまで、正装などで多少は見てきたふくよかな胸が……胸が物凄く強調されていた。飾りは、白い生地に大きな青い豪奢な花柄。

 それが上下……下はフリルがあしらわれているが、彼女の見たことがなかった美しい脚が丸見え。隠したいと思うが、せっかく海に来たのだから波打ち際で遊ばせたい。

 とにかく、俺にもだが他の男にも魅力的な姿でしかない!!

 ここに来ているのが、家族達だけで本当に良かった!!


「あ、アーネストさん??」


 見惚れ過ぎていて、声をかけるのを忘れてしまっていたため、俺はすぐにイツキに駆け寄って両肩を掴んだ。


「自信を持っていい!! とてもよく似合っている!!」

「ほ……ほんとですか??」

「ああ、謙遜する必要はない!!」


 しかし、胸を見せるのは極力恥ずかしいからと……上着のボタンをとめて、あの素晴らしい胸元は隠れてしまったが。

 逆にそれが、下以外男物のシャツを羽織らせたように見えて、違う意味で目の毒だった!!?


「イツキ殿、海に行きましょう!!」

「はい」


 そしてすぐに、アイシスにイツキの手を奪われ、女ふたりでさっさと海辺へ遊びに行ってしまった……。


「まあ、アーネスト」

「海遊びは始まったばかりだ。いちゃつくのはいつでも出来る」

「父上……兄上……」


 そうじゃないと否定出来ない、己の欲望の浅ましさが憎かった。
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