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兄のまかない②
第4話『ホタテの貝殻グラタン』
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妻のディアにも叱られたが……とりあえず、ヨルダンに我々が採ってきたホタテを見てもらうことにした。
ヨルダン以外にも副料理長が選別に加わり、ふたりともホタテをひとつずつ手に取ると頷き合ったのだ。
「新鮮そのものです」
「これならば……貝のカルパッチョも作れますね!!」
「「「カルパッチョ……??」」」
「ホタテに薄切りを、生のまま食べる調理法ですよ。海辺だけしか食べられない、貴重な調理方法でございます」
「「……大丈夫なのか??」」
貝を生で……魔物だと言う理由もあるが、食べられるか心配だった。
なので、腐敗の心配はなくともカルパッチョは一旦保留となり……アイシスが可能かもしれないと言った、グラタンの方を作ってもらうことになった。
「貝柱以外にも、火を通すことでヒモなどの部分も食べられるのですよ」
俺や父上達が磯辺で焼いていた時に取り除いた部分も……一部は食べられるそうだ。ヨルダン達は丁寧に身と言う貝柱の部分をナイフで取り出し、臓物などを解体していく。その後に、滑りを取るのに少しの塩もみをしていった。
他の料理人達は、グラタンに必要なソースなどをヨルダン達の指示で用意していた。
殻の方も器に使えるのは本当で、料理人の何人かが水と手でよく汚れを落としていたが。
「余計な具入れず……玉ねぎとバターを炒めたものと、クリームのソースを使います。あとは、チーズを載せて」
黒い板の上に塩のようなものを盛り、貝殻が動かないように固定するための土台にしたらしい。具材を入れた貝殻を載せ、窯でしっかり焼くようだ。
少し経つと……チーズとクリームのソースが焼けるいい匂いがしてきた。
「「「いい匂い……」」」
「食堂にお持ち致しますよ」
「ああ、頼んだよ」
たしかに、ただでさえ母上達が拗ねていらっしゃるからね?
せっかくだから、一緒に食べるかと俺達は食堂に行った。当然のように、母上や妻らが待っていて……ふたり揃って少し拗ねた表情でいた。
「旦那様達はずるいですわ」
ディアナティアは、ラウルをあやしつつも愛らしく頬を膨らませていたが。
「もう少ししたら、連れていくと言っただろう?」
「とは言え、美味しいものをお三方だけで召し上がられるだなんて」
「今、それを使って用意してもらっているから……」
「……次は連れていってくださいな」
「……はいはい」
イツキさんの料理の虜になってから、本当にディアは美味しいものに敏感になってしまった。いいことではあるが……被害が減っても、魔物に万が一襲われては大変だと言う心配事を増やさないでほしい。
とりあえず、その後すぐに……アーレン達が持って来てくれたホタテのグラタンとやらは。
イツキさんが作ってくれたアボカドのグラタンとはまた違った味わいだったが、軽くてすぐにぺろりと食べることが出来……ラウル以外の全員が三皿以上はおかわりをしてしまう程だった!!
ヨルダン以外にも副料理長が選別に加わり、ふたりともホタテをひとつずつ手に取ると頷き合ったのだ。
「新鮮そのものです」
「これならば……貝のカルパッチョも作れますね!!」
「「「カルパッチョ……??」」」
「ホタテに薄切りを、生のまま食べる調理法ですよ。海辺だけしか食べられない、貴重な調理方法でございます」
「「……大丈夫なのか??」」
貝を生で……魔物だと言う理由もあるが、食べられるか心配だった。
なので、腐敗の心配はなくともカルパッチョは一旦保留となり……アイシスが可能かもしれないと言った、グラタンの方を作ってもらうことになった。
「貝柱以外にも、火を通すことでヒモなどの部分も食べられるのですよ」
俺や父上達が磯辺で焼いていた時に取り除いた部分も……一部は食べられるそうだ。ヨルダン達は丁寧に身と言う貝柱の部分をナイフで取り出し、臓物などを解体していく。その後に、滑りを取るのに少しの塩もみをしていった。
他の料理人達は、グラタンに必要なソースなどをヨルダン達の指示で用意していた。
殻の方も器に使えるのは本当で、料理人の何人かが水と手でよく汚れを落としていたが。
「余計な具入れず……玉ねぎとバターを炒めたものと、クリームのソースを使います。あとは、チーズを載せて」
黒い板の上に塩のようなものを盛り、貝殻が動かないように固定するための土台にしたらしい。具材を入れた貝殻を載せ、窯でしっかり焼くようだ。
少し経つと……チーズとクリームのソースが焼けるいい匂いがしてきた。
「「「いい匂い……」」」
「食堂にお持ち致しますよ」
「ああ、頼んだよ」
たしかに、ただでさえ母上達が拗ねていらっしゃるからね?
せっかくだから、一緒に食べるかと俺達は食堂に行った。当然のように、母上や妻らが待っていて……ふたり揃って少し拗ねた表情でいた。
「旦那様達はずるいですわ」
ディアナティアは、ラウルをあやしつつも愛らしく頬を膨らませていたが。
「もう少ししたら、連れていくと言っただろう?」
「とは言え、美味しいものをお三方だけで召し上がられるだなんて」
「今、それを使って用意してもらっているから……」
「……次は連れていってくださいな」
「……はいはい」
イツキさんの料理の虜になってから、本当にディアは美味しいものに敏感になってしまった。いいことではあるが……被害が減っても、魔物に万が一襲われては大変だと言う心配事を増やさないでほしい。
とりあえず、その後すぐに……アーレン達が持って来てくれたホタテのグラタンとやらは。
イツキさんが作ってくれたアボカドのグラタンとはまた違った味わいだったが、軽くてすぐにぺろりと食べることが出来……ラウル以外の全員が三皿以上はおかわりをしてしまう程だった!!
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